皆さんは「メタファー」という言葉を聞いたことはありますか? 創作などにおける「隠喩」「暗喩」といった意味で、「~のように」「~みたいな」などを使わずに例える言い方を指します。このメタファーをうまく用いると、より円滑にコミュニケーションができるようですよ。

誰もが無意識にメタファーを使っている

普段の会話やチャットなどでは、あまり意識して使用することはないメタファー。しかし誰しも1度は無意識のうちに使っているはず。たとえば「時間が流れる」という表現は、実際に流れることを確認できない時間を「流れる」と暗喩した言い方です。

 

メタファーには比喩の他に「引用」や「物語」、「選択制限違反」といった要素があります。

 

まず「引用」は上司の言葉などを使う方法。例えば「このプロジェクトは、上司がいいと思うと言っていた」が「引用」です。自分より立場が上の人の言葉を使うことで、「このプロジェクトはいいと思う」より、説得力を増す効果がありますよね。

 

メタファーを効果的に使いたい!

「物語」はストーリーやことわざを例えに使用する方法で、相手に親しみやすさや斬新さを与えられるメタファー。ネット上では嘘をついた人に対して「信用を失う」と忠告する際に、「オオカミ少年」を持ち出すという声が見られました。「ウソをつくと信用を失って誰からもフォローされなくなる」と説明するより、オオカミ少年に例えたほうが簡潔ですね。

 

一方、熱意が湧いてきたことを「燃えてきた」と表現するのは「選択制限違反」のメタファー。言葉はたいてい結びつくものが決まっていますが、通常結びつかないものを使うことで、表現が豊かになります。実際心は燃えませんが、「燃えてきた」と言われると熱意が伝わりやすいですよね。

 

情報をわかりやすく伝えられるメタファーですが、使用する際には注意が必要。情報を盛り込みすぎたり、相手が共感しにくい表現を使うと逆に伝わりにくくなります。難しい内容の解説を補足したり、共感してほしいシーンにおいて使用すると良いでしょう。

職場での意思疎通に悩む人は多い!?

メタファーを駆使すれば、難しい指示や内容の説明がより伝わりやすくなるよう。日常生活ではもちろんのこと、ビジネスシーンでも大活躍するはずです。実際にどのくらいの人が意思疎通に悩んでいるのか、第一三共ヘルスケア株式会社が以前公開した「働く女性の職場コミュニケーション」に関する意識調査結果をご紹介しましょう。

 

20代から50代の女性800名に対して「現在、職場で困っていること・悩んでいること」を質問。49.3%が「特になし」と回答しましたが、悩みごとの中で最も多かったのは「自分の意図・考えがうまく伝わらない(13.6%)」という回答でした。また「相手の意図・考えを理解できないことがある(8.9%)」や、「自分の意図・考えを伝えるのに時間がかかる(7.8%)」といったコミュニケーション上のお悩みも。

 

自分の意図がうまく伝わらない時は、メタファーを使用して話してみてはいかがでしょうか?

文/古山翔
参照/第一三共ヘルスケア株式会社「働く女性の職場コミュニケーションに関する意識調査」https://www.atpress.ne.jp/news/166368