感染対策された玄関

新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が各地で過去最高値を超える、病床をかなり逼迫している、というニュースが毎日のように報道されています。最近では「変異株は非常に感染力が高く、従来株とは別物として認識した方がいい」との専門家の意見もあるようです。


以前にも増して厳しい状況の今、改めて1人ひとりの感染対策を見直す必要があるのではないでしょうか。

 

そこで今回は、長年医療現場に携わった元看護師として、整理収納コンサルタントとして、自分が実践している予防行動と収納についてまとめたいと思います。

1.感染ルートを今一度理解しよう

ウイルス感染症は飛沫感染と接触感染により起こることは周知の通りですが、ここでおさらいしておきましょう。

①飛沫感染

感染者の唾液、くしゃみ、咳などと一緒にウイルスが放出 → そのウイルスを口や鼻などから吸い込んだ人が感染します。

 

唾液が飛ぶ距離での会話、唾液が多く飛ぶほどの大声が出てしまう場所(アルコールの席や大勢で集まること、カラオケなど)、会話をしながらの食事などが危険であることが理解できます。

②接触感染

感染者のくしゃみや咳が飛び散った場所などを触った手で周囲の物に触れる → 別の人が同じ場所を触ることでウイルスが付着し、その手で口や鼻を触る、食事をするなどの行為で体内に入ると感染します。

 

くしゃみや咳だけでなく、歯磨きや食事で唾液が飛び散った場所、ウイルスが付着したマスクや衣類などにもかなり広いエリアについて注意が必要です。

 

この2つの感染ルートを防ぐには、原因となりうることを徹底的に避ける必要があります。

2.予防面で考える収納システムづくり

まずは、予防面から玄関収納を整えましょう。


「“外で付着したかもしれないウイルス”をいかに家庭内に持ち込まないか」という意味で、一番重要なのが「玄関」です。いわゆるゲートの役割を担う大切な場所なので、見直しが必要な方は今すぐに実践してみてください。

物が少ない玄関のたたき

一番最初にするべきことは、なるべく“物を触らずにすむ場所”にすること。

  • 何かを除けないと家の中に入れない
  • たたきに並んでいる靴を除けてからでないと家に上がれない
  • 目隠しカーテンのようなものを触れないと部屋に行けない

など、【触れる】回数が多い玄関ほど物の数を見直して、できるだけ物に触れずに中に入れる玄関を目指しましょう。

 

そのプロセスが完了したら、空いたスペースに必要な感染対策グッズを設置します。

3.日常行動からつくる感染予防収納

ここは、2つの行動から考えるといいと思います。

①家を出る前から考える

  • マスクを忘れないために、あるいは急な宅急便にも対応できるように、マスクは玄関ドアなどのすぐ目につきすぐ取れる場所に収納する
  • 除菌シート、使い捨て手袋、小さなごみ袋など、持ち歩く感染対策グッズもすぐ取れる位置に収納しておく
除菌スプレーとゴミ袋

②帰宅後の行動を予測して準備する

  • 帰宅後にすぐ使えるように、ドアに限りなく近い位置にアルコールや除菌シートなどを設置しておく
  • スペースがある場合はゴミ箱を設置しておく(足ふみペダルで蓋を開閉できるものが理想)
  • 帽子やカーディガン、バッグなどを収納できる場所を用意しておく
  • 汚染が心配されるものがある場合、すぐに入れられるゴミ袋も収納しておく

4.帰宅後にできる予防対策

ここで、念のため感染対策行動についても説明しておきます。

 

外では感染対策に気を張っていたとしても、家に帰るなり気が緩んでしまっては意味がありません。玄関での行動が大切なのでしっかりと対策しましょう。

①ドアに触れる前に手指のアルコール消毒

②外から持ち帰ったものは玄関に一時保管。除菌スプレーや除菌シートでバッグを除菌

③マスクの紐部分だけを持って外したら、そのままゴミ箱へ

④洗面所へ直行し、手を洗い、うがいをする

⑤必ず部屋着に着替え、衣類を保管する場合は専用の場所を作っておく

手洗いしているところ

玄関に入ってすぐ手洗い場があるなら、真っ先に手洗いをしましょう。今から家を建てる方は、玄関近くの手洗いが優先的に考えられるといいですね。

 

また、感染リスクが高い人混みの多い場所から帰宅した場合は、すぐにシャワーを浴びることも効果的です。

5.宅配ボックスの利用で接触を減らす

買い物に行くことすら感染のリスクが伴うため、いまや多くの人が宅急便を利用する機会が増えたのではないでしょうか。ただし、宅配員と接触することで、多くの人の手を渡った宅配ダンボールに触れてしまうことになります。

 

そこで、可能であれば宅配ボックスを利用することをおすすめします。

 

WHOによると「段ボール表面に付着した新型コロナウイルスは24時間生存する」とも言われています。急がない場合は、少し時間をおいてから宅配ボックスから取り出すという手もあります。

6.玄関も忘れずに換気を

いつもいる空間ではないため、玄関の換気を忘れてしまう人も多いのではないでしょうか。でも、狭くて空気がこもりがちな場所なので、定期的な換気をしておくことが大切です。

防犯面に注意しつつ、できるときにはしっかりと換気しておきましょう。

玄関の窓辺

7.感染予防になる「玄関収納」まとめ

今回取り上げた、感染予防になる「玄関収納」のポイントは以下の通りです。

 

①感染するリスクが高い原因を深く理解する

②玄関はウイルスを持ち込まない大切なゲート

③感染を予防するために感染対策収納が必要

④帰宅後の行動も改めて考えてみよう

⑤宅配ボックスで家に入るウイルスを減らす

⑥定期的な換気でこもりがちな玄関の空気をきれいに

 

玄関の広さや間取り、家族の人数によって難しいこともあるかもしれませんが、どうせできないから、防げないからと「諦めてしまう」ことが一番危険です。

 

家族とも話し合い、理解を深めながら、一緒に感染対策収納や今できる対策を改めて考えてみてください。

文/瀧本真奈美
参考/厚生労働省「国民の皆さまへ(新型コロナウイルス感染症)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00094.html#yobou
厚生労働省「『新しい生活様式』の実践例」https://www.mhlw.go.jp/content/000641913.pdf
※この記事は、上記参考資料および著者の看護師の経験をもとに必要な心構えを説いており、効果を保証するものではありません。