「もう宿題やったの?」「漢字テストの勉強した?前回、バツが多かったでしょ」

 

子どもにそんな声がけをした時に、うんざりした顔で「ねえ、なんで勉強ってしないといけないの?」と聞かれたことはありませんか?

 

あらためて正面から聞かれると、何が正解なのか答えに困ってしまいそうですね。

 

そこで今回は、現役小学生の保護者から、実際にお子さんの「なぜ勉強しないといけないの」という質問にどう答えたのかを聞かせてもらいました。

1年生ママ「ベタですが、やっぱり○○になるため…かな?」

現在、小学校1年生の男の子がいるママのHさん(36歳)。

 

2020年は入学早々休校期間もあり勝手が違う面もありましたが、やっと授業が再開した後、保育園と違って一日中机に座っている小学校生活に慣れず、

 

「ねえ、なんでがっこうって勉強ばっかりするの?」

 

とお子さんから聞かれたそうです。

 

「私たちが子どもの頃の定番の説明は、勉強していい大学に行き、いい会社に入るため…みたいなことをよく言われましたよね。でも、よく考えると、私自身もそれで納得していなかったんですよね。私は短大卒で就職先は親もよく知る大手企業でしたが、ブラックな職場と人間関係のためすぐ辞めてしまったんです。とうていあの会社のために学生時代があったとは思えません」

 

そこでHさんは、こう考えたといいます。

 

「いい会社に入ること自体が目的じゃなく、やりがいをもって安定した収入を得ながら働くことが目的だと思うんです。つまりそれって幸せに生きるため…ってことですよね」

 

そして、お子さんにはこんな風に話したそうです。

 

「誰でも、大人になっておじいちゃんになるまで幸せに暮らしたいよね。あったかいおうちで、おいしいごはんを食べられたら幸せだよね。そのためにはお仕事が必要だよね」

 

「お仕事はずっと毎日することだから、おもしろいな、もっとがんばろうって思える仕事がいいよね。あなたが大きくなって、どんなお仕事しようかなって決めるときに、算数の勉強をちゃんとしてなかったからできませんって言われたら悲しいよね」

 

「今やっている勉強は、あなたの好きなお仕事を選べるためのだいじな準備なんだよ…と話しました。要するに、幸せになるためと。ベタですけど(笑)」

5年生「こんなの将来、役に立たないよ!」にパパがまさかの回答

学年が上がってくると、学習内容もだんだんと抽象的なものが増え、ついて行けない子も出てきます。

 

これらの現象は「10歳の壁」「小4ビハインド」などとも呼ばれています。

 

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Tさん(40歳)の5年生のお子さんは、ある日宿題の漢字ドリルに飽き飽きしてこんなことを言ったそうです。

 

「もう、漢字なんてスマホで調べればわかるじゃん!なんで丸暗記しないといけないの?」

 

そこでTさんは、「スマホがないときだってあるでしょ」と言ったそうですが、お子さんは宿題でうんざりしていたため、

 

「じゃあ、なんで昔の歴史とか勉強するの?将来役に立たないじゃん」

 

と返してきたといいます。

 

すると、横で聞いていたパパがまさかの発言をしたそうです。

 

「そうだよな、何でもスマホで調べたらいいと思うよ」

 

Tさんは驚きましたが、そのあとパパはこう続けました。

 

「パパも、仕事でお客さんから、うちの会社のマシンの調子が悪いって電話をもらうんだ。何百種類もあるマシンの部品や仕組みを全部は覚えてないから、いつも調べているよ。でもね、なぜ壊れたのか、どこがおかしくて、どうすれば直るのか…って、調べても載ってないことばっかりなんだ」

 

そして、

 

「学校の勉強って、調べれば分かることを覚えるだけじゃなくて、昔からあることを知って、自分でそれをどう生かすか考える力を身につけることだと思うよ」

 

と話してくれたといいます。

 

実際、大学入試や中学受験でも、難関校では、

 

「~はなんという意味ですか」 「~は何年に起きた事件ですか」

 

などの従来の暗記型の問題に代わって「あなたが~の立場だったら、どうやって戦争を回避しますか」といった問いが増えているといわれ、「三国志」などの本を読んで周囲の人間関係や社会になぞらえて理解し、自分のものにしてきた子が高得点を取れるような傾向が出てきているそうです。

 

おわりに

子どもが「なぜ勉強するの?しないといけないの?」と質問してくる理由は色々あると思いますが、楽しく遊んでいる最中に「なぜ遊ばないといけないの?」とは聞いてこないはず。

 

つまり、この質問が出てきたら、その子にとって「勉強が楽しくない」というサインなのかもしれません。

 

なかなか難しいことかもしれませんが、子どもが「楽しくてしょうがない」と感じられるような学びを提供したり、大人も楽しそうに勉強している姿を見せたりしていきたいですね。

 

文/高谷みえこ