新型コロナウイルスの影響により激動の一年となった今年、社会全体で最もフォーカスされているキーワードといえば「サスティナブル(=持続可能な)」。

 

化粧品業界でも、パッケージや使う原料を環境に負荷をかけないものに変えたり、ジェンダーレスを意識したり…といった様々なアプローチにより、社会的に持続可能な取り組みを行うムーブメントが起きています。

 

オーガニックコスメだけでなく、化粧品業界全体が「サスティナブル」な方向へ舵を切っており、今後、製品を選ぶ上でも重要なポイントになるでしょう。

 

そんな背景を踏まえ、注目の「サスティナブル・ブランド」とその取り組みについて、ご紹介していきたいと思います。

 

「人間も自然の一部」と捉える循環型スキンケアの開発に取り組む

 敏感肌の人やベビーのためのオーガニックコスメから自然派食品まで、肌や身体、環境にこだわったアイテムを展開する「ネオナチュラル」が誕生したのは約25年前。創始者・高柳昌弘社長が、わが子の肌トラブルをきっかけに、自身で石鹸を手作りしたことから始まりました。

 

手作り石鹸の甲斐あって、お子さんの肌の状態は回復。同時期に、社長のもとには敏感肌に悩む多くの人々からの多くの反響が寄せられました。それを受け、肌にも環境にも優しい自然素材や仕組み、スキンケア製品について独自に研究。生産効率を重視した石油化学産業製品が肌に多大なる影響を与えるのではないかと考え、自然素材を生かしたものづくりに取り組み始めたのです。

 

それ以来、自然の成分からなるオーガニックコスメ——馬油を使った石鹸や、へちまから抽出したヒーリングローションなど、数々の名品を生み出してきました。

 

早くから植物原料の栽培に興味を持ち、生産地を訪問しながら専門的な栽培方法なども学び、ついに自社農場をオープン。この有機農場で原料を調達し、加工し、製造するという一貫したものづくりにこだわり続けています。

 

その先には、私たち人間が自然の一部として、自然が生み出す恵みを受けながら生活し、次世代にもそれを引き継いでいく「循環型のスキンケア」を見据えているのです。

 

地域とともに“自然と共生する暮らし”を目指す

高柳社長は、ただ製品を生み出すだけでなく、「スキンケアが肌にできることは3割。残りの7割は、身体や心を豊かに整える食事と生活習慣」と考え、暮らしを豊かなものにする様々な取り組みにも関心を寄せていました。

 

2013年に有機JAS認定を取得した岐阜県郡上市の母袋(もたい)有機農場では、ネオナチュラルのスタッフが地域の人と連携しながらイベントも開催。「自然と共生した健康的な生活スタイル」を提供する取り組みを行なっています。

 

実は、筆者も5年前にこの農場を訪れたことがあります。へちまの茎を1つひとつ瓶に入れ、そこから自然のまま、1滴1滴を抽出するという気の遠くなるような作業…。それを目の当たりにし、「こんなにも丁寧に大切に原料が収穫されているなんて…!」と感動したことを鮮明に覚えています。

 

「根幹から美しく」を目指し“釜炊き製法”で作ったヒーリング石鹸

 人気の「Natures for (ネーチャーズ フォー )」は、単なるオーガニックコスメではなく、誰もが持つ肌のしくみに沿った本質的なケアで、素肌本来の美しさを呼び覚ますスキンケアブランド。開発するにあたって、下の5つの約束を提示しています。

 

  • 肌本来の働きを阻害せず、そのしくみに沿った製品づくりを行う
  • 使用する原料は、伝統素材をはじめ、無農薬・有機栽培の農産物を主に使用
  • 石油由来・化学合成成分は基本的に使用しない
  • 伝統素材の力を活かし、使用感や香りも重視
  • 使いやすいボトルデザイン、続けられる価格など、一生使えることも大切にする

 

「ヒーリングローション」なども筆者のお気に入りですが、やはり「ヒーリングモイストソープ」は格別。国産馬油をベースに、ヘチマ水など植物成分を配合し、時間をかけた釜炊き製法で製造しているそう。

 

Natures for  ヒーリングモイストソープ 80g 1800円(税抜)

 

もこもこときめ細やかでなめらかな泡立ち、優しい使い心地、洗い上がりもしっとり、まるでスキンケアをしたような肌触りを実感できます。

 

敏感な乾燥肌もしっとり潤う、まさに「洗う」ことの大切さを教えてくれる石鹸です。

 

自分たちが使うもの、口にするものの元は何からできているのか、どうやって作られているのか、とても重要視されるようになってきている昨今。

 

ですが、このソープが誕生した当時は、そんな意識を持った人はまだまだ少数派でした。そういう意味でも「ネオナチュラル」は、サスティナブルな視点を当時から大切にしていた、稀有なブランドだと言えるでしょう。

 

文/久保直子