公開中の映画しまじろう『しまじろうと キラキラおうこくの おうじさま』(公開中)は小さな子どもたちも安心して楽しめる工夫が盛りだくさんの作品で“ファーストシネマ(初めての映画館体験)”としてもおすすめです。
本作で初めての母親役を演じ「エア子育て」を体験したという中川翔子さん。女王でありながら母でもあるエメラルダ女王役を通して“母親”について考えることがたくさんあったようです。
エア子育てでも収穫がいっぱい!
── 「エア子育て」で「母親だな」と実感したエピソードはありましたか?
中川さん:
パール王子の目線で、普段パール王子がどんなふうに過ごしているのか、どんなことを考えているのか、悩んでいるのかを知ることができるシーンがあります。
例えば、世のお母さんも幼稚園や学校での子どもの様子って実際には見られないじゃないですか。エメラルダ女王のように実態を知る機会があったら良いだろうななんて思ったりしました。
今まで同年代の友達がいなかったパール王子と出会ったしまじろうが、5歳とは思えないほどのイケメンだったのには驚きました。5歳なのに周りをしっかり見ているし、「パールはいろいろできてすごいじゃないか!」って褒めてくれる。
「ちょっと様子を見守ろう」という発言もかなりかっこよかったですよね。王子様だからとかではなく、その人をきちんと見ること、そして認めてあげること、そして褒めてあげることが大事というのを5歳の子を通して知ることができたのは収穫でした。
エメラルダ女王は、息子の友達を通して、母として成長できた気がしています。しまじろうのお母さんの気づきもそう。食べていくために働かなきゃいけないし、小さい子どもがいたら大きい子には構っていられなくなることもある。子どものときにいかに愛されるかで人生や脳みその色も変わると思うので、自分の子どもだけでなく、子どもに会う機会があったら全力で褒めてあげようという気持ちになりました。
── 母親としてだけでなく、子どもとの接し方について考えることが多かったのですね。
中川さん:
大人になってから自分のなかで“自己肯定感”という単語がテーマになっていることもあり、主題歌の歌詞にも自分にピッタリな言葉がいっぱいあって、必要なことを見抜いてくれるかのようなタイミングで出会えたと思っています。
年上はもちろん、年下であっても子どもであっても、自分ができないことをできる人って本当に尊敬します。それを頭で思うだけでなく、ちゃんと言葉で伝えたいと日頃から考えています。
伝えるうえで、適当にはしたくないという思いがあります。その人のいいところを見つけて褒める語彙力を身につけたいという気持ちがより高まりました。エア子育ても楽しいし、収穫もたくさんあるけれど、実際の子育てにもすごく興味があります。こればかりはタイミングですが。
子育てをイメージして準備していること
── 中川さんの理想の子育てのイメージをありますか?
中川さん:
仕事を辞めて家庭に入って家事をやる姿は想像できないし、できないと思います(笑)。
仕事も家事もこなす世のお母さま方を本当に尊敬しています。私の母のことを振り返ると、日々とても忙しそうにしていました。でも、仕事が終わって夜遅くに帰ってきても一緒に遊んでくれたりしてうれしかったし、お金がなくても、大好きな絵を描く道具も漫画もゲームも買ってくれました。
のほほんとしている母親だったけれど、友達みたいですごく楽しかったから、私も自分の子どもと一緒にゲームしたり、絵を描いたりしたいです。
いつか子どもに読ませるために、図鑑や漫画の愛蔵版もものすごい量を準備しています。将来子どもに読ませたいと思ったものは、電子書籍にしようかな、愛蔵版にしようかなとか考えながら買ったりして(笑)。押しつけると嫌いになる可能性もあるなとか想像したりもします。いろいろなことにワクワクしているお母さんになりたいですね。あとは、料理もやりたいです!
── タイトルにちなみ、王子様に関する質問です。王子にどんな要素を求めますか?
中川さん:
「俺は王子だぜ、ワハハ」タイプではなく、がんばっている人を立場関係なく自然に褒められる人、「がんばったね」と言える人がいいな。王子なので、環境でわがままに育ってしまう可能性はあるけれど、そうならないのが気品だと思います。パール王子の場合、中身はもちろんいい子だし、お父さんもイケメンで、お母さんも美人だから間違いなくイケメンになる要素は持っている完璧な王子。10年後に会って絵を描きたいです。
お金や環境にブレない人が素敵だと思います。子どもの頃は、イケメンで剣術もできて馬も乗りこなして…みたいなイメージがあったけれど、大人になるにつれて、求めるのは「感覚がまとも」が一番になってきました。
お正月の入院で生活に変化
── キラキラ王国の人たちはキラキラがなくなったら困るものですが、今、中川さんがなくなったら困るものを3つ挙げるとしたら?
中川さん:
猫たち、スマホ、健康です。風邪もあまりひかない健康体だった自分が、厄年だからなのか、お正月に入院を経験しまして。「厄年のバカー!」と思いましたが、悪いことばかりではありませんでした。
今まで朝ごはんを食べる習慣はなかったのですが、薬を飲むためにごはんを3食きちんと食べるようになりました。仕事の時間がどんなに早くても、早起きしてごはんを作るようになりました。これはこれでいいなと思うように変わったし、今、食にハマっています、と言えるくらい考えています。
健康があってこそ仕事もできるというのが、やっと分かりました。体調悪くても気合いでなんとかなるとかではない。1日でも長生きして、子どもたちに「あの曲聴いてました!」と言われるためにも健康であり続けたいです。数日前も美容院の前で青年2人組が「昔、観てました!」と声をかけてきて。思わず「大きくなったね」なんて言ってしまうほどうれしくなっちゃって(笑)。
芸能生活20周年を迎えますが、エア子育てで撒いた種が15年くらいかかって実ったなとしみじみ感激しました。だからこそ、例えば今5歳の子に、将来職場で会ってそんな言葉を言ってもらうためには、あと20年はこの素敵な曲を健康で歌い続けないといけないなと思いました。がんばる理由にもなります。
PROFILE 中川翔子さん
1988年生まれ、東京都出身。2002年、ミス週刊少年マガジンに選ばれ芸能界デビュー。歌手、タレント、女優、声優、イラストレーターなど活動は多岐にわたる。『死ぬんじゃねーぞ!! いじめられている君はゼッタイ悪くない』(文藝春秋)を出版するなど、いじめ問題にも取り組んでいる。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の公式マスコットキャラクター審査委員や、2025年開催万博誘致スペシャルサポーターなど、文化人としても活動。2020年4月にYouTubeチャンネル『中川翔子の「ヲ」』を開設。YouTuberとしてもめざましく活躍している。