新型コロナウイルスの影響により激動の一年となった今年、社会全体で最もフォーカスされているキーワードといえば「サスティナブル(=持続可能な)」。化粧品業界でも、パッケージや使う原料を環境に負荷をかけないものに変えるなど、社会的に持続可能な取り組みを行うムーブメントが起きています。
そんな背景を踏まえ、今注目のブランドとその取り組みについてご紹介します。
あの「雪肌精」が35周年を転機にリブランディング!!
誰もが一度は手に取ったことがあるのではと思うほど、有名な老舗スキンケアブランド「雪肌精」。そのネーミングのごとく、雪のような白い肌に憧れて、ローションを使った経験をもつ女性も多いのではないでしょうか。
「雪肌精」は35年を迎えるという今年、大きくリブランディング。処方やデザインを変えずに愛され続けてきたブランドの大きな転換は、地球温暖化をはじめとする環境問題、エシカル消費が浸透しつつある現状を踏まえ、今年9月16日、ついにスタートをきりました!
1985年の発売当初から提唱続けてきたのは、「透明感」のある肌。それを叶えてきたのが和漢植物エキスでした。そのDNAを受け継ぎながら、水、植物、食べ物など、地球からさまざまなめぐみを享受しながら、利用者に、そして地球に還元していく、というSDGsを強く意識した打ち出しとなっています。
誰もが憧れる「透明感」のある肌についてさらに研究を深めるため、透明感のある人とない人の肌を数値化する取り組みに着手。「バリア機能を強化することが大切」という考えのもと、100名以上の肌を解析して、3つのバリアを整える独自成分“ITOWA”を開発し、全製品に配合しています。
雪肌精 クリアウェルネス ナチュラル ドリップ 200ml 3600円(編集部調べ/税抜)、ピュア コンク 200ml 3400円(編集部調べ/税抜)/ともにコーセー
肌悩みや肌質に合わせ、2つのタイプ「効能タイプ」と「フリータイプ」を同時発売しました。“地球のめぐみ”から着想を得たボトルデザインにも注目。「効能タイプ」が瑠璃(るり)色、「フリータイプ」が雪肌をイメージした白雪色で、有機的な曲線を描くフォルムは“水の滴”がモチーフとなっています。
肌悩み、肌質に合わせた2つのラインが新登場
「効能タイプ」は、皮脂の酸化に着目しているのがポイント。透明感を追求したスキンケアラインと、パラベンフリー、フェイシャルソープを除いた全ライン無着色を実現しています。
ローズとジャスミンにハーバルでウッディな要素を取り入れた、透明感を感じさせる香りも印象的。代表製品である「ナチュラル ドリップ」は、少しとろみのあるまろやかな使い心地。肌をうるおいで満たしてくれます。
一方「フリータイプ」は低刺激処方で、肌への優しい使い心地を重視しながら、透明感を与えるスキンケアライン。アルコール、パラベン、鉱物油フリー、無香料、無着色、パッチテスト済みと、とことん肌への優しさを追求した処方設計となっています。低刺激性化粧水「ピュア コンク」は肌に優しくなじみ、穏やかに浸透します。
どちらにも、和漢植物をはじめとしたゲットウ葉エキスやシャクヤク花エキスなどの植物由来成分を贅沢に詰め込んだ“ITOWA”を配合。うるおいバリアの量と質を高めることで、肌あれを防ぎ、健やかな状態に保ちます。
「効能タイプ」では、化粧水のほか、ハイドレイティング ジェル、ミルク クレンザー、フェイシャル ソープを、「フリータイプ」では、化粧水のほか、リファイニング ミルク、クレンジング ジェル、ジェントル ウォッシュなど、幅広い展開となっています。
地球環境に配慮した企業の様々な取り組みに注目
コーセーはプラスチック容器包装資材のサスティナビリティに配慮した設計について、2030年までに100%採用を目指す目標を掲げています。
その施策として、ラベルレス、プリントレスのミニマムな佇まいのボトルに、箱は日本のリサイクルの90%以上という段ボール素材を採用。「雪肌精 クリアウェルネス」では、商品のパッケージの一部に植物由来の“バイオマスプラスチック”を採用することで、CO2排出量の提言に貢献しています。また、商品に印字するインキは生分解されやすい“バイオマスインキ”を採用し、プラスチックの使用を控え、フィルムも廃止しました。紙の説明書をデジタル化して紙の使用量も削減するなど、細かい配慮が光ります。
また、2009年より行っている沖縄のサンゴ育成活動をはじめ、2019年6月より取り組んでいる東北の森林保全活動への寄付や啓蒙など、地球環境の保全にも貢献。社会的課題であるプラスチックゴミ対策や低炭素社会の実現に対する取り組みの一環として、「雪肌精 クリアウェルネス」の化粧水「ナチュラル ドリップ」などの6品目の商品でレフィルタイプも発売するなど、積極的に社会的課題へ取り組んでいます。
大手メーカーのこうした取り組みは社会全体に与える影響も大きいもの。今後の新たな試みにも期待したいですね。
文/久保直子 撮影/清永 洋