もっとも大切なのは困ったときに頼れる相手でいること

—— 親は、子どもの性の芽生えをどのように見守ればよいでしょうか。

 

遠見さん:

プライベートパーツの話をきっかけに、性に関する話題を少しずつ伝えたり、話し合ったりできるようになるといいですね。ただ、失敗させないための教育にとらわれすぎないで。生きていれば、失敗は誰にでもある。性に限らず、傷ついたり、つまずいたりせずに人生を送れる人はいません。

 

だからこそ、最も重要なのは、子どもが困ったときに親に相談できる関係性を築いておくこと。「おはよう」「おかえり」といったあいさつから、「今日何があった?」「どんな気持ちになった?」といったオープンクエスチョンで日頃からコミュニケーションを。その際は、否定したりジャッジしたりしないで話を聞き、一緒に考えることを心がけてください。

 

中高生からよく聞くのは、親に性に関する話をして、「何やってるんだ!」「あなたも悪い!」と叱られたり、責められたりして、ショックを受けた、不信感を募らせたという話。なかには「一生親には相談しないと心に決めました」という子もいる。保護者の方々には、子どもから性の話や相談をされたときに、寄り添ってあげられる相手でいてほしいなと思います。

 

PROFILE 遠見才希子(えんみ・さきこ)さん

筑波大学大学院社会精神保健学分野博士課程/産婦人科専門医。1984年、神奈川県生まれ。2011年聖マリアンナ医科大学医学部医学科卒業。全国700カ所以上の中学校や高校で性教育の講演活動を行う。著書に『ひとりじゃない』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。

 

取材・文/有馬ゆえ