子育てもキャリアも外見も、思い通りにならないことが多い30代。「年なんて取るもんじゃない」と悲観してしまう人もいるかもしれません。

 

俳優のMEGUMIさんもまた「30代は地獄のように苦しかった」そう。しかし今は、40代以降が楽しみだと言います。

 

40代以降、楽しく年を重ねていくためには、30代にどんな過ごし方をすればいいのでしょうか? 

 

MEGUMIさんとトータルビューティークリエイターの美木ちがやさんがともに必要だと話すのは、あるひとつの心がけでした。

地獄のようだったMEGUMIさんの30代

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── 子育てにキャリアに外見の変化にと、30代女性の悩みはつきません。現在39歳のMEGUMIさん、30代はどんな時期でしたか?

 

MEGUMIさん:30代の特に前半は地獄のように苦しかったですね。一番きつかったのは、やりたい仕事ができなかったこと。

 

実は、主にグラビアやテレビのバラエティに出演していた20代から、ゆくゆくは映画に出るような役者として生きていきたいという希望があったんです。事務所とも役者の仕事を積極的に開拓しようと話していました。

 

でも、27歳で出産したのをきっかけに、急に「ママタレント」として扱われるようになってしまった。役者の道に進みたい私には抵抗のある仕事も多く、でも生活のためには受けざるを得ないという状況に苦しんでいましたね。一方で、ドラマや映画のオーディションは受けるたびに落ち、決まりかけた役が他の人に決まることもよくあって。

 

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ちがやさん:30代はきついよね。もう未熟な20代ではいられず、40代以降の大人の女性のカテゴリにも入れない。自分の進むべき道を模索し始める世代ですよね。

 

MEGUMIさん:そうですよね。私も当時、「このままじゃ駄目だな」と思っていました。そこで、周囲が変わってくれないなら、自分から変わろうと決めたんです。

 

「いつか絶対に映画の賞を取る」と先生についてお芝居の勉強をしたり、自宅で過ごす時間にできる範囲の美容を取り入れたり、SNSをきちんと発信したり。若手クリエイターとコラボする「+コラボレート」というサイトも立ち上げ、自分のやりたいことを表現していきました。

 

そうやってがんばってきたら、35歳ぐらいでやっと映画の話がポツポツ舞い込むようになって。ああ、つらい時期に自分を律してやってきてよかったなと思ったんです。

他人の目より自分のハッピーを信じる

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ちがやさん:MEGUMIさんのように、30代から自分がどういう人間になっていきたいかを考えるのは、とても大事だと思います。その先に何かあっても、仕事でも、美容でも、道筋が立てやすいんですよ。

 

MEGUMIさん:30代は、精神的自立の時期なのかもしれませんよね。見た目だけでなく、キャリアや人間の方向性まで決まる時期だから、しんどいなかでも自分らしさは模索しておいたほうがいい。

 

会社や男性に幸せにしてもらうんじゃなくて、人の手を借りながらも自分で自分を幸せにできる人でありたいですよね。

 

ちがやさん:自分のハッピーは、自分で作れるようにならないとね!髪型ひとつとっても、ほかの人の目を気にせず、ハッピーになれそうなスタイルを貫いた方がいい。

 

たまに彼氏や夫の意見を参考に髪型やメイクを決めようとするお客さんがいますが、そんなときは「男の人はわかんないんだから、言うこと聞いちゃダメよ」って言うの。

 

美って、ファッションと一緒でいろいろな種類がある。日本人が目指す美は、つややかで楚々としたものになりがちだけど、ボリューミーでセクシーな美もあれば、ナチュラルな美もある。もっと言えば、美の形は一人ひとり違っていいんです。

 

40代以降、変化を楽しむために必要なのは、自分の目指すべき方向を決めたうえで、専門家に頼ったり、アイデアをもって工夫したりすること。そのためには、情報収集も必要です。

 

──確かに「夫が長い髪が好きだから」「子どもが派手な髪型を嫌うから」と話す人もいますね。出産前に長い髪をバッサリ切る人もよくいます。

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ちがやさん:子育てで大変だったら、意固地に20代のままの長い髪をキープしなくたっていいの。むしろ、短い髪でどう自分らしさを表現するか、変化を楽しめるほうがかっこいいですよ。

 

とはいえ正直、子どものために自分を出せない場面ってあったりするよね(苦笑)。うちは子どもが男の子だから、ラメのソックスを履いて学校に行くだけで「お母さん、そんな格好して電車に乗ってきたの? 勇気あるね」とか言われちゃう。そんなときは、私も「やっぱり学校行くときは、ちゃんとしていかなきゃいけないのかな」って考えたりしましたよ。

 

がっつり気合いを入れてがんばらなくても、自分がどんなタイプで、どんな女性を目指したいかは考え続けてほしいな。そうすれば、40代以降の年代も楽しんでいけると思うから。

30代は一番きれいなときでもある

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MEGUMIさん:大変だった30代も、諸先輩方には「そのときが一番華よ」と言われたりもするんですよね。「いろんなことが同時多発で起こっていて面白かった」「あんなに子どもと一緒にいられる時間はない」「あんなにもがいたことはない」なんて聞くと、後で振り返れば貴重な時期になるのかも。

 

ちがやさん:30代って、実は一番きれいなときでもあるんですよ。女性ホルモンがいっぱい出ているし、いい具合に力も抜けているしね。

 

MEGUMIさん:私も30代を走り抜けてきて、いい感じに若い頃の「私が!」という感覚が薄れてきました。そこでいろんな人の意見を取り入れるよろこびがわかってきたんですよ。

 

年齢や性別を問わず、さまざまな人と面白がってコラボしていると、いいなと思ったものは自分の一部になる。これから、人との関わりのなかでどんな自分を作り上げることができるのかが一番の楽しみです。

 

ちがやさん:私は自分が年を取ってどんな姿になるのか、すごくわくわくしています。白髪がもっと出てきたら毛並みを生かしてオブジェみたいにしてもいいし。

 

これからは、生き様が薫るようなかっこいい人になりたい。きれいでいることも大事だけど、それ以上に内面を磨いてもっとすてきな人間に進化していきたいですね。

 

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PROFILE 

MEGUMI(めぐみ)さん

MEGUMIさんプロフ

岡山県出身倉敷市出身。2001年デビューしテレビや雑誌などで活躍。その後、映画やドラマ、舞台への出演により活躍の場を広げている。2020年、第62回ブルーリボン賞助演女優賞受賞。テレビ朝日「あのときキスしておけば」レギュラー出演中。Netflixオリジナルシリーズ「全裸監督シーズン2」2021年6月24日より配信。自身のウェブメディア「+collaborate」を展開している。

 

美木ちがや(みき・ちがや)さん

美木ちがやさんプロフ

1963年、東京生まれ。トータルビューティークリエイター、カメラマンとして雑誌等でマルチに活躍。東京都・渋谷で完全予約制サロン「KAWABE LAB」を運営し、母・川邊サチコさんとともにヘアメイク、ファッションのトータルアドバイスも行う。著書に『HAPPY AGEING これからの私に合うおしゃれ』(サチコさんとの共著)など。

 

取材・文/有馬ゆえ 写真/増永彩子