©井野ジュン・COMIC ポラリス/TOKYO MX

月曜ドラマ「おじさんが私の恋を応援しています(脳内)」(放送中)で北乃きいさん演じる主人公・まつりが憧れるイケメン王子・樹を演じている笹森裕貴さん。

 

多くの2.5次元作品で活躍し「キラキラした役は割と慣れていたはず」という笹森さんですが、初登場シーンの撮影は「かなり恥ずかしかった」と振り返っています。「僕自身に王子要素はない」と微笑みながら「でも、樹との共通点発見したんです!」と教えてくれました。

惹かれたのは完璧王子の人間らしさ

笹森裕貴
©井野ジュン・COMIC ポラリス/TOKYO MX

── 台本を読んだときの印象を教えてください。

 

笹森さん:

最初の登場シーンが役名の樹ではなく、王子としてだったので、台本にも「王子」と書いてありました。まつりが憧れるイケメン王子=樹とは分かっていたのですが、王子という文字に「これは、僕の役?」と台本を二度見するようなことが、慣れるまでは何度かありました(笑)。

 

── 登場シーン、王子感でキラキラしていました。

 

笹森さん:

初登場はまさに「王子登場!」みたいな感じで、顔が映らないイメージカットでした。普段身につけることの多い舞台衣装より、もっと派手めでパキッとした青のヨーロッパ味のある衣装で颯爽と登場しました。とにかくかっこよく、爽やかにとリクエストされましたが、最初のシーンだったので、正直めちゃくちゃ恥ずかしかったです。

 

── 舞台の衣装よりも派手というのはなかなかです。

 

笹森さん:

かなり派手でしたよね(笑)。もちろん普段、王子なんて呼ばれたことないし、樹はただの王子じゃなくて“イケメン王子”なので、演じるのは難しいと思いましたし、かなりプレッシャーでした。ただ、幸いにもこれまで王子のイメージに近いような、シュッとした役を演じてきた経験もあり、イメージの基礎みたいなものは体に入っていたようで。撮影が始まったら割と自然に演じることができました。

 

しかも、樹は完璧王子のように周りから思われているけれど、実はすごく人間らしくて完璧なんかじゃない。そこが樹の魅力でもあり、演じていて楽しかったところです。

「オンとオフ、切り替え上手に憧れます」

笹森裕貴
©井野ジュン・COMIC ポラリス/TOKYO MX

── 周囲からイケメン王子と呼ばれる樹を演じるうえで、意識していたことはありますか?

 

笹森さん:

監督からは「とにかく王子で!」と言われて(笑)。常に高貴で、所作が美しくあるよう意識しました。演じながら思ったのは「自分は王子だ」と思い込むことが大事だということ。最初はかなり恥ずかしかったけれど、「僕は王子だ」という気持ちで王子感のあるシーンの撮影に挑みました。

 

── 樹が素敵だと感じたのはどんなところですか?

 

笹森さん:

オンとオフの切り替えが上手なところです。僕は、役が抜けなくてオンのまま過ごしてしまうこともよくあります。シリアスな物語や役をやっているときは仲良しの友達にも会う気にならなかったりします。会いたくないのではなく、別の要素を入れることで芝居の感覚が変わるのが怖いんです。切り替えができる人ってすごく羨ましいです。

 

取材で「似ているところはありますか?」とたくさん訊かれて、「イケメン王子との共通点はない」とずっと答えていたのですが、今、ふと浮かびました。王子要素ではないですが、ホラーが苦手なところは似ています。

 

YouTubeチャンネルでホラーゲームをやったりもするのですが、そのときのリアクションは自分でも引いてしまうほど。もちろん樹を演じてはいたのですが、怖がりの自分が驚いているときのような、本当に怖がっているリアクションができたので、そこは共通点だし、演技にいかせた気がします。ホラーが苦手って、樹の素敵なところではないかな(笑)。

 

── では、友達と会うのは、1つの公演が終わってゆっくりという感じなのでしょうか。

 

笹森さん:

シリアスな物語とか、集中力を必要とする役のときは割とそうです。経験を重ねるに連れてその傾向が強くなりました。求められることが増えたというのも大きな理由だと思います。全力で取り組むだけでは、補いきれないというのかな。

 

役を、作品をどう深めていくかという作業となると、世界観にどっぷりと浸ってしまうんですよね。公演数が多い作品などは特にそうなります。切り替えができればもっと楽になるのだろうけれど、まだ、僕は上手にできなくて。徐々に上手くなれればいいなと思っています。

 

── 作品ではまつりの脳内におじさんがやってきます。笹森さんは自分の脳内に誰に来てほしいですか?

 

笹森さん:

こういうとき、イチローさんやビル・ゲイツさんなど憧れの人の名前が浮かぶのですが、ちょっと現実的に考えると、講談師さんとかいいなと思います。話上手な人に脳内に住んでもらって、フォローしてほしいです。

 

話をするのは苦手ではないし、どちらかと言えば好き。だけど、瞬発力が求められるシーンでは、普段から言葉を使っているプロには勝てません。例えば、即興劇とかで気の利いたことを言えるようになりたいので、スピード感を求められる場面で、講談師さんに助けてもらいたいです!

 

僕は野球をやっていたので、イチローさんはずっと憧れの人です。何かいいことを言いたいという場面、それこそこういった取材のときには、イチローさんの名言を拝借して、カッコつけたりします。「遠回りが一番の近道なんだよ」とか。でも、やっぱり自分の言葉でいいことを言いたいと思ったら、しゃべりのプロに頼るのが一番かな(笑)。