「子どもの発熱で休みをとったら『やる気がない』と評価されて退職に追い込まれた」
「急なお迎えや園行事の休みには対応してもらえた反面、重要な仕事は任せられなくなった」
「ストレスと過労で倒れ、保育園や家族に迷惑をかけて以来、そこまでして働かなくてもよいのでは、と考えるようになった」
これらの切実な声はすべて、「育児と仕事を両立することに難しさを感じたのはどんなときでしたか?」という質問に対して、CHANTO WEBの読者アンケートで寄せられた声です。
共働き世帯が増え、女性の就業率が上昇する一方で、育児と仕事の両立はなぜこんなにも厳しいのでしょうか?
法律や会社の制度とは別に、個々人が肌で感じている居心地の悪さや困難さとは?
10月のオピニオン特集「ママになっても働きやすい職場が必要です」第3回は、読者アンケートに寄せられた子育て世代の切実な声を紹介しながら、オフィス・キャリーノ代表 朝生容子さんにその社会背景についてひもといてもらいます。
マタハラ防止法はできたけれど
2017年、男女雇用機会均等法および育児・介護休業法の改正により、各企業は職場での妊娠・出産・育児休業を理由とした嫌がらせ(=マタニティハラスメント)防止措置を講じることが義務付けられました。
ただし、2020年現在も法律にまだ社会が追いついていないのが実情ではないでしょうか。実際、妊娠・育児がきっかけで退職を迫られた、という女性は決して少なくありません。
1人目の妊娠中、切迫早産で入院することになり、仕事を続けることができずに退職。産後に新たな職を探しましたが、産後すぐだったため内定がもらえず、断られ続けました。2人目を出産し、落ち着くまで再就職は困難でした(39歳化粧品販売員/長男10歳、長女8歳)
以前働いていた職場は、激務すぎて時短勤務の先輩が毎日4時間も残業していたり、妊婦さんが必ず切迫早産となってしまったりという過酷な環境でした。この職場で子育てをしながら仕事を続けるのは難しいと感じ、転職した後、妊娠・出産しました(30歳公務員/長男1歳)
仕事も育児も中途半端になってしまい、仕事の疲れやストレスを子どもや夫にぶつける日々が続き、何のために働いているのか、子どもを預けてまで働く意味があるのか、悩みました。また激務な時に過労で倒れ、保育園や家族に迷惑をかけた上に、せっかくの初・家族海外旅行も当日キャンセルに…。そこまでして働かなくても良いのではないか、と考えるようになりました(37歳メーカー勤務/長女5歳、次女10カ月)
子育て中の先輩ママから「職場では育児を理由に早く帰ることを謝って、家では仕事を理由にかまってあげられないことを子どもに謝って…全方位に謝ってばかり」というエピソードを聞かされて、メンタルの強くない自分にはしんどいな、と感じて退職。フリーになりました(33歳フリーランスのWEBライター/長女4歳)
また、お腹が物理的に大きくなることで、これまで通りに働き続けることが難しいという職種もあります。
保育士ですがマタハラをされて退職しました。自分のお腹が大きくなっても、子どもたちとの関わりは減らせない。でも、お腹をかばいながら子どもと遊ぶのは本当に難しくて。つわりがひどい時期でも、園児の前では給食を残せなかったのもつらかったです(36歳保育士パート/長女6歳、長男2歳)
他にも、「体力的に無理を感じた」「激務な職場で両立できる気がしなかった」「夫が育児に非協力的/激務だった」「親など頼れる人が近くにいなかったから」など、さまざまな意見が寄せられました。