幼児の体と大人の手やベルトなどを紐でつないで、急な飛び出しや迷子を防止するグッズ「ハーネス」。別名「リード」「迷子紐」などと呼ばれることもあります。

 

子どもには、用心深くてあまりママの側を離れない子もいれば、一瞬手を離しただけでどこへでも突進していく子、日頃はおとなしいけど虫や車など特定のモノを見つけると興奮して周りが見えなくなる子などさまざまなタイプの子がいます。

 

また、ママが妊娠中でとっさに子供を追いかけられないなどの理由から、安全のためにハーネスを使っている人もいます。

 

しかし、それを見た人から「かわいそう」「犬みたい」「親がラクしたいだけ」と言われ、子どもの安全のためなのに…といやな思いをした人も。

 

今回は、ハーネスを使っている人たちの理由や状況、使うなら何歳頃まで?という目安、勘違いしている人も多い使用上の注意などを解説します。

ハーネスは何歳から何歳まで使う?

子ども用のハーネス(リード・迷子紐)は、何歳頃から何歳頃まで使えるのでしょうか?

 

市販の子ども用ハーネスを10商品ほどチェックしてみたところ、対象年齢については「○歳○ヶ月」など月齢で定められたものはなく、「1歳~3歳頃」「1人歩きを始めたお子様」「胸囲が○㎝から○㎝までのお子様」などと表示されています。

 

子どもの発達には個人差があるので、月齢よりも「自分の足でどこへでも歩いていけるようになったら」が使い始めと言えるでしょう。

 

「ここではママから離れないでね」と言っても伝わらない1歳~2歳台前半あたりが最もハーネスが必要になる時期で、その後、指示が守れるようになり、道路や駐車場で突然飛び出さなくなったら卒業…という流れが一般的です。

 

ただ、それが2歳なのか3歳なのかはその子によって異なります。

 

また、突然できるようになるわけではないので、常に言い聞かせつつ、徐々に使用頻度を減らしていくと良いですね。

海外では子供にハーネスを使っているのか

ちなみに、海外では日本よりもハーネスの使用率が高い国も見られます。

 

国同士の距離が近く移動に飛行機をよく利用するヨーロッパでは、混雑する空港で迷子にならないため使用する人が多く、子どもの人身売買が社会問題になっている北米や南米・中国などでは、テーマパークやショッピングモールなど人の集まる場所での連れ去りを警戒してハーネスを使用しているといいます。

 

筆者も仕事や旅行で海外の空港を訪れると、日本より高い確率でハーネスを使っている親子を見かけますし、周囲にもあまり驚いたり批判的な目を向けたりする人はいない印象でした。

反対・批判されるけど…こんな事情もあります

ハーネスを使っている親子を見ると、「かわいそう」「手をつなげばいいだけ」「言い聞かせれば分かるのに」「犬みたい」「親がラクしたいんでしょう」「しつけをしていない」など批判されることがあります。

 

たしかに、子どもを紐につないで歩かせ、大人はスマホを見ている…という状態では、上記のような批判をされても仕方ないかもしれません。

 

しかし、使っている人にとっては、次のようなやむを得ない事情もあるようです。

 

  • 家のすぐ前が、ガードレールのない交通量の多い道路や柵のない用水路
  • 坂道で荷物いっぱいのとき、片手で上の子と手をつなぐと、片手では下の子のベビーカーを押せない
  • ママが妊娠中で何かあった時に走って子どもに追いつけない
  • 1人で歩くのが楽しい時期で、ベビーカーや手をつなぐのを極端に嫌がる
  • 3人以上のきょうだいで、ママ1人では全員手をつなげない
  • 病院や役場の受付・レジの支払いなどは一時的に手を離さなければならない
  • 冠婚葬祭などは大声で注意できないが、抱っこでは退屈してぐずり始める

 

「言い聞かせれば分かる」という声もありますが、たしかに、子どもはまだ言葉は話せなくても、ママやパパの言っている内容はかなり理解しています。

 

しかし、「わかる」のと、「できる」のは別物。

 

衝動性は子どもの特性なので、例えば、ベビーカーから下の子がおもちゃを落としてママが拾っている数秒の間に、道の反対側にネコを見つけた上の子が思わず駆け寄ろうとする…そんな場面がないとも限りません。

 

ふだんは言い聞かせて分かる子でも、100%じっとできる保証がない以上、安全のためにハーネスを使いたいというママの気持ちも分かるのではないでしょうか。

こんなハーネスやグッズなら使いやすい

子ども向けのハーネスは古くは中世ヨーロッパから存在したと言われますが、日本でも2000年前後から商品として売られています。

 

当初から多かったのは、子どもの胴体に太めのベルトを巻き背中についた紐を後ろから持つタイプで、特に「犬の散歩みたい」と言われやすいのはこのタイプです。

 

現在は、ぬいぐるみや天使の羽などかわいいデザインのリュックに紐がついたものも多く、他にも親子の手首を伸縮ベルトでつなぐタイプ、電車のつり革にそっくりでベビーカーや子どもの背負ったリュックにつけられるタイプ、一定距離以上離れると警報音が鳴って知らせてくれるグッズなど、いろいろな商品が出そろっています。

 

ずっと手をつないでいると、子どもにとっては腕を上げ続けることになり、親も腰をかがめる姿勢が続くため、待ち時間の多い場所や駅のホームなどでスポット的に使えれば体の負担も軽減されそうですね。

こんな事故や間違った使い方には注意

子どもの安全を守るために使うはずのハーネスが、間違った使い方をしたために、逆に事故やケガにつながる例もあります。

 

  • 手をつながず、ひもを長く伸ばして使う
  • スマホやおしゃべりなどで長時間子どもから目を離す
  • ひもを引っ張って子どもの動きをコントロールする
  • エレベーターやエスカレーターで使う

 

使用説明書にも注意として書かれていますが、基本的にハーネスは子どもから目を離して他のことに集中できるグッズではなく、子どもが手をつないでいても振りほどいて走り出す、一瞬ほかの作業をした間に危険な場所へ行ってしまう…という想定外の事態に至らないための補助的な存在。

 

また「スマホを眺めていてエスカレーターに巻き込み」などは論外ですが、ちゃんと見ている状態でも、ひもを長く伸ばして使うと子ども自身や他の人が引っかかって転倒する原因になり危険です。

おわりに

子ども用ハーネスやリード・迷子紐を使っていて、年配の女性に「いいわねえ、私の頃にこんなのがあればよかったわ」等と言われたママも多いそうです。

 

その一方で、年齢性別を問わず「かわいそう」「犬みたい」と批判する人も一定数いるようで、それが日本での使用率が低い一因となっているのかもしれません。

 

しかし、お子さんの様子を日頃から見ていてせいいっぱい注意もしているのにヒヤッとする場面が多いのなら、親の感覚を信じて、何か言われたとしても必要な場面では使用する方が安全ではないでしょうか。

 

仮にハーネスを使用しなくても、強引に子どもの手をひっぱれば、やはり脱臼や肘内障といったケガのもとになります。

 

大人はいつでも子どもに対し地道な安全への配慮を続けることが必須ですが、同時に、多くの場合1人きりで子どもの安全を守り続けるママたちへの手助けも考えていきたいですね。

 

文/高谷みえこ