大事なカードを「それほしいんだけどくれない?」と言われて、「いいよ」とあげてしまう。おもちゃを取られても「いやだ」と言えない。
いつも友だちの言いなりになっている我が子を見て、歯がゆくなってしまったことはありませんか。幼いころは代わりに言ってあげられても、小学生になると親は口をはさめません。親として何か教えてあげられることはないのか…さまざまなプログラムで子どもたちのことば力を育ててきた高取しづかさんに聞きました!
【度胸力のトレーニング】「NOを言うこともあり」を教えてあげよう
言いたいのに言えない、気弱に見える子は気持ちの優しい子どもが多いのです。そんな子どもに「自分の気持ちなんだから、言いなさい!」と強く言っても、ますます委縮するだけ。自分の気持ちを主張できるようにはなりません。
まず考えておきたいのは、「いやだ」と言いたいのに言えないのか、それとも最初から言いたくないのか、どちらなのかということ。
子どもの表情を見てニコニコして話を聞いているなら、親がそこまで気をもまなくても大丈夫。その場の空気で言えないこともあるでしょう。
問題は、本心ではいやなのに「NO」と言えない子どもの場合です。自己主張できない子どもに必要なのは、「NOを言うこともあり」と知ること。「もしほんとうにいやなら、いやだって言ってもいいんだよ」と伝えてあげてください。
自分を守るために「やめてほしい」「いやだ」と言うことは大事なことだよ、と目を見て話してあげてほしいのです。中学生、高校生になってからも、ことばで自分を守ることができる力をつけてあげることが必要だからです。
とはいえ、気持ちの優しい子どもが、思い切ってNOを言うのは最初は勇気がいります。
私は、言わなければならないときに、恐れを克服して言える力を「
度胸力」と言っています。度胸力は、緊張する場面を幾度か体験することで慣れてきます。つまり場数を踏むことです。
無理のない小さなことでいいので、自分の気持ちを伝える経験をさせてみましょう。ふだんの会話の中で「こんなことされたら何て言ったらいい?」と、聞いてみてください。
自分だったらどうするか?考えた経験があると、そのことが起こったときに反応が違ってきます。「言えた」ことが、子どもの自信につながりますよ。
PROFILE 高取しづかさん
ことばキャンプとは…
人とつき合っていくときにかかせない、コミュニケーションする力のトレーニングプログラム。 米国の学校や家庭で行われていたオーラルコミュニケーション教育と異文化コミュニケーションを分析し、7つのチカラ(度胸力・論理力・理解力・応答力・語彙力・説得力・プレゼン力)を伸ばすために考案された。7つのチカラ引き上げを狙いとしたトレーニングによって、話すチカラ、聞くチカラを楽しく身につけられる。
ことばキャンプ http://kotobacamp.com/
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文/高取しづか イラスト/fancomi