コロナウイルスの猛威から約1年。感染予防対策の必需品・マスクをつけた生活にも慣れてきたけれど、顔にぴったりと密着することで肌や毛穴への影響が心配だったり…。そこで今回は、『毛穴道 もう一生悩まない。』(講談社刊)の監修を務め、毛穴研究の第一人者としても知られる皮膚科専門医の亀山孝一郎先生に、コロナ禍における肌&毛穴トラブルの関係を聞きました。
肌の炎症が便秘や糖尿病の原因に…
マスク生活が慣れたとはいえ、やはりマスクをするのはイヤだし、面倒なもの。こうしたストレスを感じる生活が、肌の炎症を引き起こす原因にもなっていると亀山先生は言います。
「マスクを多用することで肌が擦れるという物理的なストレスや、マスク着用がつらいといった精神的なストレスによって、肌は炎症してしまうんです。さらにストレスで皮膚に炎症が起きると、脳や腸管でも炎症が起きやすくなることも…。
皮膚、脳、腸はそれぞれ影響を与え合うと言われていて、ニキビができている人の半数は、便秘や下痢、うつ状態になるともいわれています。私たちの体は、血液やリンパ管を通してつながっているので、皮膚の炎症性細胞が体内を回り、腸から皮膚、そして脳で炎症を起こします。しかもこの炎症性細胞は、血管の中でも炎症を起こしてしまうんです」
ストレスによって引き起こされた血管周囲や脳、腸管などの炎症が長く続いてしまうと、慢性的な疾患につながるとも。
「慢性疲労や糖尿病、高血圧、うつ状態となって体に現れ、皮膚での炎症や毛穴の開きなどの肌トラブルも慢性的に継続してしまいます。また、全身での炎症状態が続くと、脳は炎症を抑えようと、生命の維持に必要な場所へ血液を多く送り、皮膚へ送られてくる血液は低下。これにより、血流低下、代謝低下、バリア機能低下が起こり、あらゆる肌トラブルを引き起こしてしまいます」
体の炎症を抑えるには、ビタミンの内服が鍵!
糖尿病、高血圧、うつ状態にもつながる可能性のある、肌や毛穴のトラブル。もし、こうした状態になったら、どう対処したらよいのでしょうか。
「ストレスフルな世の中ではありますが、まず大切なのはストレスをなくすこと。そのためには、仕事に生きがいを感じながら炎症を抑えることが重要です!」
そうきっぱりと語る亀山先生ですが、やはり仕事にはストレスがつきもの…。ほかの手段もぜひ教えていただきたい!
「炎症は皮膚だけでなく、全身で発生しています。だからスキンケアだけでなく、ビタミンの内服も行って内臓の炎症を抑えることが大切です。ビタミンは、コラーゲン合成の促進やニキビの原因とされる活性酸素の除去、角質層のバリア機能の向上、皮脂分泌の抑制、細胞の代謝の活発化、メラニンを作らせないなど、さまざまな効果が期待できます。なお、ビタミンは、ストレスの多い環境だと皮膚に送られる前に消費されるので、食事から摂取するだけでなく、効率的に成分を摂取できるサプリメントの併用がおすすめです」
また、酷い毛穴トラブルに悩んでいる場合は、ビタミンとともにグルタチオンやカフェインを肌の奥深くまで浸透させるイオン導入という、青山ヒフ科クリニック独自の施術もあるそう。
「グルタチオン、カフェインは代謝を促進して活性酸素を除去し、皮脂分泌を抑制します。さらにグルタチオンは酸化したビタミンを還元する効果もあり、カフェインはグルタチオンの産生を強化します。これらの成分を一緒に使用することにより相加効果が発揮され、ストレスに負けない、代謝が盛んで炎症のない毛穴の閉じた美しい肌が実現します」
美しい肌を手に入れるには、肌の外側だけでなく、内側からもケアすることが近道。マスク生活の中でもこれらをしっかりと心がければ、肌&毛穴のトラブルを回避できるでしょう。
PROFILE 亀山孝一郎先生
取材/船橋麻貴 イラスト/pum