2020年も残すところ1か月あまり。
来年お子さんが小学校入学を控えた家庭では、少しずつ小学校の準備も進めていることと思います。
ところで、小学校や保育園・幼稚園でPTA役員決めがあるのは知っていても、放課後に通う「学童保育」や「児童クラブ」でも保護者が役員をつとめなければならないという事実を知らない人もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、意外と知らない人も多い「学童」の役員の決め方や仕事内容などについて、経験者のパパ・ママから話を聞かせてもらいました。
はじめての小学校や学童で、役員などの情報もなく不安を感じている人はぜひ参考にして下さいね。
学童保育の役員、決め方はいろいろ
小学校や中学校では、各クラスの「クラス委員」は、1年生では保護者が多く出席している入学式当日、他の学年は、通知表渡しのある前年3学期の保護者会などで次年度の委員を決める…というパターンが多く見られます。
しかし、その場ですんなり決まる可能性の低い「執行部(または本部)役員」、特にPTA会長・副会長・書記などのいわゆる三役については、事前に決めておくことがほとんど。
時期は例年11月~12月頃が多く、今回、経験談を聞かせてくれたパパやママも、学童保育の役員決めはこの時期だったという人が多数派でした。
ただ、中には「新学期がはじまってすぐ」という人も。
「前年中に決めるパターンだと、他学年のきょうだいとの兼ね合いなどで1年生のうちに役員を済ませておきたい人が立候補できないので、入学後になったようです。たしか入学式翌週の土曜日で、私が参加しましたが、ほかも半分以上が父親でしたね」(Fさん・41歳・1年生と4歳児のパパ)
決め方もいろいろで、
「建前上は立候補ですが、実際は引き受けてくれそうな人に直接声をかけ、了承をとってから手続き上だけ立候補してもらう形でした。マンションつながりとか、保育園が同じママから頼まれるパターンが多かったですね」(Kさん・40歳・5年生と2年生のママ)
「事前には何も打診などはなく、集まったその場で決める感じでした。ただ、仕事内容を聞いてみると、毎週のように会議があったり行事の手伝いをしたりというわけでもなかったので、子どもが世話になるんだし…と思い、その場で立候補しましたよ。他の人もすぐに手をあげて、5分くらいで決まりました」(Sさん・38歳・2年生のパパ)
など、地域やその学童ごとにかなり違うようです。
もし近所や知人のお子さんが通っている学童なら、どんな風に決めているのか聞いてみると、心づもりができてよさそうですね。
自治体運営、民間…親の出番や行事はどの程度?
冒頭で「学童も保護者が役員をつとめなければならない」と書きましたが、実は今回お話を聞いた中で、1人だけ「保護者が学童の役員をすることはありません」というママがいました。
くわしく聞いてみると、
「うちの子が通っているのは民間経営の学童保育です。市の学童より費用が高いので迷ったのですが、学区の端で自宅が遠く、人気のない道も多いので、3年生でやめなくてもいい民間学童に最初から入れようと思いました」
とのことです。
「夏祭りやバス旅行、お別れ会などの行事はありましたが、役員ではなくスタッフ主体で準備を進め、親は、当日参加でもできる手伝いをできる人ができる時にやる…という感じでした」
民間経営の学童といっても、スポーツクラブや語学スクール主体のところから、市町村に委託を受けてほぼ公営と同じ内容で運営しているところまでさまざま。
前者なら、保護者の役員負担がないところもあるかもしれませんので、パンフレットやホームページなどで確認してみるのも1つの方法です。
一般的な自治体運営の学童の活動内容は、次のようなものがありました。
「学区の会議に出席するほか、あいさつ運動や募金・清掃といった奉仕系の仕事、子どもたちのために夕涼み会、地域のお祭りに出店、ドッヂボール大会など、月1回ペースでなにかしらのイベントがありました。聞いたところによると、ある程度の行事を実施しないと市からの補助金が打ち切られるそうです。でも定員いっぱいまで子どもを受け入れているため常に人員不足で、保護者の力を借りるしかないんです…とのこと」(Nさん・37歳・3年生のママ)
「1年間役員をしていた間、夏は河原でバーベキュー大会、秋は芋掘りなど、昔から親子で楽しむ系のイベントが盛んだったらしく、よく準備や買い出しに駆り出されました。正直、休みの日はもっと寝ていたいな…と思いましたが、行けば楽しいし子どもも喜ぶのでよかったです」(Hさん・40歳・6年生と3年生のパパ)
本末転倒?役員が負担で学童をやめさせる人も
学童保育は、保護者が帰宅するまでの時間を1人で待つのではなく、多くの大人・子どもと一緒に過ごし、安全にかついろいろな体験ができる場所です。
そんな子どものための学童を、「役員が負担だから」と予定より早くやめてしまう人もいる…と聞きました。
しかし詳しく聞いてみると、そこにはやむを得ない事情もあるようです。
「私はシングルで親にも頼れないので、子どもの迎えを誰かに頼むことはできず、仕事を持ち帰って家で作業することもあります。その中で役員までは時間的に厳しいと思ったのですが、くじ引きで当たってしまいやることになりました。でも、同じ担当の人が全然仕事をしなくて、私が尻拭いばかり…」
「頼んでおいた準備ができていないので私が走り回って手配して、せっかくの子どもと過ごす週末が、役員の仕事でつぶれてばかり。ところが年度末、人数不足とかでもう1年その人とペアで役員をするよう頼まれてしまったんです」
「これ以上振り回されて、娘との時間を削られるのはたまらない…そう思い、3年生まで通える学童でしたが、2年生でやめることにしました」(Aさん・34歳・2年生のママ)
とのこと。
いっぽうで、
「1年間、学童の役員が当たりましたが、みんな働いているパパ・ママ同士という雰囲気で、家でできることは各自やってきて、会議も必要なことをサクサク決めてすぐ解散!という感じ。気持ちよくできました」(Jさん・36歳・2年生と3歳児と1歳児のママ)
という声もあり、役員の決め方同様に、仕事内容や負担の度合いもかなり差があるようです。
おわりに
2020年は、コロナ禍でPTA活動や主催行事が軒並み中止となり、役員が集まる機会も激減。オンラインでやりとりする人も増えたといいます。
来年以降、世の中が落ち着き、また子どもたちのために行事が開催できるようになったとしても、今年の経験をもとにより効率よく負担の少ない方法で進められるように変わっていくといいですね。
文/高谷みえこ