「洗濯物干しておいたよ」「夕食、俺が作るね」。夫が家事に積極的なのはいいんだけど、やり方が雑で「正直、ありがた迷惑」と感じてしまうこと、ありませんか?アンガーマネジメントコンサルタントの松井晴香さんは「そんなときはポイントを絞って、NGワードに気をつければ夫もよりやる気に!」とアドバイス。怒り混じりに指摘する前に覚えておきたい、カンとコツとは?
家事のことで夫婦がもめなくなる“キラートーク”
洗濯物の干し方やたたみ方が雑で…、夕食を作ってくれたはいいけれど、コンロやシンクが散らかし放題——。夫の家事がいつもの自分のやり方と違うと、イラッとしてしまうものです。
だからといって「もっとキレイにして!」とか「もうやらなくて結構」なんて怒るのは大人げない。相手も気を悪くして、喧嘩になるのが目に見えています。こんなときこそ、アンガーマネジメントのテクニックをうまく使いましょう。
怒りの裏には、「こうしてほしい」自分の願望や欲求があります。家事が雑な夫に対しても、その裏には「こちらが思うような家事をしてほしい」と、リクエストがあるわけです。
解決策はこのリクエストを明確に伝えること。ただし、頭ごなしに「洗濯物を干すときはまずパンパンとふりさばいて、シワを伸ばしてから」「できるだけ長いものと短いものを交互にして、風通しをよくして」「スカートやパンツは、ハンガーに筒状に干して」など、自分の中の完璧なやり方を求めると、相手はひいてしまいます。「それなら自分でやれよ!」と、キレられる可能性も。
そこで「一番優先してやってほしい」、最低限譲れない部分を絞ってリクエストするのです。洗濯物なら、「せめてパンパンとフリさばいてから干して」とだけリクエストする。料理なら、「あと片づけのとき、コンロだけはふいてね」とお願いする。ひとつならば、言われた夫も受け入れやすく、素直に聞き入れるかもしれません。
むしろ「そうか、妻はそういう部分が大事なんだ」と、自分のやり方との違いを理解してくれる、その後も注意する可能性が高まります。
これが、「あれもこれも、これももっと」と折り重なると、「うるさい!」「こまかい!」と面倒臭がられるわけです。自分の要望は100%ではなく10%から。怒らず「伝える」習慣をつけてみましょう。
こじらす原因は「この前も」「ちゃんと」
リクエストを伝えるとき、気をつけたいNGワードがあります。言われた相手が、やり方を理解するどころか、むしろイラッとする要注意な言い回しがいくつかあります。
1つ目は“過去ワード”。「“この前も”言ったけど」、「“前からずっと”気になっていたけど」。指摘する時に、過去を振り返った言葉はNGです。言う側は言葉通り、過去と今がつながってリクエストしたいことがあるのでしょうが、言われた側はつながっていません。
「いつのこと?」「なんで今さら!」と腹を立てやすくなります。また、論点がずれてしまうことで「なんか怒ってたけど、結局何が言いたかったんだろう」と本来伝えたいリクエストが伝わり辛くなります。
2つ目は“程度ワード”。「“ちゃんと”干して」「“しっかり”片づけて」など、人によって程度が曖昧な言葉は、相手を混乱させます。「ちゃんとやってるよ!」と逆ギレされることもありえます。リクエストは「パンパンパンと、“3回”は叩いてから洗濯物を干してほしい」など、具体的に数字や尺度を使ってするようにしましょう。
そして3つ目は“責め”ワード。「“なんで”できないの?」「“どうして”そういうやり方するの?」。言った側は単純に理由を知りたいだけかもしれませんが、言われた側は「責められた」と感じる言葉です。責めてくる相手に対して、その後に続くリクエストを聞いてくれる心持ちにはなれませんよね。
上手な怒り方=リクエストの出し方は、最低限のラインから。そして具体的にお願いすることを忘れないでおきましょう。
監修/松井晴香 取材・構成/箱田高樹 イラスト/ナカオテッペイ