少し前までは、子供に「お布団に入りなさい」と声をかけたら「はーい」と素直に答えていたのに、最近なにかと口答えが多い…。
「えー、今イヤだ~」 「わかってるって」 「うるさいな」
などと言われたら、思わずイラッとしてしまいますよね。
ただ、まったく口答えしないのが良くて、口答えは全て悪いのかというと、実は必ずしもそうではないんです。
今回は、子供の口答えにイラッとした時はどう捉えればいいのか、子供の気持ちや心理、おすすめの親の対応などを考えてみました。
そもそも「口答え」の意味って?
「口答え」を手元の辞書で確認してみると、「目上の者に言われたことに逆らって、目下の者が言い返すこと」とあります。
「反論」もよく似た言葉ですが、言う側と言われる側に立場の上下はなく、単に反対意見を述べることをいいます。
つまり「子供が口答えしている」と感じるのは、そこに「親は目上である」「親が言っていることに子供が従うのが本来の形である」という捉え方があるからではないでしょうか。
しかし、親からは「口答え」と感じる発言も、子供にしてみれば、子供なりの思いや言い分があることも。
子供がどんな風に感じているのか、次で見ていきたいと思います。
子供が口答えするときの理由や心理
「早くお風呂入りなさい」と言ったときに、子供から「えーまだいいじゃん、なんで今すぐ入らなきゃいけないの?」といった返事が返ってきたとします。
親からすると「口答えしないの!」と言いたくなりますが、もし子供にとって一定の理由があれば、言い方はともかく一概に口答えとはいえない場合も。
宿題を先にやってしまいたい、おなかがいっぱいなのでもう少し落ち着いてからがいい…などの理由が考えられますね。
ただ、幼児期にはまだ自分の状態を言語化して伝えることができず、「やだ!」だけで表現することも。
また、小学校低学年から中学年にかけての「中間反抗期」や「ギャングエイジ」にさしかかった子は、親の価値観を脱却して、自分自身や友達との間で新たな価値観や判断基準を育てていこうとします。
そのため親に何かを指示されても、まずは否定してからやるかどうか考える…という行動パターンになることも。
また、小学校高学年から中学校にかけては、たとえ今回は失敗に終わっても、自分の力で物事を解決・成功させたいという気持ちも強くなってきます。
そこで親からやり方やタイミングを決められてしまうと、
「せっかく自分で考えてがんばろうとしていたのに邪魔しないで!」
という思いが口答えとして出てくることもあります。
「口答えばかり」と感じたら…親のおすすめ対処法
もし、最近子供の口答えが多くなってきたと感じたら、まずは「少し前までの子供と同じではない」と認めて、接し方を変えていくタイミングです。
「少し前までと同じではない」とは、つまり成長そのもの。
なんでも親のいいなりではなく、自分の意見や方針を持てるようになった証拠でもあります。
「早く寝ないと明日起きられないでしょ!」
と叱ったときに
「先週は2回も今日より遅く寝たけど、次の日ちゃんと起きられたもん!」
と言われたら、親はカチンとくるかもしれませんが、それだけ論理的思考ができるようになったということでもあります。
こういう場合、
「口答えしないで早く寝なさい!」
ではなく、
「そっか、そろそろ寝る時間を見直すべきかもね。あなたは何時が一番いいと思う?」
と、対等な立場で話すのがおすすめです。
そこで「○時なら次の日ちゃんと起きられると思う」という意見が出たら、
「じゃあ、それまではママもうるさく言わないから、自分でその時間は守ってね」
と約束するといいですね。
もしうまく行かなかったら、再度話し合って見直すことも決めておきましょう。
おわりに
子供は「口答え」を通して、自分の思いを相手に伝えたり、納得のいかない状況を打開する力を身につけていきます。
親子の組み合わせにはいろいろあり、親が常に「どう思う?」と問いかけ、子供の思いに耳を傾ける関係性であれば「口答え」自体が存在しないかもしれません。
反対に、親がいつも強力に子供の疑問や主張をねじ伏せていれば、表面上「口答え」はないように見えるでしょう。
後者の場合、将来、部活や職場・恋愛などで理不尽な扱いやハラスメントを受けたときに立ち向かえないリスクもあります。
「最近うちの子、口答えばっかり…」と感じたら、ぜひ、いいチャンスが来たと発想を転換してみて下さいね。
文/高谷みえこ