新型コロナウイルスの影響により激動の一年となった昨年、
社会全体で最もフォーカスされているキーワードといえば「サスティナブル(=持続可能な)」。化粧品業界でも、パッケージや使う原料を環境に負荷をかけないものに変えるなど、社会的に持続可能な取り組みを行うムーブメントが起きています。

 

そんな背景を踏まえ、今注目のブランドとその取り組みについてご紹介します。

美容はファッションの一部!アローズ初のスキンケアブランド

他業界から美容市場への参入が相次ぐなか、ファッション業界から、2020年に満を持してローンチされたのが、ユナイテッドアローズが手がける「JUICE」。スキンケアは自己表現の1つで、ファッションの一部という考えのもと、肌を潤いで満たすと同時に、心を充実させて、心身のバランスを整えることにこだわっています。 

 

そんなスキンケアの核となるのが佐賀県の最北端にある加唐島で生息する「ヤブ椿」。日本固有の原種として、古くから文化とともに息づいてきた品種です。この椿の実から採れる椿油(カメリアオイル)は、皮脂の主成分と同じオレイン酸、ビタミンEが豊富で非常に希少。オリーブオイルやホホバオイルと並んで、世界三大オイルのひとつとして愛されてきましたが、加唐島の椿油は純度の高い、100%ジャポニカカメリアオイルとして、独自に抽出して製品に配合しています。

「フレッシュなジュース」のような椿油の魅力をブランド名に込めて

この椿油を主原料とし、ホリスティックライフ&スキンケアブランドとしてスタートしたのが、「JUICE」です。ちなみにブランドネームの由来は、加唐島のヤブ椿油にはオレイン酸やビタミンEをたっぷり含んでいることから、“フレッシュなジュースを肌が飲み込む”というイメージだそう。

 

コスメの観点とは違って、ワードローブを持つように、コーディネートやレイヤリングができるように製品設計をしているという、ファッションブランドならではの視点が光ります。 

おうち時間を充実させるオールマイティなオイルに注目!

ブランドローンチのタイミングで発売されたのが、椿油の魅力をたっぷり凝縮した、マルチに使える「美容オイル リッチ」、ライトな感触の「美容オイルライト&スムース」、そして「エッセンシャルバーム」、ハンド&ボディに使える「エッセンシャルクリーム」。

 

今回は、ローンチされた4製品の中から「美容オイルライト&スムース」をピックアップ。30ml60mlの2サイズ展開で、髪から顔、ボディと全身使えるナチュラルオイルです。

「JUICE」の美容オイル、エッセンシャルクリーム
美容オイル ライト&スムース 30ml 3500円 60ml 6000円、エッセンシャルクリーム 80g 2200円/JUICE

 

加唐島に自生するカメリアジャポニカ種100%という希少なヤブ椿の実から抽出したオイルがベースとなっているので、非常に純度が高く、栄養分もたっぷり。椿油に加え、肌に潤い、弾力を与えるボタニカルオイルをブレンド。ナチュラルオイルと精油だけで構成された、非常にシンプルで、植物のパワーそのものを感じられる処方設計となっています。軽やかな使い心地で肌に伸び広がり、全身にエネルギーを与えてくれます。

「JUICE」の美容オイル

洗顔後のブースターオイルとして、オールインワンのスキンケアとして、スキンケアの仕上げに、全身のマッサージオイルとして、濡れた髪に使うヘアオイルに…と、マルチに使えるのが嬉しいところ。ヒノキやヒバなどのウッディな香りに、ローズマリーやラベンダーをブレンドしたウッディハーバルな香りがとっても心地いい!全身のどの部分に使っても心地よくなじむ、なめらかなテクスチャーと爽やかな香りはまさに、マルチパーパスでジェンダーフリーの象徴のよう。

 

椿の葉の緑と赤い花をイメージさせる、こだわりのボトルデザインも美しく、おうち時間を充実させたい今、ライフスタイルにもスッと溶け込むプロダクトです。 

サスティナブルな“ヤブ椿”を島ごとサポート

佐賀県の最北端に位置する加唐島は、日本書紀に「島の半分が椿」と記されていたほど、古くから多くの椿が自生する“椿の島”。島民よりも猫が多く、人口はわずか100人余りだとか。

 

加唐島のヤブ椿は、寒い真冬に花をつけるというたくましい植物で、島全体が守り続けている生命の恵み。無農薬で除草剤や肥料を使わず、クリーンな土壌に育つヤブ椿の実を島民が手摘みで収穫します。

加唐島のヤブ椿の実

実は天日干しして種を取り出し、選別して搾油しているのですが、これは全て手作業。ヤブ椿の栄養分を丸ごと引き出すために、加熱はせず、小さな搾油機でゆっくりと圧搾します。丁寧に、手間と時間をかけながら、JUICEの核となる椿油を製造しているのです。

 

加熱しないコールドプレス製法を使い、作り上げた椿油は、非常にピュアで、栄養もたっぷり。搾りかすは、肥料として土に還すという循環を生み出しながら、昔から民間療法としても使われてきた自然の恵みであるヤブ椿を守っています。

雇用の確保を通じて産業を活性化する取り組みも

加唐島とパートナーシップを組むことで、雇用を確保し、産業を活性化するという取り組みを行なっているところもブランドの魅力を作り上げているひとつ。島の安定したサスティナブルなものづくりを目指すべく、加唐島全体をサポートしている点も見逃せません。

 

昨年10月には、おうち時間に使いやすいマルチオイルの後に、コロナ禍でも重要視されているウォッシュ系のアイテムが発売されています。ファッションブランドが本格的に手掛けたビューティーブランド「JUICE」ですが、そのデザイン性だけでなく、ものづくりの背景が非常に魅力的。植物のパワーをそのまま製品に届けるといった姿勢や、日本に息づく椿油という原料に注力している点など、これからの展開が実に楽しみなジャポニカブランドです!

 

文/久保直子 撮影(静物)/清永 洋