テレワークをする機会が増えた昨今。通勤ストレスは減る一方で、「なんだか息つく暇がなく、怒りっぽくなった…」と感じる人が増えています。「予防策として使えるのが『30秒でできる好き』を用意しておくことです」とアンガーマネジメントコンサルタントの松井晴香さん。その効果と真意とは?
30秒で気分が変わる方法、みつけてる?
テレワークなどにより、以前よりずっと自宅で過ごす時間が増えた人は多いのではないでしょうか。家族が家にいる時間が増えて、お互いの生活音が気になったり、家の中で怒る機会が増えた人も多いですよね。
仕事と生活のスペースが一緒になることで、前より「オンとオフの切り替え」がしづらくなったことに加えて、コロナ禍でかつてのようにお出かけや、同僚同士のランチや友人との会食するなど「気晴らしする機会が少なくなったこと」も理由のひとつでしょう。
それならば、新しい気晴らしのスタイルをつくるのが正解です。ごくごく短時間で、ひとりで実践できる「リフレッシュメニュー」を用意するのです。
まずはあなたの「好きなこと」を思い返してください。些細なことでかまいません。
「あのアーティストのあの曲が大好き」「近くの公園から見下ろす景色が気持ちいい」「お気に入りのコーヒー豆の香りをかぐと気分がアガる」「お気に入りの香水をワンプッシュ」など、なんでもOK。
ただ、とても気楽に、たとえば30秒や数分で、カンタンにできることにしましょう。これら自分だけの「リフレッシュメニュー」として用意しておくのです。こうして少し想像しただけでも、すっと“心が晴れやかになる”リフレッシュメニューを、実践します。
「仕事を終えたら大好きなアーティストの音楽を1曲聞いてから、リビングに出る」「お昼過ぎには、大好きなコーヒーを淹れて、その香りと味を堪能してから家事にとりかかる」といった具合です。
こうして自分のゴキゲンを自らとれば、“オンモード”だった心身はすっと“オフモード”へとスイッチできます。得体の知れないイライラを感じることも減り、ニュートラルな自分を取り戻せるのです。
なんだか最近怒りっぽい…という方は、こうした「リフレッシュメニュー」をたくさん用意しておくとよいでしょう。
怒りのエネルギーは強いため、「怒らない、怒らない」「イライラしちゃダメ」などと抑え込もうとしても、そのことで頭がいっぱいになってしまうと、余計にイライラが増幅してしまいます。そこで「リフレッシュメニュー」を活用します。好きなことや好きなものは、自然と集中できたり、頭を切り替えることができます。リフレッシュメニューを実践すれば、怒りの力に引っ張られにくくなるわけです。
「好き」でも、モヤモヤ解消には不向きなのはお酒と…?
ただし、「リフレシュメニュー」には気をつけたいこと2つあります。
1つは「依存性が高いものを避ける」こと。お酒やゲーム、ネットサーフィンなどは楽しいし、気分転換にもなります。けれど、ストレス量に増えてお酒の量が増えると体に負担もかかりますし、そうでなくてもやけ酒になったり、ゲームやネット漬けになったりと、短く切り上げるのが難しい場合もあります。
もう1つは「あまりハードなスポーツは避けること」です。ヨガやストレッチなど軽いスポーツはおすすめですが、格闘技などのアドレナリンが放出されて興奮するようなスポーツは要注意。脳が怒っているときと似た状態になって、むしろイラだち気味になることがありえるからです。
この2つに気をつけたうえで、あなたの「好き」をたくさん見つけて、用意してみてください。自分の好きなこと、落ち着くことを知っていれば、イライラ解消の手助けになります。
監修/松井晴香 取材・構成/箱田高樹 イラスト/ナカオテッペイ