昨年に続き、今年も自粛を念頭において過ごすゴールデンウィークを迎えました。
我慢した昨年の気持ちを折られてしまうような、2年連続の自粛ですが、自分や家族の身を守るだけでなく、周囲の人やその先にいる人のためにも、家にいることを選択する人が多いのではないでしょうか?
家で過ごす時間がふえると、着手したくなるのが家の片付け。「せっかくだからこの機会に片付けたい」と考えるのはとても自然なことです。
ですが、今は頑張りすぎない方が結果的に多くの人の健康を守ることに繋がります。そこで今回は、収納のプロとして、また長年看護師として医療現場に関わっていた者として、その理由とおすすめの片付け方法をまとめます。
1.片付けて大量に出たゴミ…感染リスクの元にならないとも限らない
長期間、家にいられるからと思いっきり片付けた場合、必ず不要なものが出てきます。普段片付けられていない家庭ほど、不用品の数は多い傾向にあり、時に家具などのような大きなサイズのものも…。
環境省からは感染予防の観点でゴミ袋をしっかり縛って封をするなどのガイドラインが出ており、地域によっては、資源ごみは感染力がなくなる1週間程度は自宅で保管した上で廃棄するように案内されているようです。とはいえ、粗大ゴミや不燃ゴミには密閉できないものもありますし、ゴミの量を減らす観点でも、この時期に頑張りすぎない方がいいのではないかと思います。
「それならゴミを外に出さなければいい」という考え方もありますが、片付け後に不用物を処分せず、家の中にとどめておくのも気分的に難しいもの。「全部捨ててスッキリしたいのに!」と逆にイライラしてしまうのでは、片付けた意味がありません。
広い一時保管場所がある家庭以外は、片付けるとしても今は少しずつ進めた方がよさそうです。
2.ゴミの搬入が感染拡大につながる可能性も
直接搬入できるゴミ処分場は、各地にあると思います。昨年、処分場に長蛇の列ができていたというニュースも記憶に新しいですよね。
昨年にも増して感染力の高いコロナ変異株が蔓延している今、混雑が一番危険です。持ち込む側、受け付ける人、ゴミを受け取る担当の人、それぞれの接する人数が多いほど、感染の危険性が高くなります。
各自治体からは、不要不急の直接搬入は控えるよう注意喚起がされています。
家をすっきりと片付けること自体は、とても素晴らしいことなのですが、今大切なのは多くの人の健康を守ること。だからこそ、多くのゴミを出してしまう大がかりな片付け作業はいったん延期することをおすすめしたいと思います。
3.収納グッズの買い物も今は感染リスクに
ものが減ったあとや、大がかりな片付けをしたときは、多くの場合、収納グッズや家具を買い足したくなるもの。「うちだけならいいだろう」「私だけなら大丈夫」と多くの人が考えてしまったら大混雑。これがまた感染のリスクを高めてしまいます。
「ちょっとだけ」のつもりの行動が、自分だけではなく見知らぬ誰かの健康にも影響を及ぼしかねません。
どうしても欲しくなったらオンラインで購入したり、今は他のもので代用することもできます。買い物に出かけたくなる衝動に負けないためにも、今はやはり片付けを頑張りすぎない方がいいように思います。
4.「ミニマムな片付け」をマスターしよう
口癖のようにお伝えしていますが、用途が近いもので分類して収納すると、使いやすく、片付けやすくなります。今年の連休はこのルールをミニマムに実践してみてはいかがでしょうか。
たとえば、引き出しやバッグの中、財布の中、収納ケースの中などを整理してみましょう。小さなアイテムの場合、すぐに手放さないと部屋を圧迫して居心地が悪いというものはないので、気持ちに余裕をもって、1つずつゆっくりと片付けられます。
いったん空っぽにした中に、同じ用途と思うものを使いやすいように収納していくのですが、このとき、無理に減らす必要はありません。減らすことだけが片付けではなく、いったんきれいに整理して、使いやすくしまうだけでも気持ちもすっきりします。
この作業を今は少しずつ、あくまで無理せず進めましょう。普段ならサクサク片付けたいところですが、せっかく時間があるので、お子さんのアルバムを開いて家族でおしゃべりしたり、趣味で溜めていた本を読み返してみたり、スマホデータを整理してみたり。そんな時間も取りつつの、ゆるい片付けがおすすめです。
5.自分にも家族にものんびり休む期間が時には必要
さまざまな娯楽やサービスがある今の時代、何もせず家でじっとしていることがもったいないような気がしてくることもあるかもしれません。けれど、だらだらとする時間も時には必要なのではないでしょうか?
ただでさえ、いつも以上にストレスを抱える人が多い昨今。あまり頑張らずに体も気持ちも思いきり休める期間、家族にも自分にも甘くする期間にしてみてはいかがでしょうか。
6.コロナ禍の片付け対策まとめ
今回ご紹介した、コロナ禍における片付け対策は以下の通りです。
①今はたくさんのゴミを出さないように心掛けよう
②不要不急のごみ搬入は避けよう
③多くの人の健康を意識しながら行動しよう
④ミニマムにコツコツ片付けながら、家族との時間も大切に
⑤いつも頑張っている分、自分にも家族にも時には甘く
今、新型コロナウイルスのワクチンは、残念ながら国民全員には行きわたっておらず、その効果もまだ完全なものとは断言できない状況です。予防接種はそもそも、個人が病気にかかりにくくする目的だけでなく、病気の蔓延を防ぎ、みんなの健康を守るための公衆衛生活動。私たちが不足するワクチンの代わりに今できることは、人との接触を極力避けることだと言えるでしょう。
多くの人の健康維持に比べれば、大がかりな家の片付けは「不要不急」案件。2021年のゴールデンウィークは「健康を守る期間」と考えられたらいいですね。ご家族ともぜひ話し合ってみてください。
文/瀧本真奈美
参照/環境省「新型コロナウイルスなどの感染症対策のためのご家庭でのごみの捨て方」http://www.env.go.jp/recycle/waste/sp_contr/infection/leaflet6.pdf
本庄市「新型コロナウイルスに関連するごみ(廃棄物)の出し方について」https://www.city.honjo.lg.jp/kurashi_tetsuzuki/corona_info/corona_oshirase_onegai/1583462147419.html