子どもは毎日規則正しく安全に暮らし、自立できる子に育ってほしい。

 

ママやパパはみんなそう願っているのではないでしょうか。

 

そのために家ごとの色々なルールがあり、「守ろうね」と親子で約束している家庭も多いことでしょう。

 

でも、それがきちんと守れているかというと…「なんでウチの子はこんなに約束守れないの!?」と、毎日のようにイライラしているという人もいるかもしれません。

 

今回は、約束を守れない子どもの心理や、ママ・パパたちの工夫を紹介。

 

それでも子どもが約束を守らないときはどうしたらいいのかについても考えてみました。

【年齢別】子供が守らない約束とは

まずは、未就学児・小学生・中高生、それぞれの年齢別に「約束」の内容やお悩みを紹介します。

3歳~6歳の子どもたち

「約束」とは、そもそも何でしょうか。

 

「ルール」は、子ども自身が理解していなくても家庭や保育園などその場ごとに存在しますが、「約束」は2人または複数のあいだでお互いの合意のもとに交わすもの。

 

つまり、赤ちゃんやヨチヨチ歩きの幼児には、まだ約束の概念がほぼ備わっていないといえます。

 

そこで、そろそろ約束の意味が理解できる年頃の3歳~6歳のお子さんがいるママに、「親子で約束していることはありますか?」と聞いてみたところ、以下のような約束ごとが挙げられました。

 

  • おもちゃを出したら元の場所に戻す
  • 靴をそろえる
  • 朝は必ずおはようとあいさつする
  • ごはんの途中で席を立って遊ばない
  • 食べたら歯磨きをする
  • お風呂は肩までつかって20数える
  • 寝る前の絵本は3冊まで

 

など、厳密にいうと「約束」というよりは、毎日の生活習慣やしつけに分類される内容が多いことがわかります。

 

これらを「お約束」と位置づけて、忘れたら教える、できたら感謝したりほめたりする…のくり返しによって「決めたことを守る」準備をする段階だともいえますね。

 

また、おもちゃを「つぎ貸して」「いいよ」と言ったらちゃんとその子に貸すなど、きょうだいや友だちとの約束を守ることを覚えていく時期でもあります。

 

もちろん約束通りにできないことも多いですが、あくまでも準備・練習段階と考え、結果を急がずにくりかえし教えていくことが大切です。

小学生の子どもたち

続いて小学生ママに「子どもと約束していることはありますか?それは守れていますか?」と聞いてみたところ、次の3つが多く、「テッパン」といえるものでした。

 

しかも「守れていない」と答えた人もかなり多くなっていました。

 

  • ゲームの時間(守れていない…55%)
  • 生き物の世話(守れていない…72%)
  • 宿題を先にやってから遊ぶ(守れていない…35%)

 

特に「生き物の世話」については、子どもがやらなかった場合はペットや植物の命にかかわるため、仕方なくママが代わりにやっているうち、それが固定してしまった…というパターンが多いようです。

中学生・高校生の子どもたち

判断力や自制心が備わってくるはずの中学生・高校生ですが、やはり次の2点では約束が守れない子もかなりいるようです。

 

  • スマホの使用時間(守れていない…36%)
  • 遊びに行った時の門限(守れていない…24%)

 

どちらも、親との約束よりも友人関係を優先させる年代ということもあり、単純に「楽しいから」というだけでなく「自分だけ会話や遊びから抜けづらい」という事情もあるようです。

 

また、この年代のママに多かったのが「父親に相談しても、頭ごなしに叱ったり、お前の育て方が悪いと責められるのでなかなか相談できない」という悩みでした。

 

ママのワンオペ育児が続いた家庭ではやむを得ない面もありますが、できるだけお子さんが小さいうちから、夫婦で悩みを共有できる環境を作っておきたいですね。

子どもが約束を守らない・守れない理由

子どもが約束を守らない(守れない)のは、一概にその子がいいかげんな性格というわけではなく、以下のような子ども特有の心理や思考回路が働いていることが多々あります。

見通しを立てるのが不得意

目の前のことが最優先で、先々の見通しを立てられないのは、子どもの大きな特徴です。

 

個人差はありますが、ペットの犬が飼いたくて、

 

「毎日絶対に世話するから!!」

 

と言うとき、子どもは1週間後・1ヶ月後・半年後に自分がその約束を守れているか…はイメージできていないことが多いでしょう。

約束を守らなくても「いま」困らない

仮に子どもが長時間ゲームに夢中になっていても、その場で急に視力が落ちるわけではないし、宿題を放置して遊びに出かけても困るのは夜になってからの話。

 

上記と同じく、先の見通しができないことが理由ですが、たったいま困っていないのに「ゲームを切り上げよう」「先に宿題をしよう」と考えて行動できる子は少数派です。

 

もしわが子がそうであれば、思いっきりほめてあげて下さいね。

ギャングエイジである

小学校3年生から4年生頃に多いのが「ギャングエイジ」と呼ばれるこの年代特有の行動パターンです。

 

関連記事:集団でやんちゃ放題…小学生の「ギャングエイジ」とは?

