クローゼット

温かい日も増えてきて、そろそろ春服に衣替えをする季節になってきました。そんな今、クローゼットを占拠する大量の洋服を見てため息をついてはいませんか?

 

多くの方が抱える「洋服が多すぎて片づかない」「洋服が減らせない」問題。今回は、「SDGs」の観点から考えてみたいと思います。

  1. まずは「SDGs」の意味を知ろう!

SDGs(Sustainable Development Goals)とは、持続可能な開発目標のこと。2001年に策定された「ミレニアム開発目標(MDGs)」の後継として、20159月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されました。

 

17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。 SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組んでいます。

 

最近よく耳にするようになった「SDGs」ですが、漠然としていて「普段の生活の中ではまだ意識していない…」という方も多いと思います。自分たちに今、何ができるのでしょうか。本記事では、収納のプロとして「まず、クローゼットでできることは?」と考えたことを提案していきます。

クローゼットの見直しを「SDGs」のきっかけに

漠然とした印象もある目標ですが、今すぐに私たちにもできることがあります。今回提案したいのが、クローゼットから始める「SDGs」。衣替えのタイミングが「SDGs」を考えるベストなタイミングと言えるからです。

 

掲げられた17の目標から、収納を通して「SDGs」を考えるきっかけになりそうなものを以下にまとめます。

「つくる責任とつかう責任」

大量生産、大量消費の時代を経て今、ものの多さに困っている人が目立ちます。買ったけれど一度も着ない服、もったいないからと収納の奥深くに眠る大量の服。長年眠らせたあと、一気に廃棄してしまっては「つかう責任」を果たせているとは言えません。

 

一方、企業は「つくる責任」を意識してさまざまな取り組みを行い始めています。たとえば、廃棄商品のリサイクル、環境への影響を抑えるための素材への配慮、生産数の見直しや廃棄されていた在庫で新しい価値ある服を生産する、といった活動です。

衣類の収納棚

私たち消費者側には、服を買ってから手放すまで「つかう責任」があります。クローゼットの奥深くにただ持っているだけの服を、次へつなげるものとして活用させること。一人ひとりがそういった意識をもつことがこれから必要になってきます。

つかうにも捨てるにも必要な“エネルギー”を減らす

新しい服が一から生産されるためには、その原料もエネルギーも、生産にかかるコストも必要になります。

 

”有効活用せずにただ持っているだけの服”や”気に入らないからと簡単に捨ててしまう服”をなくし、

  • シェアする
  • リサイクルする
  • 寄付する

といった行動ができれば、生産するために必要なエネルギーやコストは減っていくのではないでしょうか。

スニーカー

またゴミとなった洋服を処分することにもエネルギーが必要になります。「どこかの誰かの何かに役立つ」ということを忘れず、社会で上手く循環させることを考えましょう。

「貧困をなくす」・「すべての人に健康と福祉を」

世界が掲げる目標の本来の意味合いとは少しずれるかもしれませんが、私たちが何か身近なことでできるなら、古着回収から発展途上国へ寄付をするサービスを利用することも1つの方法なのではないかと考えられます。

 

そのほか、回収された服がワクチンに形を変えて発展途上国に寄付されたり、自治体や多くの企業が活動している洋服回収からパラスポーツの応援をする事業など、全ての人の健康や福祉を願う事業をまず知るということから始めてみてもいいかもしれません。

 

私たちが片づかなくて困っている洋服、簡単に捨ててしまっている洋服も、見方を変えれば、こんなにも誰かの何かの役に立つものになりうるのです。

「働きがいも経済成長も」

コロナ禍で多く聞かれたアパレルメーカーの経営破綻。今後の経済に大きく影響してくる事象です。

 

困難が次々に起こる社会の明るい未来のために、今私たちができることは何でしょうか。「たくさん服があるから買わない」「どうせ捨てるから買わない」「片づかないから買わない」と一刀両断するのは、少々短絡的なようにも思えます。

部屋でくつろぐ女性

買って、大切に使って、簡単には捨てることはしない。きちんと社会に役立つように手放す。これこそが今から大切な考え方になるのではないでしょうか。

クローゼットから始める「SDGs」まとめ 

今回ご紹介した“衣類から考える「SDGs」のポイント”は、以下の通りです。

 

① 衣替えのタイミングで洋服のSDGsについて考えよう

② ただ大切にしまい込んでいるだけでは「つかう責任」は果たせていない

③ 大量にしまい込んだ服も、簡単に捨ててしまう服もエネルギーの無駄遣い

④ 古着で寄付できること、サポートできることがある

⑤ 経済発展のためには「買う」ことも大切

 

買う、使う、社会に向けて手放す。これこそが1人でもできるSDGsです。意味のある手放しができるようになれば、洋服が減らないと悩むことも少なくなっていくはず。

 

とはいえ、無理をする必要はなく、少しずつからでOK。今と未来のために、ぜひクローゼットからできる「SDGs」を始めてみてください。

文/瀧本真奈美
参考/外務省HP https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html