最近では、シャンプーや洗剤の詰め替えやペットボトルの分別など「料理」「掃除」「買い物」などに含まれない細かい作業は「名もなき家事」と呼ばれ、少しずつその存在が認知されてきました。
それに続いて昨年あたりから話題になりつつあるのが「待ち受け家事」と呼ばれるもの。
今回は「待ち受け家事」とはどんな家事のことをいうのか解説、対策も考えてみます。
「待ち受け家事」とは?
「待ち受け」と聞いて、スマホや携帯電話の「待ち受け画面」を思い浮かべた人もいるかもしれません。
「待ち受け家事」とは、おもに2019年に株式会社LIXILが提唱した一連の家事をまとめた呼び方で、名前のイメージ通り、毎日の家事のうち、自分で先に進めることができず待機するしかないものを指します。
具体的にはどのような状況なのか、アンケートで多かった内容を見ていきましょう。
帰りが遅い夫や子どもの食事作りと片付け待ち
夫の帰りが遅く、家で夕食を食べるのか、会社で軽く食べてしまうのか、はたまた飲みに行っているのか…たずねても返信がなく分からない。
子どもも高校生や大学生になると、部活帰りに友だちとファーストフードに寄り道したり、バイトのシフトが親に伝わっていなかったりで、夕食食べるの?食べないの?と、片付けるに片付けられないことも。
仕方ないので取り分けておくけど、食洗機は最後に全員分まとめて入れてしまいたいから一時中断。
どうしようかな、もう洗ってしまおうかな…と、食事にまつわる「待ち受け」は発生頻度が高いようです。
せめて予定を伝えておいてくれればいいのにと、ちょっとイライラする気持ちも分かりますよね。
小さい子どもの食事待ち
「明日も仕事だから、早めに夕食を済ませお風呂に入って、アイロンもかけなくちゃ」
頭の中でシミュレーションしていると、平日の夕食はつい急いで食べてしまいがち。
でも、ママが食べ終わってふと見ると、子どもはまだまだゆっくり食べている…ということも多いのではないでしょうか。
きょうだいなら、上の子だけ食べ終わっても下の子が終わらないと2人一緒にお風呂に入れられないので、ここでも待ち時間が発生してしまいます。
「おしゃべりと食事を楽しむ時間」と割り切って過ごせれば良いのですが、平日のワンオペ中にはなかなかそこまでの余裕がないのが実情ではないでしょうか。
スーパーマーケットのレジ待ち
保育園のお迎えからの買い物、スーパーマーケットが混み合っていると、レジでの待ち時間も「待ち受け家事」として発生します。
お腹を空かせた子どもを連れているときは1分1秒も貴重な時間。できるだけ発生してほしくない「待ち受け」ですね。
可能な限り予定を立てて買い物と作り置きをしておき、たりないモノは昼休みにネットスーパーなどから補充するという方法をとっているママもいます。
ただ、そのネットスーパーも、後述しますがまた新たな「待ち受け家事」を生んでしまうという問題も…。
洗濯機の運転待ち
共働き世帯の全自動洗濯乾燥機(いわゆるドラム式洗濯機)の普及率は、2018年の調査では約58%といわれています。
つまり半数近くの家庭では洗濯機に乾燥機能はついていないため、洗濯物を干してしまうまでは出かけられなかったり、眠りにつけなかったりする人もたくさんいるということですよね。
さらに子どもが小さいうちは、おむつの漏れ・離乳食で服や敷物がベタベタ・トイレトレーニング中の失敗などで、予定外に何度も洗濯機を回すことも。
さらに、ドラム式といえど、縮みやすい素材の衣類やワイヤー金具つきの肌着など乾燥機にかけられない洗濯物もあるため、洗濯のために発生する「待ち受け時間」もやはりゼロにはできないようですね。
1位は「宅配便の受け取り待ち」!
上記のアンケート調査で、もっとも「ストレスが大きい」と答える人が多かった待ち受け家事は、「宅配便の到着待ち」でした。
宅配便は到着時間帯を指定できるとはいえ、「16時~18時」など2時間以上で区切られていることが多いもの。
子どもの習い事の送り迎えなどが重なると短時間に出たり入ったりするため、2時間ずっと家で待機しているのはけっこう大変だったりします。
午前中指定の荷物が午前11時55分に届いたため、出かける準備がすっかり整ったまま家で待機していた人や、とつぜん夫から電話で
「もうすぐ20時頃に宅配便届くから!残業になっちゃったから受け取っておいて」
と頼まれ、お風呂に入れず待っていた人など、宅配便にまつわるエピソードはママ友とも色々と話題になるのではないでしょうか。
再配達になるのは申し訳ない・電話するのが面倒・早く商品が使いたい…などさまざまな理由で発生する宅配便の「待ち受け」。
最近は、マンションだけでなく一戸建て用の宅配ボックスを利用したり、受け取り不要で玄関先に置いてもらう「置き配」を指定する人も。
「置き配」の場合、盗難・紛失のリスクはありますが、万が一盗難にあっても補償が効くケースもあるので、日用品のストックなどであれば利用しても良いかもしれませんね。
おわりに
あらためて見てみると、日常のなかで、自分ではコントロールしづらい「待ち受け家事」の時間が意外と多いことがわかります。
家電や宅配便と比べ、思い通りにいかないのは、実は「家族」の待ち受け家事かもしれません。
自分でできることは自分でやる、帰りが遅くなるときは早めに連絡を入れるなど、家族みんなが不要な「待ち受け家事」を発生させないよう気を配りたいですね。
文/高谷みえこ
参考/株式会社LIXIL《30代~40代の既婚女性300名に聞いた“待ち受け家事”の実態調査》 https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M101444/201910282705/_prw_PR1fl_b3xSOQ74.pdf