少しの幸せを書く習慣がイライラを減らす

言うことをきかない子ども、言葉づかいが乱暴な夫、隣の家の生活音——。ちょっとしたことですぐにイラっとしたり、ムカムカ。「最近、怒りっぽくなったかも…」と感じる人は、アンガーマネジメントコンサルタントの松井晴香さんが提案する「サクセスログ」の実践を試してみて! 

イライラする人が増えたのはしかたがないこと

コロナ禍への不安は誰しもかかえるもの。経済的に苦しくなった人も少なくありません。仕事に家庭に感染予防に…とやることがたくさん。この状況下でストレスが増したことも、思わずイラッとくる方が増えている一因です。

 

ただ「怒りの感情」そのものは悪いことではない。それは覚えておいてほしいことです。「怒る=よくないこと」とムリに抑え込もうとすると、その反動でさらに大きなストレスを自分の中にためこむことになるからです。よくないのは、その怒り、周囲を傷つけたり、自分を責めたりすることです。

 

なぜ小さな成功を?と思われたかもしれません。理由は「怒りっぽくなっている自分を変えたい」という思いを抱いている方は、自分に対して比較的厳しい目を向けられる方だから。「なんで怒っちゃうんだろう」「毎日イライラしてばかり」と、できていない部分がつい気になってしまいます。しかし、ネガティブな部分にばかり目を向けていると、どんどん心がネガティブに引っ張られ「怒ってばかりの私はダメだ…」と、鬱に近い状況に陥る危険まであるからです。

 

ここはポジティブへと舵をきりましょう。些細なことでかまいません。「今日、うまくいった小さな成功体験」を思い出して、拾い集め、ノートやスマホなどにメモっておくのです。

「通勤電車に座れたラッキー」と書くだけで…

 たとえば「今日も家族の朝ごはんを作った。えらい!」「子どもたちが遅刻しなかった」「予定していた電車に乗れた」「仕事の提案が1つ通った」といった感じで、本当に当たり前のことで十分。これすべて「できたこと」、成功したことだからです。あなたにとってはこれくらいできて当たり前と感じることでも、ほかの人から見れば素晴らしいことが実はたくさんあります。

 

「できたこと」に目を向けると、自然と気持ちがポジティブになっていきます。自己肯定感が育まれ、それだけで心の毛羽立ちのようなものがマイルドになってきます。心に余裕のようなものができると、イライラやムカつきが少なくなってきますし、多少のイライラであれば、「あれもこれもできたし、これくらいまあいいか」と思えることもでてくるでしょう。

 

この「サクセスログ」だけでなく、普段から「よかったこと」「ハッピーだったこと」など前向きな出来事に目を向けられるようになると、自己肯定感はどんどん高まります。自己肯定感が低いと、他人から注意や指摘を受けたときに、人格否定と思い込み、怒りを感じやすくなります。「サクセスログ」で小さな「できた」を書き留めて、怒りにくい体質を作っていきましょう。

 

さっそく今日から始めてみては?何を書くか迷ったなら、「サクセスログを始めてみた!」と、書くところからスタートすればいいですよ。

監修/松井晴香 取材・構成/箱田高樹 イラスト/ナカオテッペイ