共働きの家庭では、なんらかの形で家事を分担している夫婦が多いと思います。

 

はっきりと担当を決めている、早く帰った方がやる…などルールはそれぞれですが、「気付いた方がやる」というカップルも少なくありません。

 

しかし、この「家事は気付いた方がやる」方式は、うまくいっている夫婦とそうでない夫婦でかなり状況が異なるようです。

 

特に、子どもが生まれてからトラブル勃発…というケースも多いため、今回は、共働きでお子さんを育てているママ・パパたちから、家事分担についてヒントになりそうな話を聞かせてもらいました。

「気付いた方がやる」でうまくいくポイントは

Uさん(35歳・2歳児のママ・第2子妊娠中)夫婦は、4年前に結婚して、現在もフルタイムで共働きしています。

 

「夫は一人暮らしが長かったので、結婚した時点で家事は一通りできたんです。私よりも細かい部分に気がついて、窓のサッシをさっと掃除してくれたり。感謝しています」

 

ただ、独身時代は忙しくて外食が多かったので、料理はUさんの方が得意だそう。食材や調味料のストックなども含めて担当しているといいます。

 

「でも、料理や洗濯と違って、掃除は汚れていても気付かなければ過ぎていきますよね。夫の方が8割くらいの確率で掃除機をかけたり、ほこりを拭いたりしてくれています。私は、あ、またやってくれてる!ありがとうねといつも言っています」

 

Uさんが考える「うまくいくコツ」は、

 

「気付かないのは性格の違いで仕方ないから、せめて相手が動いているのを見たときには必ずありがとう!と声をかけることじゃないでしょうか」

 

とのことでした。

「気付いた方がやればいい」では済まない理由

Yさん(29歳・0歳児のママ)は、出産前までは「気付いたほうがやる」で済んでいたといいます。

 

「というか、気付いた方がやると言いつつ、夫は帰りも遅いし、たまに早く帰っても家のことなんて何も気にしないんです。まあ細かいことを言われるよりいいか…と思って結局私が大部分やっていた感じです」

 

しかし、産後は赤ちゃんのお世話で本当に手が回らなくなったそう。

 

「台所の流しが水アカだらけなので掃除したいけど、それよりも先に授乳におむつに沐浴に寝かしつけにと、赤ちゃんの世話以外は食事を作ってお風呂を沸かすのが精一杯です。夫は水アカなんて永遠に気付かないし、頼んでも自分は気にならないから、私がいつかやるまでほったらかしです」

 

「気付いた方がやる」は、家事に対して夫婦同じくらいのセンサー感度なら良いのですが、差がありすぎると、気がつく方の人に負担が集中してしまうのですね。

 

パパの立場からはこんな体験も。

 

「なんか妻がイライラしているなと思ってたら、ある日突然、ねえ、なんでこんなに洗濯物たまってるのに洗わなきゃとか思わないの?と怒られて。言ってくれればやるのに…と答えたら、しょせん他人事と思っているから気付かないんでしょ!とさらにヒートアップ。たしかにそういう部分もあったかもしれませんが、ずっと僕が気付くのをイライラしながら待っているくらいなら、早めに言ってくれよと思ってしまいました」(Tさん・35歳・3歳児のパパ)

 

この、「言わなくても察してほしい、気付いてほしい」も、よくトラブルの原因になりがちです。

 

何も言わなくても家の中のことに気を配ってくれる男性ももちろんいますが、やはりやり残した家事に気付くのは圧倒的に女性のほうが多いといえるでしょう。

 

Tさんはその後、自分は察するのは苦手だからと、曜日を決めて洗濯を当番制にしてもらったといいます。

 

「職場でも、自分の担当以外の業務はあまり気にしないほうなので、無意識に洗濯も妻の業務と思っていたのかもしれません。自分の担当と思えば、洗剤のストックとかも気付くようになるんですよね」

 

男女を問わず、自分はあまり気がつかない側だという自覚があるなら、当番制に切り替えたほうがうまくいく場合もあるかもしれませんね。

家事分担でもめない工夫とは

先日、SNSで話題になったのは「”気付いた方が家事をやる”と決めたのにうまくいっていないから”気付いて指摘された方が家事をやる”に変えたら、夫婦とも劇的に気付くようになった」という内容の投稿でした。

 

たしかに、それなら見過ごしがちな家事のタスクをゲーム感覚でどんどん言語化できそうですね。

 

いっけん目からウロコのナイスアイデアに思えますが、人々からは

 

「それで次々指摘していったら、ウチの夫は1日で逆ギレして怒り出すだろうな」

 

「気付いた!ハイあなたの仕事ね、と言われてニコニコやるような相手なら、言われなくても日頃からある程度家事をやってると思う」

 

など、もともと家事分担ができていない夫婦のあいだでとつぜん指摘されても、言われた方は素直に動かないのでは…という指摘も相次ぎました。

 

この投稿者さんは、夫婦ともに「面白そう」と意見が一致したからこそ成功したと思われますので、自分たち夫婦の日頃の関係性によって、取り入れるかどうかを判断する方がよさそうですね。

 

そのほか、共働きのママ・パパに聞いた「家事分担がうまくいくコツ」は、次のようなものがありました。

任せたら細かく言わない

「よく言われることですが、夫の家事が下手なのはまだ発展途中だからと思って、最初に説明したら、あとはアドバイスを求められるまで何も言いません。たとえ干した子どものTシャツの袖が丸まっていて乾いていなくても…(笑)夫にも、失敗する権利があると思うので、少しずつ成長していってくれれば」(Yさん・34歳・2歳児のママ)

タスクは可視化する

「妻がフルタイムで復帰する前に、毎日・毎週・毎月、どんな家事のタスクがあるのかを一覧表にしてくれたんです。自分ではけっこう把握しているつもりでしたが、回覧版をチェックしてはんこを押し、パートナーに伝える必要のある内容は伝えてから隣家へ回す…といった細かいタスクは、可視化されると初めてけっこうあるんだなと気がつきました」(Sさん・37歳・4歳児と1歳児のパパ)

お互いの得意分野から手を付ける

「私は買い物・料理は好きなのですが、洗濯とアイロンがけは好きじゃないんです。夫はアイロンは面白くてけっこう好きだというので、各自の好きなことを率先してやっています。得意分野なら、多少作業量が多くても、そこそこ楽しくこなせるんですよね」(Fさん・35歳・1年生と5歳児のママ)

おわりに

今回、いろいろな夫婦の話を聞かせてもらったところ、「家事は気がついた方がやる」という分担方法は誰にでも向いているわけではなさそうです。

 

お互いが同じくらいのレベルで気がつくカップルや、うまく得意分野のすみ分けができているカップルにはぴったりの方法ですが、そうでなければ、タスクを見える化して分担するなど、別の方法も取り入れてみれば意外とうまくいくかもしれませんね。

 

文/高谷みえこ