小さな子が階段の一番下の段などからぴょんと飛び降りる姿は、見ている方は少しハラハラしますがとても可愛いですよね。
でも、お子さんが4歳・5歳で「うちの子、なかなかジャンプができなくて…」と悩んでいる人も実は少なくないそう。
今回は、子どもは何歳ごろからジャンプできるものなのか、なかなかできない理由、練習方法などをママたちの体験談もまじえて解説します。
発達には個人差がある
早ければ2歳前から、ちょっとした段差を1人で飛び降りたり、大人と手をつないだ状態でぴょんぴょんと飛び跳ねたりできる子もいます。
しかし、ジャンプは足の力を使うだけではなく、かがんだ状態から腰やお腹に力を込めて勢いよく体を伸ばす…という「全身運動」。筋力とバランス力、体の各所を同時に動かす力などが求められる高度な動きだといえます。
そのため、平らな場所で両足を揃えてある程度の高さにジャンプできるようになるのは5歳過ぎてからという子も珍しくなく、個人差が大きいといえるでしょう。
母子手帳の4歳児の「保護者の記録」ページには、
・階段の2、3段目の高さからとびおりるようなことをしますか。
・片足でケンケンをしてとびますか。
といった質問があり、4歳でも両足を揃えたジャンプはまだできない子が多いことがわかります。
うまくジャンプできない理由はいろいろで、
- つま先の力が弱い
- 膝が曲がっていない
- お腹に力が入っていない
- 宙に浮くのが怖い
などがあげられます。
つま先や足先の筋力がついているかどうかは、背伸びや大人が両手を持った状態でつま先歩きができるかどうかである程度分かります。
歩いたり階段を上り下りするときに膝がじょうずに曲げられないのは、ハイハイが少なめで比較的早く歩き始めた子にときどき見られる状態。
体の機能は発達していても、慎重な性格で、体がふわっと浮くことが怖い子もいます。
ただ、上記は成長とともにしだいにできるようになってくることがほとんどです。
保育園や公園などで上手にジャンプできる子を見ると焦ってしまうかもしれませんが、まずは「個人差がとても大きい」ということをふまえておきましょう。
「発達性協調運動障害 」とは?
小学校入学が近づいても、日常的に何もないところですぐ転ぶ、はさみなどの道具全般がうまく使えない…といった困難が見られるときは、場合によっては「発達性協調運動障害」の可能性も出てきます。
「発達性協調運動障害」とは、脳・神経・筋肉などの病気や障害がない(または診断名が付いていない)にも関わらず、日常の運動がスムーズにできずに生活に支障をきたしている状態を指し、5~11歳の子どもの約6%に見られるとされています。
「協調運動」とは、体の各部分や筋肉を協調させて動かすこと。
ジャンプでいうと、膝を曲げた姿勢から、手を振って勢いをつけながらお腹と腰に力を込めて膝を伸ばして跳び上がる…といった動きを連動して行えるかどうかをいいます。
他にみられる特徴としては
- 靴紐が結べない
- ボタンが留められない
- ラジオ体操など手足がバラバラの動きができない
- 縄跳びがとべない
などがあげられます。
ただ、上記はあくまでも傾向であり「4歳、5歳なのにジャンプができない」という1点だけでは判断できません。
他の病気や発達障害と重なっている場合もあるため家庭での判断は難しく、専門家の診断が必要です。
「発達性協調運動障害」と診断された場合でも、作業療法士などによるトレーニングで少しずつ改善されたという報告もあります。
先輩ママたちがやっていた、ジャンプの教え方
「うちの子もジャンプが苦手だったけど、こうやって練習していました」というママたちの体験談も紹介します。
「保育士さんによると、両足揃えてジャンプはハードルが高いので、まずは片足から跳べるようにしましょうということでした。庭に丸を描いて、けんけんぱなどの遊びを取り入れていました。今は小学校3年生で、全体的に不器用だけど縄跳びもちゃんとできていますよ」(Kさん・38歳)
「4歳頃までは、動画などを見ながら一緒にジャンプしているつもりで跳べていませんでした(笑)。宙に浮く感覚がつかめなかったみたいです。キッズルームで、はじめてトランポリンで遊んだときにやっと感覚が分かったようで、何もないところでも跳び上がれるように」(Sさん・35歳)
「うちの子は左右のバランスを取るのが苦手で、同時に両足が上がらなかったんです。バランスボールに座らせ、最初は両手、次は片手だけ支えて、最後は上に立てるようになったら、同じ頃にジャンプもできるようになりました」(Jさん・37歳)
楽しみながら練習を
ジャンプに限らず、同年代の子が難なくできる動きがうまくにできないと、親としてもつい焦ってしまいますよね。
しかし、4歳、5歳と成長してくると、見た目では分からなくても本人も周囲と比べて気にしていることもよくあります。
不器用なことを見せたくないためにふざけてやろうとしない、怖がる…といった場合、その場では叱ったり無理にやらせようとしたりせず、楽しみながら家で練習していけるといいですね。
文/高谷みえこ
「発達性協調運動障害のある児童に対する運動指導の効果」 https://opac2.lib.oita-u.ac.jp/webopac/kyo-2009-4-8._?key=RTUNHK