日本の家庭で女の子が初潮を迎えると赤飯を炊いてお祝いする習慣は、CHANTOのママ世代の子ども時代から、多くの家庭で行われていたのではないでしょうか。
しかし最近ではSNSなどを中心に「当時、私自身が本当にイヤだったから娘には絶対しない」「デリカシーがない行為」と是非を問う風潮が高まっています。
また男性からも「男の子の精通を家族で祝われたら…と想像すると、恥ずかしくて耐えられない」と、女の子の気持ちを理解する声が増えています。
そこで今回は、小学生・中学生の女の子がいるママを中心に、この習慣をどう思うか、また自身の家庭では何かお祝いしたのか…などを教えてもらいました。
初潮平均年齢はいつごろ?
日本の女の子が初潮を迎える平均年齢は、ここ10年以上のあいだ12.2歳で推移しています。
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小学校6年生前後といえば、思春期まっただ中。
芸能人に夢中になったり、クラスに好きな男の子ができるなど異性を意識しはじめる年頃で、初潮以外にも胸がふくらんでくるなどさまざまな第二次性徴が起こります。
同時に、家族の中でも、異性である父親を避けたり、個人的な話をしたがらなくなる子も多いですが、これは正常な発達の段階だといわれています。
「初潮のお祝い」しなかった家庭は65%
生理用品のメーカー・ユニ・チャームが実施した「初経(初潮)のお祝いしていますか?」というアンケート結果によると、約3分の2にあたる65%の家庭で、特に初潮のお祝いはしなかったということ。
さらに、お祝いしたという人も、ケーキや子どもの好物などを用意した人が多く、昔ながらの赤飯を炊いた人は少数派のようです。
特にお祝いをしなかった人は「本人が恥ずかしいから家族に言わないでと希望した」「自分がお赤飯を炊いてもらって恥ずかしくて嫌だった」というような理由をあげています。
なぜお祝いに「赤飯」なの?
ところで、なぜ初潮を迎えたお祝いとして「赤飯」を炊く風習ができたのでしょうか?
調べてみると、「小豆の色には魔除けの意味があるから」「思春期の子に直接初潮の話をしにくい父親や祖父母に、順調に成長していることを伝えるため」など諸説があります。
しかし一説には、江戸から明治にかけての家父長制社会では、女性や女の子は家の所有物と見なされ、初潮が来れば「婚姻・出産できるようになった」ということを村や近所に知らせるため、赤飯を炊いて配ったのが由来…という見方もあります。
男の子の「精通」にお祝いがないことを考えると、いっけん子どもを祝うと見える「赤飯」の風習は、必ずしも本人のためではなく、家の都合だった…という可能性もあるかもしれません。
ママに聞く、「お祝い」どうしてる?
今回、お子さんに初潮があったとき何かお祝いをしましたか?と、小学生・中学生の女の子がいるママたちに聞いてみました。
「初潮は子どもが順調に成長している証拠なので、喜ばしいことではありますよね。全く何もなしではちょっと…と思ったので、お祝いの気持ちをこめてケーキを買いました。といっても、クリームをピンク系にとか、あからさまなことはしませんでしたが…」(Iさん・43歳・当時中学1年生のママ)
誕生日やクリスマスしかケーキを買わない家庭では「今日ってなんの日?」と、きょうだいが不思議がるかもしれませんが、ときどきデザートに買うのであれば、家族に気付かれずさりげなくお祝いの気持ちが伝えられそうですね。
「大人の女性に近づいたお祝いなのだからと思い、前から欲しがっていたお姉さんぽいファッションアイテムを買ってお祝いしました」(Kさん・40歳・当時6年生のママ)
「特にお祝いらしいことはしませんでしたが、順調に成長しているね、よかったねという言葉をかけました」(Mさん・40歳・当時5年生のママ)
おわりに
日本では、女性がもっと活躍する社会を目指しているにもかかわらず、生理について話題にするのはタブーで、「ないもの」として扱う職場や環境がまだまだあります。
初潮の時だけお祝いするのではなく、「生理は個人差が大きいこと」「人によっては業務や家事育児に支障をきたすこと」をすべての人が認識できるような教育や研修の機会を増やすことが必要ではないでしょうか。
もちろん、初潮は順調な成長の証なので、お祝いするのはすばらしいこと。
ただし、伝統にとらわれず、本人の気持ちも大切にしていけるようなお祝いの形が取れれば一番です。
親の側も意識をアップデートしていきたいですね。
文/高谷みえこ
参考/初潮(初経)のお祝いはした?お赤飯、プレゼント?-ソフィはじめてからだナビ https://jp.sofygirls.com/ja/family/after_firstperiod/voice_congrats_01.html
書籍『実践レポート ひらかれた性教育 2』北沢杏子著/アーニ出版