しっかり者で、園でも常に先生の一歩先をいく行動で、クラスのリーダー格のわが子。

 

だけど頼まれもしないのに友だちの支度を手伝ったり、口うるさく友だちに注意をしたりして、煙たがられていないか…と思うことはありませんか。相手の気持ちを考える話し方はどう身につけさせればいいのか。さまざまなプログラムで子どもたちのことば力を育ててきた高取しづかさんに聞きました。

理解力のトレーニング】リーダーシップは伸ばすべき長所

友人は、「幼稚園のときから、滑り台で遊びたい友だちを1列に並ばせたり、ケンカが始まると仲裁して仕切っていたわ」と言います。今でも彼女は、仕事でリーダーシップを発揮しています。人は持って生まれた性格があります。

 

その場を仕切るのは、面倒見のいいしっかりしたお子さんです。友人のように、将来リーダーになるかもしれませんよ。子どもの性格を直すのではなく、いいところを伸ばしていくつもりで接してみてください。多少問題かな?と思っても、子ども同士の間でもまれながら、自分で気づいていくしかないのです。

 

気になるのは、子どものことば使いです。ふだんから「〇〇して!」と命令口調で言ったり、気に入らないと怒鳴るなど、口調がきつくないですか?

 

園でお友達にも言っていると思うと心配になり、なんとか直せないものかと悩むのは当然です。

 

でも、「そんな言い方すると、嫌われるよ!」と叱るのはよくありません。子どもの口調がきついのは、言われた側の人の気持ちがわからないことが多いのです。

 

言われたら相手がどんな気持ちになるのか?考えさせてみましょう。「〇〇ちゃん(自分)がそう言われたら、どう思う?」と問いかけてみてください。自分が言われた立場になって、相手の気持ちを想像するように促していくのです。

 

また「そんな言い方されたら、ママは悲しい」など、自分はどんな気持ちになっているかを素直に伝えてみるのも、いいですね。

 

最後に耳の痛い話をするのですが、子どもの口調がきついのは、実は親のせいかもしれません。気になるなら、まずは自分もしくはパートナーの口調を思い返してみてください。

 

つい、「早くしなさい!」と怒鳴っていませんか?行動を先回りして命令口調で「〇〇しなさい!」と指図していませんか?ついイライラした声で、子どもに当たっていませんか?

 

子どもは親たちの言動をよく見ています。親子で一緒に「相手の気持ちになって、気持ちのいいことばを使う」やってみるといいですね。

 

PROFILE 高取しづかさん

髙取しづかさんプロフィール写真
NPO法人JAMネットワーク代表、ことばキャンプ教室主宰。「子どもの自立トレーニング」をテーマにメディア出演や講演を行っている。『ことば力のある子は必ず伸びる!』(青春出版社)など著書多数。

ことばキャンプとは…

人とつき合っていくときにかかせない、コミュニケーションする力のトレーニングプログラム。 米国の学校や家庭で行われていたオーラルコミュニケーション教育と異文化コミュニケーションを分析し、7つのチカラ(度胸力・論理力・理解力・応答力・語彙力・説得力・プレゼン力)を伸ばすために考案された。7つのチカラ引き上げを狙いとしたトレーニングによって、話すチカラ、聞くチカラを楽しく身につけられる。
ことばキャンプ http://kotobacamp.com/

 

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文/高取しづか イラスト/fancomi