相手が何をしていようとおかまいなしに、自分の興味のあること、話したいことを一方的に話すわが子。友だちや周りの大人が困惑しているところを見たりすると心配になりますよね。
相手が不快にならない話し方はどう教えればいいのでしょうか。さまざまなプログラムで子どもたちのことば力を育ててきた高取しづかさんに聞きました。
【理解力のトレーニング】家族の会話の中で「順番のルール」を
周りが興味のないことをダラダラ話す子は、今話していいタイミングなのか、相手が何を考えているのかわからないのです。
相手の表情やことばの意図、その場の状況を正しく解釈することが苦手なので、自分の話したいことを一方的に話してしまうのです。性格というより、むしろ子どもの特質のこともあります。
小学生低学年くらいまでは、相手の状況を説明してもわからないことが多いでしょう。こうした子どもには、よく話を聞いてあげることに注力してください。話を聞いてもらえると、子どもは安心して話をすることができ、親との信頼関係が構築されます。
「今忙しいから後にして!」などと、冷たい態度だけはとらないように気をつけてくださいね。
でも親も忙しいので、いつも子どものおしゃべりの時間につきあってあげることはできません。そんなときは「これから10分間はお話を聞くことができるよ」など、具体的な目安を入れて説明してあげてください。前もって、話につきあえる時間を予告すると、子どものダラダラした話に区切りをつけやすくなります。
小学3年生くらいになれば状況がつかめるようになりますので、少しずつ、コミュニケーションの取り方や、人と話す時のタイミングなどを教えてあげるといいでしょう。話を聞いて受け止めたうえで「○○がしゃべりたいと思うのと同じように、他の人も話したいんじゃないかな?」「相手がほかのことができなくならない?」などと、相手のことを考えるよう徐々に促していきます。
また、家族の会話の中で、誰かが話しているときは最後まで話を聞くという「順番のルール」を決めておくのはおススメです。子どもが会話に割り込んできたときには「順番だからまっててね」と伝えます。子どもが順番を待てたら「待ってくれてありがとう」「よく、我慢して聞けていたね」とその場でほめます。こうした積み重ねをしているうちに、自分の言いたいことばかり話している子どもでも、人の話を聞けるようになってくるのです。
PROFILE 高取しづかさん
ことばキャンプとは…
人とつき合っていくときにかかせない、コミュニケーションする力のトレーニングプログラム。 米国の学校や家庭で行われていたオーラルコミュニケーション教育と異文化コミュニケーションを分析し、7つのチカラ(度胸力・論理力・理解力・応答力・語彙力・説得力・プレゼン力)を伸ばすために考案された。7つのチカラ引き上げを狙いとしたトレーニングによって、話すチカラ、聞くチカラを楽しく身につけられる。
ことばキャンプ http://kotobacamp.com/
< 連載一覧に戻る >
文/高取しづか イラスト/fancomi