ゴミ捨てのルールを守らない隣人

駐輪場を汚したり、禁止のキックボードをロビーで子どもに遊ばせたりする、見知らぬマンションの住人。「ルールを守らない隣人には、こちらも”ルール”で対抗を」とアンガーマネジメントコンサルタントの松井晴香さんはアドバイスします。

 

「ルール破り」に効果的な対処は、電話で…

公共の場や共有地のルールは、そこを使う多様な人たち誰もが”気持ちよく使うための仕組み”です。裏を返すと、ルールを守らない人が現れると、その気持ちよさが侵害されてしまうことになりますよね。

 

同じマンションでまるでルールを守れない人。たとえ明らかなルール違反でもその人に「いい加減にしてください!」「うるさいので、止めて下さい!」と怒鳴ってしまったら、どうでしょう?

 

言い合いになるかもしれなし、そうならなくても、顔をあわせるたびに気まずくなるはず。それは避けたい…。逆恨みされて、自分がいないときに子どもに嫌がらせをされることだってありえます。

 

駅で酔っ払いを注意した方が逆ギレされて殴られたり、あおり運転で危ない目にあったり。ルールを守らない人を注意したせいで、逆に被害をあう例は残念ながらとても多いもの。

 

しかも、家族や友人でもない他人の忠告となると、なおさら耳を傾けてくれない。むしろ「なんであなたに言われなきゃならないの!」と逆恨みのリスクが高まることもあります。

 

では、どうすればいいのでしょうか?ここは「あえて関わらない」と決めてしまうのも、立派なアンガーマネジメントです。怒ったところで逆恨みされ、注意しても行動を変えてくれないなら、時間を割いて関わるだけ損。そもそもさほど親しい仲ではないなら、あきらめることも得策です。

 

「それなら不法投棄のゴミや、駐輪場の乱れもガマンしなければいけないってこと?」と思われたかもしれません。いいえ、見過ごせないときは“ 直接怒る以外”の選択肢を探しましょう。自分から言ってもどうにもならないときや、事態がより悪くなりそうなときには直接伝えず、管理人さんや、管理会社から伝えてもらう方法もあります。そのほうがリスクなく、それこそルールに従って対応してもらえる、というわけです。

 

どうしてもイラッとする時の「6秒ルール」

もっとも、いざゴミ捨てのルールを守っていない現場や、してはいけない遊びをしている子どもたちを見ると、「もう!」と怒ってしまいたくなりそうです。こちらも“ルール”で対抗しましょう。

 

イラっとして怒りたくなったら、反射的にキレずに「1、2、3…」と6秒を数える。すると怒りの衝動がやりすごせて、怒鳴りたくなる気持ちがやわらぐからです。これが「6秒ルール」です。どうして6秒かといえば、怒りの感情が生まれてから理性が働くまで、6秒かかるといわれているからです。

 

6秒をなんとかやりすごせたら、衝動的な怒りはだいぶ和らぎ、どう対応すれば効果的かを考えられるようになります。その後は、冷静になって部屋に戻り、管理人さんにメールや電話を。怒ってもムダなことには関わらない。キレそうになったら6秒数える。自分の中のルールにしておくと、うんと気持ちがラクになると思いますよ。

監修/松井晴香 取材・構成/箱田高樹 イラスト/ナカオテッペイ