子どもの語彙力を伸ばしたくて、本を与えているのにちっとも興味を示さない…と、思ったことはありませんか。

 

もちろん読書体験はいいものですが、

さまざまなプログラムで子どもたちのことば力を育ててきた高取しづかさんによると、

語彙を増やす方法は「読書」以外にもあるそう。

 

子どもの「語彙力」を伸ばす具体的な方法について、高取さんに教えてもらいます。

 

語彙力のトレーニング】会話やことば遊びからも、ことばは豊かになる

話すとき書くとき、もっと語彙力があったらいいのに、と思う人は多いでしょう。語彙がないと、相手の話の内容を理解することも、相手に伝わるような表現も望めません。上手に気持ちが言える子どもは、気持ちを表すことばの数が豊かです。

 

語彙を増やすには、ことば遊びがおすすめです。しりとり、さかさまことば、連想ゲームなど、ことばに興味を持つことから始めましょう。興味を持っていれば、子どもは自分からことばをどんどん知ろうとします。おやつの時間や車に乗っているとき、家族で楽しくことば遊びをしてみましょう。

 

語彙力のある人というのは、単に知っていることばの数が多いということではありません。文脈に合わせて、適切なことばを選択できる力が語彙力です。語彙を増やしていくには、人の話を聞きながら文脈の中でことばや表現の仕方を理解していきます。「こんなときは、このことばを使うのか」「ああ、こういうところでこんな言い方もできるのか」と、語彙を増やしていくのです。

 

語彙は覚えるのではなく、状況の中で身につけていくものなのです。ですから、「会話」や「読書」が大切なのです。とくに親子の会話は、重要です。親子のコミュニケーションが豊かで、たくさんのことばが交わされていると、子どもは知らず知らずに豊かな語彙力を身につけていきます。

 

語彙を豊かにするワークとしておすすめしているのが「ことばの言い変え」です。たとえば、「美味しい」ということばがあります。「美味しい」ということばには、いろいろな要素があります。ほかにもどんなことばで言い変えられるでしょうか。家族で唐揚げを食べるときに「美味しい」という表現を、別の表現で言い変えてみましょう。

 

「外側がカリカリで、中はジューシー」「ほっぺがおちるほど、うまい!」「においが香ばしい」など、最初に親が促してみてください。親と子どもで言い合ってみるのも楽しいものです。子どもの発想に驚くかもしれませんよ!親子の会話に取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

また、子どもと話すときに話題になっていることを「これどんな意味かわかる?」と聞いて、わからなかったら一緒に、辞典やネットを使って調べてみましょう。ことばに興味を持ち、調べる習慣がつきます。リビングや食卓に辞書を置いておくのもいいですね。

 

語彙があると、洗練された言い方ができます。「どいて!」というよりも「通れないからよけてくれる?」の方が、感じがいいでしょう?言いたいことをストレートに言うと、相手に失礼な印象を与えることがあります。相手の気持ちを考えて、洗練された豊かな表現ができるのも、語彙力があってこそ。人間関係を円滑にするコツでもあります。

 

親子で一緒に、語彙力をつけていきましょう。

 

PROFILE 高取しづかさん

髙取しづかさんプロフィール写真
NPO法人JAMネットワーク代表、ことばキャンプ教室主宰。「子どもの自立トレーニング」をテーマにメディア出演や講演を行っている。『ことば力のある子は必ず伸びる!』(青春出版社)など著書多数。

 

ことばキャンプとは…

人とつき合っていくときにかかせない、コミュニケーションする力のトレーニングプログラム。 米国の学校や家庭で行われていたオーラルコミュニケーション教育と異文化コミュニケーションを分析し、7つのチカラ(度胸力・論理力・理解力・応答力・語彙力・説得力・プレゼン力)を伸ばすために考案された。7つのチカラ引き上げを狙いとしたトレーニングによって、話すチカラ、聞くチカラを楽しく身につけられる。
ことばキャンプ http://kotobacamp.com/

 

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文/高取しづか イラスト/fancomi