 

親や大人ではなく、仲間同士のコミュニティの価値観を重視しはじめ、ママやパパから見ると「約束を守らなくなった」と見えることも。

 

しかし、本来ギャングエイジは成長のためには欠かせない時期とも言われています。

 

頭ごなしに従わせるのではなく、「接し方を変えるときが来た」と考えるのがいいですね。

「約束」のつもりじゃなかったのに…

同じ「約束を守らない」でも、子どもが自分から言い出したことを守らない時は、親として一番頭にくるシチュエーションではないでしょうか。

 

でも、もし子どもが「明日から毎日6時半に起きる」「ひとりで寝る」など宣言したとしても、本人は「起きられたらいいな」「ひとりで寝られたりして」という程度の願望を口にしただけだったのに、ママやパパが「約束」ととらえてしまったとしたら…。

 

「自分で言ったことを守らないなんて!」と必要以上に叱られれば、子どもは「今度から、うかつに前向きなことを口にしないでおこう」と考えてしまうかもしれませんね。

ママやパパに聞く、約束を守りたくなるアイディア

「お子さんが約束を守れるように工夫していることはありますか?」という質問に対し、ママやパパたちは以下のような方法を教えてくれました。

 

「私は、宿題しないと遊びに行けないよ!という言いかたをすぐしてしまうんです。でも、それは二重否定といって子どもに伝わりにくいと何かで読んだので、できるだけ、宿題終わったら遊びに行こうね!と言い換えるようにしています」(Tさん・40歳・4年生と1年生のママ)

 

「ゲーム機やスマホは子どもに買ってほしいと言われた時がチャンスよ、と職場の先輩ママに聞いていたので、子ども主体でルールと約束を決めました。親からは、視力の低下や睡眠不足・ごはんの時間に来ないことなどを心配しているよ…と伝えたら、それを回避するための案を一生懸命考えて出してきました」(Hさん・40歳・小学5年生のママ)

 

「うちはゲーム機は私が預かっていて、終了時刻のタイマーをセットして持ってきたら引き替えに渡します。急にピピピと鳴っても終われないときがあると言うので、あと10分になったら声もかけています」(Aさん・37歳・小学3年生のママ)

 

「最初に約束事を決めても、親も忙しいと忘れがちですよね。私はいちおう、スマホの予定表に約束・ルールのチェックリストを入れて、金曜日にアラームを鳴らし、今週も約束守れた?と子どもと一緒に振り返っています。守れたらもちろんすごくほめますよ」(Kさん・39歳・5歳児のママ)

 

「子どもが宿題がめんどくさい気持ち、すごく分かるんですよ!なので、私も、”洗濯物たたむのめんどくさいなぁ…”と声に出して”でも先にやった方が気分いいからやっちゃおう!”など、心の動きを実況中継して聞かせています」(Jさん・40歳・小学2年生と4歳児のママ)

その約束は本当に必要か?考えることも大切

上記のように、いろいろ工夫しても、やっぱり約束を守らない・守れないわが子…。

 

そんなときはどうすればいいでしょうか?

 

厳しく叱ったり罰を強化したりすれば、一時的に約束を守るようになるかもしれませんが、できればなぜその約束を守る必要があるのか、子ども自身に納得してほしいですよね。

 

まずは、約束の中身がその子にとってどこまで重要なのか見直してみましょう。

 

「その子にとって」という点が重要で、きょうだいでも1人1人性格やタイプが違うので、完全に全員を同じルール・条件に設定する必要はないといえます。

 

「おもちゃを1個出す前に1個片付けようね」と約束しても、すんなりできる子とできない子がいます。

 

何度言っても新しいおもちゃに夢中になると忘れてしまう…という時は、「もう○歳だからそのくらいできてほしい」といった願望を抜きにして、今はできないんだね、じゃあどうしようか…と、子どもなりの理由を聞いた上でルールを見直すなり、もし片付けなかったらどうなってしまう?と問いかけてみるなどの対応がおすすめです。

 

そして最後に、ママやパパ・周囲の大人が約束を守っているか、もし守れなかった時に謝っているか…も、振り返ってみることが大切ですね。

おわりに

実は筆者も自分自身がとても忘れっぽく、子供に頼まれたモノを買い忘れてしまうことも日常茶飯事です。

 

そのかわり、子供が悪気なく忘れたことに対しても非常に寛容という自信はあります(笑)。

 

どうしてもわが子にはたくさんの期待をしてしまいますが、人として必ず守りたいことや命に関わることはともかく、時には「子どもはなかなか約束を守れないもの」と肩の力を抜いてみると、子どものいい面がもっと見えてくるかもしれませんね。

 

文/高谷みえこ