かわいいわが子が下品なことばや乱暴なことばを発してびっくり!「どこでそんなことばを覚えてきたの!?」なんて思ったことはありませんか。 

 

集団生活やテレビ・動画の影響…、行動範囲が広がる上で当然のこととはいえ、親として「下品なことば」は見過ごしておいていいのでしょうか。さまざまなプログラムで子どもたちのことば力を育ててきた高取しづかさんに聞きました。

語彙力のトレーニング】聞き流していいことば、ダメなことばの見極めを

子どもの汚いことばや乱暴なことばには、聞き流してもいいことばと、毅然と言ってきかせなければならないことばがあります。

 

まず、聞き流してもいいことばは、友だち同士の中でコミュニケーションをとるために使っている「仲間ことば」。

 

集団生活が始まるといろいろなことを身につけます。親から見ると乱暴なことばであっても、友だちとの会話でする「仲間ことば」であれば、あまり神経質にならなくても大丈夫です。

 

気になったときには、さりげなく言い変えてあげるのがいいと思います。たとえば「貸せよ」→「そう?貸してほしいのね、わかった」「オマエ」→「ママのことかな?」などと、柔らかい口調で言い変えてあげると、子どもの語彙も増えていきます。

 

また、特に男の子に多いのですが「ウンチ、おしっこ、おなら」などの下ネタの連発。これも親としては眉をひそめることばですが、放っておけばいずれはおさまるもの。大人が反応すると、わざとおもしろがって使うようになるので、聞き流しましょう。ただし、食事中や公衆の前などでは「ここで言うのはよくないよ」とキッパリ伝えることです。

 

注意しなければいけないのは、人を傷つけることばです。

 

以前講座に来てくれたAさんから「息子が幼稚園で、クラスの女の子たちに話しかけると『キモイ』『ウザい』と言われて悩んでいる」と相談されたことがあります。彼は心の中で傷ついていたのです。ことばは暴力になります。相手を傷つけるようなことばや思いやりのないことばを言った時には、相手の気持ちが理解できるよう子どもに教えていくことが大切です。

 

「言ってはダメ」と言うよりも、どうしてそのようなことばを言うのかを聞き「ママだって言われたら悲しいし、傷つくよ」と、自分が言われたらどんな気持ちになるか、子どもに考えさせてみてください。思いやりの心を育てるためにも、ゆっくり話せる雰囲気を作って「相手がどんな気持ちになるのか」子どもと話してみましょう。

 

汚いことばや乱暴なことばの中に「子どもの気持ち」が隠れていることがありますので、子どもの話をよく聞いて、受け止めてあげることが大切です。子どもは親が「わかってくれた」と思うとたくさん話してくれるようになります。

 

子どもの語彙力は親子の会話を通して育っていきます。ふだんから親が子どもの話をよく聞くこと。そして相手を思いやることばや豊かな表現をするように心がけることが、子どもの語彙力トレーニングになりますよ!

 

PROFILE 高取しづかさん

髙取しづかさんプロフィール写真
NPO法人JAMネットワーク代表、ことばキャンプ教室主宰。「子どもの自立トレーニング」をテーマにメディア出演や講演を行っている。『ことば力のある子は必ず伸びる!』(青春出版社)など著書多数。

 

ことばキャンプとは…

人とつき合っていくときにかかせない、コミュニケーションする力のトレーニングプログラム。 米国の学校や家庭で行われていたオーラルコミュニケーション教育と異文化コミュニケーションを分析し、7つのチカラ(度胸力・論理力・理解力・応答力・語彙力・説得力・プレゼン力)を伸ばすために考案された。7つのチカラ引き上げを狙いとしたトレーニングによって、話すチカラ、聞くチカラを楽しく身につけられる。
ことばキャンプ http://kotobacamp.com/

 

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文/高取しづか イラスト/fancomi