プレイロールを使って夫へのイライラがなくなる

「ごめん、結論から話して!」「つまり、こういうことでしょ?」と話を遮る夫。カチンときていつもケンカに…。こうした悩みを解消するのにアンガーマネジメントコンサルタントの松井晴香さんは“プレイロール”と“表情フィードバック”をすすめます。そのやり方とは?

「なになに?」と夫が聞くそぶりを示すには…

話を聞いてほしくて話し始めたのに、上記のような態度を取られたら、「ちゃんと聞いてよ!」とイラだってしまうのは、仕方ないですよね。けれど、そこで言い返したり、怒りをぶつけたら、夫婦関係はギクシャクするだけ。

 

ケンカを避けるためにオススメのアンガーマネジメントのテクニックが2つあります。まずは『表情フィードバック』。心と身体はつながっているとよく言われますよね。心がワクワクしていれば自然と笑顔になるし、気分が沈んでいると背中も丸まりがちです。ただし、これは心の動きが身体に現れるだけではなく、身体側からも心や気持ちをコントロールできるのです。

 

だから話を遮ってくる夫に「イラッと」しても、それを態度には表さず、あえて笑顔をつくります。すると、笑顔にひっぱられて気持ちも自然と穏やかに。売り言葉に買い言葉で、「あなたが聞いてくれないから!」と怒って、言い争いになる状況を避けられます。

 

以前、イラッとしても6秒やりすごせば理性的になれるとお伝えしましたが、表情フィードバックを使えば、この6秒をやり過ごせるように。怒りで衝動的に至らず、落ち着いた自分をキープできるでしょう。

 

加えて表情フィードバックのいいところは、自分の気持ちがイラ立たなくなるだけではなく、相手の気持ちも穏やかにできることです。

 

人は敵対心をむき出しの相手には、敵意をいだくもの。しかし、にこやかで好意的な相手には、自然とにこやかな気持ちを返したくなる。「相手の態度は自分の態度」といわれるのもそのためです。

「憧れの人をイメージ」して演じてみる

「うーん…でも、そんなにうまく笑顔にできるかな」と不安を感じたなら、もう一つの方法を意識してください。それが『プレイロール』です。プレイは演じること、ロールは役割の意味。つまり、「誰かになりきって、演じてみる」のです。

 

たとえば、いつもフラットで怒りをあらわにしているところを見たことがない先輩。どんなときでも落ち着いて、クールな印象の憧れの芸能人や女優さん、映画やドラマの登場人物でもかまいません。

 

「あの人だったら、こんなときどんな顔で、どんな言葉を言うだろう」と考えて、それを真似てみるのです。

 

もちろん、最初から完璧に演じるのは難しいでしょう。「あの人だったらどうやってこの場面を切り抜ける…?」と口ぐせ、仕草、声のトーン、視線、話すスピード、語尾の上げ下げなど、思い出して細部をマネてみましょう。習字やヨガでも先生のマネをして形から入るのが理想に近づく近道です。

 

そのうえで、柔らかく「あのね、一旦最後まで聞いてもらえる?」とか「経緯を話したいから、もうちょっとだけ聞いて」と、リクエストを言葉で伝えるとよいかもしれませんね。 

監修/松井晴香 取材・構成/箱田高樹 イラスト/ナカオテッペイ