ひうらさとるの仕事部屋
先生の仕事部屋の様子

大ヒット漫画「ホタルノヒカリ」を生み出した漫画家のひうらさとるさん。現在、兵庫県の北部、城崎温泉に暮らすひうら先生は、音声配信サービス「Voicy」にて、まさに足湯に浸かるようなほっこりとした気分が味わえるトークを展開中です。漫画ではなく“声”を使って伝えたいことや、Voicyの対談でも話題になったひうら先生の“推し”にまつわるお話をたっぷりと伺いました。

推しとの出会いは40歳を過ぎた頃。どっぷりハマった理由とは?

ほっこりとしたトークを発信中!

── 声での発信に興味を持ったきっかけを教えてください。

 

ひうらさん:

昨年の終わり頃に、Voicyで知り合いの対談を聞いたのがきっかけでした。聞くものとして楽しんでいましたが、ちょうどその前の年にインスタライブを始めたこともあって、喋ることの伝わりやすさを実感しているタイミングでした。

 

Twitterやブログ、noteなどもやっているのですが、文章を書いて、テキストチェックして、リンクを貼ってなど、公開までにいろいろと作業があります。意外と手間がかかるんですよね。それに比べて音声での発信なら、ただしゃべればいいだけ。しかも、いろいろな方の発信を聞いていて、ゆるく始めて良いのかなという気持ちになり「いつかやりたいな」と思っていました。

 

── 「やりたいな」と思い始めてからしばらく時間が空いていたのでしょうか。

 

ひうらさん:

そうなんです。いつかやろうと思っていたけれど、しゃべりのプロでもないから、もう少し練習してからなんて思っていました。でもよく考えたら「練習ってなんだ?そもそも私に練習することはあるの?」って(笑)。

 

知り合いに縁起のいい日を気にする人がいて、たとえば「今日は満月だからお財布を変えると良い」とかよく話しています。たまたま「今日はなんの日?」と話していた日が「一粒万倍日」で、何か新しいことを始めると良いよと言われ、そうだ、Voicyやってみようって思いたちました。

 

── ゆるく始めるという割に、しっかり縁起の良い日にスタート(笑)していますね。

 

ひうらさん:

そうなんです(笑)。でも、きっかけは必要でしたから。インスタライブで「書くより楽」と感じていたのに、さらにVoicyは声だけ。お化粧の必要もなくて、楽で便利だと思いました。テキストにするとちょっとトゲのあるような表現も、こういう意味でと噛み砕いて説明できるうえに、私のなんか“間の抜けた話し方”が良い方向に働いているようで。

 

── “間の抜けた”‘(笑)。柔らかい話し方で、とても聞きやすいです。漫画で伝えたいこととの違いを教えてください。

 

ひうらさん:

私にとって漫画は、自己表現とか自分が言いたいことがあって描いているものではありません。もうちょっとエンターテインメント寄りというのかな。媒体に合わせたもの、読者が望んでいるものを描きたいという気持ちがあります。それと比べてTwitterやインスタやVoicyは自分が「あっ!」と思ったことを言いたいと思っています。フォロワーを増やしたい、これをきっかけに何かやりたいというのではなく、それこそ半径5メートルくらいの人がよろこんでくれたらいいなという感じです。

 

ひうらさとる
眺めが素敵なスポットで。仕事もはかどりそう!

── 声での発信で心掛けていることはありますか?

 

ひうらさん:

すごく基本的なことです。固有名詞、特に人の名前は間違えないようにすることと、聞いている方が不快にならないことは意識しています。私自身がどう思われるか、みたいなことはあまり考えていません。すべては聞いてくださる方がどう感じるかなので。

 

── 昨年10月開催のVoicyフェスでの霜田明寛さんとの対談。“推し”の話、すごく楽しかったです。

 

ひうらさん:

私の“推し”はKAT-TUNなのですが、ファンになったのはすごく遅くて。40代過ぎた頃でした。それまでジャニーズに関わってこなかった人生を送っていて。もちろん、役者として活躍する方とかは拝見していました。仕事でジャニーズのコンサートに行けることになって、「興味のある方は?」と訊かれて。「野ブタ。をプロデュース」というドラマを観ていたので、亀梨くんと山Pなら顔と名前が一致するという話をしたところ、「じゃあ、KAT-TUNのコンサートに行ってみたら?」という流れになって。

 

追いかけても自分の彼氏になるわけもないのに、“推し”を一番に考える人たちはすごいし、心から尊敬していました。私自身は、とにかく自分のことが一番大事で、生産性のないものには興味がない、そんな考え方でした。でも、今は尊いなという気持ちになりました。

 

ひうらさとる
”推し”について熱く語ってくださいました!

 

── “尊い”と感じているところを教えてください。

 

ひうらさん:

自分の子どもでもなければ、恋人でもない。なんなら相手は自分のことをほぼほぼ知らないわけですよね。でも、お金をかけて見守るという行為がすごいなって。東京ドームを埋め尽くす5.5万分の1、たった1だけれど、その1がなければ5.5万人が埋まらないと思うと、尊いことだなと思うようになりました。

 

── グッと引き込まれたのはKAT-TUNの魅力もあると思いますが、何かひうら先生の中で何か変化があった時期なのでしょうか。

 

ひうらさん:

最初がKAT-TUNだったのは大きいと思います。いわゆるキラキラ系ではなく、ちょっとロックなかっこいい系だったし、洋服とかも私の好みだったので「いんじゃない」なんて最初はちょっと斜に構えて感想を言ったりもしてたけれど、実はすぐにどっぷりとハマりました(笑)。ちょうど40歳になった頃で、自分自分という考え方にもう飽きていたことも理由だと思います。自分の欲求はやり切ったという感じでしたから。当時は子どももいなかったので、愛でる、育てる対象もいなかったですしね。