早い子では1歳半あたりからやってくる「イヤイヤ期」。

 

「イヤイヤ」は順調に子どもの心が発達している証拠…とはいうものの、今までスムーズにできていた場面でも、ことごとく「イヤッ!」と反抗されて、予定通りにスケジュールが進まず困っているママ・パパもいるでしょう。

 

今回は、元保育士を含む3人のママの体験談も参考に、イヤイヤ期への対応はどうするのがベストなのかを考えてみました。

 

1歳半でイヤイヤ期到来。メリットもある?

Sさん(31歳・3歳児のママ)は、お子さんが1歳台でイヤイヤ期に入り、戸惑ったそうです。

 

「よく魔の2歳児って言うじゃないですか。でも当時はまだ1歳半になったばかりで、ママ、マンマ、パパ、ワンワンくらいしか言えないのに、お風呂入ろうね~と言うと、イヤ!保育園に行くからお着替えしようねと言っても、イヤ!ときっぱり言うので、え?もうイヤイヤ期なの?と…」

 

しかし、ある調査では、イヤイヤ期が始まった時期は「1歳半」が56.8%となっており、半数以上の子が1歳台でイヤイヤ期を迎えていることが分かります。

 

関連記事:イヤイヤ期はいつからいつまで?「ない子もいる…だと!?」

 

「まだ話せないから、この子は今なにに対して怒っているのか、本当はどうしたいのかがつかめず困りましたが、もっと遊びたかったの?とか、触ってみたいよね、でもこれはお店のだからね…と、できるだけ私が口に出すようにしていました」

 

現在は3歳になり、自分の希望を言葉で伝えられるようになってイヤイヤ期も一段落したそうです。

 

「でも、あとになってみると、同じようにスイッチが入って暴れるとしても1歳半と3歳近くでは力の強さも声の大きさも段違い。私の消耗度合いを考えると、早いほうがむしろラクなのかも…と思うようになりました」

 

と、早めのイヤイヤ期のメリットも教えてくれました。

 

イヤイヤにもいろんな意味があるのねと気づいた

7歳・4歳・2歳と3人のお子さんがいるWさん(36歳)は、それぞれのお子さんのイヤイヤ期を経て、「イヤ」の意味は1つではないことに気づいたそうです。

 

たとえば長男の場合は、

 

「2歳過ぎからイヤイヤ期が始まったのですが、私をはじめとした大人に先に行動を決められるのがイヤで、とりあえずなんでも拒否する…というパターンでした」

 

と、比較的王道のイヤイヤ期だったそう。

 

「特定の服や靴にこだわっているわけではないので、必死に説得するよりは、少し時間をおいてクールダウンしたり、今日の楽しい予定などを話しかけて気分転換した時に再度誘ってみると、比較的すんなり聞いてくれることが多かったですね」

 

と話します。

 

2人目のお子さんは、

 

「長女はイヤイヤ期がもう少し早くて1歳7ヶ月頃から。自分の中では意志ややりたいことがあるのですが、それが言い表せず、言えるのはイヤだけ…でよく泣いたり怒ったりしていました」

 

という感じだったそう。

 

「2歳半を過ぎると、ずいぶん自分の要望が伝えられるようになりました。ただ、その要望が叶わないときは相変わらずかんしゃくを起こしていましたが…」

 

エレベーターのボタンを押したいのに他の人が押してしまったとき、お菓子は1個ずつなのに2個欲しいとき、公園から帰る時間になってもまだ遊びたい時などはイヤイヤが激しかったとのこと。

 

「しかも3人目の妊娠中で切迫早産気味だったので、抱っこをせがまれてもできない時が多く。夫がいない平日は特に大変でした」

 

そして3人目のお子さんになると、Wさんもかなり冷静に観察・判断できるようになったといいます。

 

「朝、ごはんを出すと、イヤ!と言うのですが、パンもあるよ?と聞いてもイヤ!おなかいっぱいだから食べない?と聞いてもイヤ!なので、様子を見ていると、どうも、イヤ!はNOではなくて、”考え中”だということに気づいたんですね」

 

そこで返事を急かさず、決まったら教えてね、と側で他の用事をしていると、自分から「ごはんたべるー」と教えてくれることが多いそう。

 

ほかにも、「イヤイヤが、本当はイヤじゃなくてやりたいけどできない、自分でもそれを知っているから心の準備がしたいんだ…という時もあるのが分かりました。前は、すべり台やる?と聞いたらイヤというのでその場を離れようとするとイヤーーー!ともっと激しく泣き出して大変なこともありましたが」

 

など、子どものイヤイヤを翻訳するコツがずいぶん分かってきたそうです。

 

「保育園でのワザが使えず焦ったことも!」

最後は、元保育士のTさん(33歳)の体験談です。

 

「イヤイヤ期まっさかりの2歳児クラスを受け持っていた時期もあるので、わが子のイヤイヤ期に対してもそこまで身構えていませんでした。が…保育園と自宅では、かなり違いましたね」

 

Tさんは、夫の転勤を機に退職して、現在は家で3歳の女の子を育てています。そのお子さんは2歳直前からイヤイヤ期に突入。

 

もちろん個人差もありますが、当時の保育園の子たちと比べ、数倍激しいわが子のイヤイヤに苦労したそうです。

 

「保育園の子たちも、保育士との信頼関係がちゃんとあるからこそ、みんな思いを表現してくれていたのですが、やっぱりわが家ではもっとイヤイヤ全開なんだろうな~と苦笑することもよくあります」

 

保育園でのイヤイヤ対応テクニックが家で使えないこともあったそう。

 

「娘はとにかくおむつ替えを嫌がって。保育園ではそんなとき、仲良しのお友だちと一緒にトイレやおむつ替えスペースに誘うとスムーズに行けることも多いんですが、家はこの子1人ですよね。困った!と思いました(笑)」

 

「でも、代わりにお気に入りのぬいぐるみをお友だちに見立てて誘うようにしました。けっこう効果ありますよ!」

 

関連記事:イヤイヤ期は「モノに人格を与える」と乗り越えられる!?

 

ほかにも、保育園での経験から、

 

「おむつ替えよっか?とYES/NOで聞くのではなく、最初から替える前提で、いつ替える?と聞いたり、ママ先にトイレで待ってるね、来たくなったら来てねと声かけすると成功率が高いと思いますよ」

 

とも教えてくれました。

 

おわりに

ママたちの体験談からは、年齢やその子の性格などによってさまざまな「イヤイヤ期」があることが分かり、それぞれに合った対応のヒントが伝わってきます。

 

共通するのは、イヤイヤが始まったら結果を急がず少し時間をおいてみることや、本当にイヤなのか、別の思いを「イヤ」で表しているのかを少し考えてみること…などでしょうか。

 

本当に何をしてもおさまらない「イヤイヤ」もあり、必ずしもうまく行くときばかりではありませんが、対応の参考になれば幸いです。

 

文/高谷みえこ

参考/博報堂|「イヤイヤ実態調査」第一弾の結果を発表 https://www.hakuhodo.co.jp/uploads/2018/01/20180118.pdf