「コロナ離婚」が増えるのではないかと懸念されていましたが、先日厚生労働省が発表したデータによると、前年に比べると離婚は大幅に減少。ただ、実際のところ、現在、社会全体が活動を自粛しており、状況が落ち着いてから本格的に離婚を考える夫婦も多いという予測もあります。そこで今回は、離婚を考える際に知っておきたいお金についてお話します。

離婚は準備が大切。別れた後の生活設計を明確に!

離婚を考える際、大きなポイントとなるのが「経済的な問題」です。夫婦の関係が破綻している中で生活をするくらいなら離婚したいと思うのはその通りだと思いますが、一方で、子どもを養育するお金に事欠くようになってしまっては、子どもに生活上の不安を負わせることになります。

 

ですから、離婚を決断する前に、まずは経済面から離婚後の生活設計を立ててみましょう。

 

離婚によって法律上、支払いが発生するお金は「養育費」「財産分与」「慰謝料」です。このうち、財産分与は離婚後2年以内、慰謝料は離婚後3年以内に請求しなければ、時効により請求の権利を失います。

 

また、離婚を切り出してから実際に成立するまでには一定の時間がかかります。共働きでも一方の収入が少ない場合には、収入が多い方に生活費として「婚姻費用」を分担する義務があります。婚姻費用は、夫から妻に支払うケースが多いですが、妻が収入が多い場合には、夫に支払うことになります。ここでいう生活費とは、衣食住に関わる日常の生活費や子どもの養育費、交際費などです。

 

婚姻費用の金額は、夫婦の話し合いにより決めるケースが多いのですが、裁判所が目安を早見表(婚姻費用参考 https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file5/konpi-11.pdf   ※子1人0歳〜14歳のケース)で示しているので、参考にすることができます。

 

たとえば、夫が年収600万円、妻が年収400万円、6歳の子どもが1人いて、妻が子どもと同居する場合、婚姻費用の目安は月6万円から8万円になります。金額の目安は、子どもの人数や年齢によっても複数のパターンが設定されています。

 

さらに、2007年4月からは厚生年金の分割制度がスタートし、結婚期間中の厚生年金(老齢厚生年金)保険料納付実績を夫婦で分けることができるようになりました。離婚後の生活設計を考えるにあたり、老後の年金額がどう変わるのかを把握しておくことも大切です。離婚前でも、最寄りの年金事務所で「年金分割のための情報提供請求書」を入手して請求すれば、分割した場合の金額がわかるので参考にしてみましょう。

 

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