砂場で遊んでいるおもちゃが欲しいと、いきなりとってしまったり、お友だちに口でやりこめられそうになると手が出てしまうわが子。
お友達に怪我をさせないか、嫌われないか…とそんなわが子にハラハラしてしまったことはありませんか。どうすれば、上手に気持ちを伝えられる子になるのか。さまざまなプログラムで子どもたちのことば力を育ててきた高取しづかさんに聞きました。
【度胸力・語彙力のトレーニング】安心して話せる場を用意しよう
手が出てしまうのは、自分の状況や気持ちをうまくことばにできないからです。
ことばが思いつかなくて歯がゆかったり、誤解されて悔しい思いがあふれ出して、どうしたらいいかわからず、たたいたり蹴ったり暴力的な行動に出てしまうのです。
「それ貸して」とか「そんな言い方しないでほしい」と、自分の気持ちを相手にことばで伝えられるようになれば、暴力に訴えずに解決できるようになります。こうしたことは、成長してことばが追い付いてくれば、自然に解消することが多いものです。
とはいえ、ことばの遅い子の場合、親としては心配でしょう。ことばが出てこないから、ストレスをため込んでしまいます。
ゆっくり話ができる場を作って、どうして手を出したかを聞いてあげてください。無理やり聞き出さずに、子どもが自分から言いたくなるまで待ってあげてくださいね。その子なりの理由が必ずあるはずです。
「どうして言えないの?」と怒っても、改善しないばかりか逆効果です。言いたくても言えないのですから。
私が教えた子どもたちの中にも、言いたいことがあるのに口にできない子どもたちがたくさんいます。
子どもが自分の気持ちを言えるようになるには、安心して自分の気持ちを言える場が必要です。自分の気持ちや考えを言ってもいいよ、受け入れるよ、という雰囲気の中で、子どもはビックリするくらい生き生きと自分のことばで話し出すのです。
子どもから一言でも気持ちが出てきたら、その気持ちを認めてあげてください。「貸してほしかったのね」「悔しかったよね」と子どもの気持ちに共感してあげましょう。うまく言えなくても、「いっしょうけんめい考えてたね」「言おうとしていたのわかるよ」と伝えてあげると、次につながります。
また言い方がわからないこともあります。「〇〇を伝えると、わかってもらいやすいよ」具体的な言い方を教えてあげるのも有効です。
自分の気持ちが出せたことを認めてもらえると、子どもは少しずつ自信をつけて発信することができるようになってきます。この繰り返しでことばの力はついてきます。
PROFILE 高取しづかさん
ことばキャンプとは…
人とつき合っていくときにかかせない、コミュニケーションする力のトレーニングプログラム。 米国の学校や家庭で行われていたオーラルコミュニケーション教育と異文化コミュニケーションを分析し、7つのチカラ(度胸力・論理力・理解力・応答力・語彙力・説得力・プレゼン力)を伸ばすために考案された。7つのチカラ引き上げを狙いとしたトレーニングによって、話すチカラ、聞くチカラを楽しく身につけられる。
ことばキャンプ http://kotobacamp.com/
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文/高取しづか イラスト/fancomi