在宅仕事で手が離せないときや、病院の待ち時間、移動中、子どもに親のスマホを貸して、ゲームをさせることはありませんか?


無料アプリで遊んでいるうちはいいですが、子どもも気がつかないうちに課金をしてしまいそうになり、ヒヤッとした経験がある人もいるでしょう。


携帯電話会社からの請求を見て何十万という金額に驚き、明細を確認すると子どもが遊んでいたゲームアプリの課金であることがわかったというトラブルもあります。


こんなとき何とか支払いを取り消してもらう方法はないでしょうか。


女性のための法律書『おとめ六法』著者で弁護士の上谷さくらさんに教えていただきます。

【民法第5条】未成年者の契約取り消しは可能

法律上「未成年者契約の取り消し」は可能です。


未成年者は制限行為能力者とされ、法定代理人(通常は親)の同意を得ずにした契約は、未成年者自身又は法定代理人が取り消すことができます。


気づかないうちに子どもがゲームアプリで高額課金してしまったことがわかったら、まずは携帯電話会社や国民生活センターに問い合わせてみましょう。


相談する際には、課金した日付や金額の明細が整理されていると良いですね。


使用状況から子どもが勝手にやったのは間違いなさそうだとわかれば、応じてくれるケースもあるようです。


ただ、親自身が日頃からゲーム課金をしている場合、子どもの課金を証明するのは難しい場合もあります。親が子どものせいにして、課金額を不当に取り返そうとしていると思われてしまえば、当然返金はされないでしょう。

親は責任を持ってスマホの使い方を見守って

以前「よその子どもが我が家の高額カーテンを破損!親の責任はどこまで…?」

(※)

でも触れましたが、「子どもの起こした過失の責任は親にある」と民法では定めています。


親には、子どもが他人に迷惑をかけないよう日頃から指導監督する義務があります。


子どもにスマホを使わせる以上は、トラブルになる前に、親がまず予防措置を講じるべき。


フィルタリングをかける、決済方法を変更する、子どもとパスワードの扱いを一緒に学ぶなど、今一度、スマホやゲームアプリの使い方を家族で見直してみてはいかがでしょうか。

<子どもの契約に関する法律>

民法第5条【未成年者の法律行為】

1.未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。


2.前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。

PROFILE 上谷さくら(かみたに・さくら)さん

弁護士(第一東京弁護士会所属)。犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長。第一東京弁護士会犯罪被害者に関する委員会委員。元・青山学院大学法科大学院実務家教員。福岡県出身。青山学院大学法学部卒。毎日新聞記者を経て、2007年弁護士登録。保護司。2020年5月に著書『おとめ六法』(KADOKAWA)を出版。

取材・文/早川奈緒子  イラスト/佐久間薫