趣味として注目を集める野菜作り。しかしいざ始めようと思っても、野菜を植えられる庭やがなかったり、マンションの規則でベランダにプランターを置くことができないような場合も。

 

そこで注目されているのがペットボトルを使った水耕栽培です。今回は水耕栽培のやり方と、おすすめの品種をご紹介したいと思います。

ペットボトル水耕栽培に必要なもの

水耕栽培に必要なペットボトルは、育てる野菜の合わせて大きさを選びましょう。あまり大きくならないものであれば、500ミリリットルのもので十分です。迷ったときは大きめの1.5リットルや2リットルのものを用意するのがおすすめ。

 

土の代わりとなる「培地」は、ハイドロボールやロックウールを使用します。植木鉢やプランターに比べて小さいペットボトルで育てるので、量の調整しやすいものがよいでしょう。また、成分が水に溶けださないものが理想です。

 

苗床はスポンジを使用します。キッチン用のスポンジでかまいませんが、厚さが2センチくらいのものにしましょう。ちょうどいいサイズの物がない場合は、カッターなどを使用して厚みを調整します。

 

ペットボトルから水を吸い上げるためには、フェルトがあると便利。ペットボトルの口の幅と高さに合わせ、幅2センチ・長さが30センチ程度の帯状のフェルトを用意しましょう。

 

また、液体肥料があると植物の栄養状態がよくなり、元気な野菜が育ちます。慣れてくれば野菜の状態に合わせて肥料を選べるようになりますが、初心者さんはまんべんなく栄養が含まれているタイプのものを選ぶと安心です。

 

ペットボトル水耕栽培のやり方は

ペットボトル水耕栽培をするためには、まず種を発芽させなくてはいけません。具体的な方法を見ていきましょう。

 

スポンジを培地に種を発芽させる

培地となるスポンジは2センチ角くらいの大きさに切ります。種を撒く場所に切り込みをいれたら、その切り込みに種を2、3粒ずつ植えていきましょう。

種まきができたら、スポンジをトレイやタッパーなどに入れて、スポンジが3分の1程度浸るように水を入れます。水は常に綺麗な状態に保つことが重要です。根がしっかりと伸びるまで毎日取り換えましょう。

 

苗が育ってきたら必要に応じて間引くと、残った苗が健康に育ちます。トレーやタッパーからペットボトルに苗移すタイミングは、根がスポンジを超えた頃。スポンジの下から根が覗くようになったら、いよいよペットボトル水耕栽培の始まりです。

 

ペットボトルに苗を移す方法

まずはペットボトルはしっかりと水洗いをして、中身を清潔にしておきましょう。

 

次に、上から3分の1くらいの位置で切り離します。飲み口側を逆さにして切り離したペットボトルの下の部分に重ねます。そのペットボトルに3分の2くらいまで水を入れ、上からフェルトを通します。このフェルトを通して根が水分を吸収するようになるのです。根がしっかりと張っているのであれば、フェルトはなくて根から水分を吸収してくれます。苗の成長具合に合わせて調整しましょう。

 

ペットボトルの準備ができたら、苗が生えているスポンジごとペットボトルの上部に入れます。そのままだと不安定なので、苗の周囲にハイドロボールなどを敷き詰めて固定します。

 

日当たりと水換えに注意!

家庭菜園初心者でも比較的失敗なく育てることができる水耕栽培ですが、日当たりと水の交換には注意が必要です。窓辺など、なるべく日当たりのいい場所に置きましょう。ただし、日当たりのいい場所に置いておくと、ペットボトルに藻が生えてしまうことが。藻が生えてしまうと水が汚れやすくなるので、水が入っているペットボトルの下部を紙やアルミホイルなどで覆って、光が当たらないようにしてあげると手入れもラクです。

 

水には必要に応じて液体肥料を混ぜましょう。肥料はたくさん入れたほうがよく育つような気がしてしまいますが、根腐れを起こす可能性があるので適量を守ります。水が汚れていると成長しなくなってしまうので、こまめに水換えをしてください。

水耕栽培向けの野菜の種類は?

水耕栽培はどんな野菜でも育てることが可能というわけではありません。基本的には葉物の野菜が育てやすいとされています。具体的にどんな野菜が育てられるのかご紹介したいと思います。

 

水耕栽培におすすめ1:ルッコラ

ルッコラはゴマのような風味があり、少しだけ辛みや苦みがある野菜。サラダにして食べるのが定番ですが、おひたしや炒め物にもよく利用されています。

 

初心者におすすめな理由は発芽率の高さ。比較的丈夫な野菜で病気などにもなりにくいので、植物や野菜を育て慣れていない人にもぴったりなハーブです。比較的寒さに強いので、種まきの季節をずらせば一年中楽しむことができます。日当たりがよく、風通しのいいところで育ててあげましょう。

 

水耕栽培におすすめ2:ブロッコリースプラウト

食用として育てる新芽のことをスプラウトと呼びますが、その種類はさまざまです。もやしやアルファルファ、カイワレ大根など、いろいろなスプラウトがあるので、好みのものを選んでみましょう。

 

スプラウトは比較的水耕栽培をしやすい野菜です。スポンジの上で発芽させることができたら、ペットボトルではなくそのままトレーやタッパーに入れて育てることも可能です。その場合は根腐れしないよう、水を入れすぎないようにすることが重要です。

水耕栽培におすすめ3:バジル

イタリア料理で利用されることの多いバジル。生のままでサラダに入れたり、ピザの上に乗せて焼いたり、乾燥させてスパイスとして利用したり、色々な使い方ができるハーブです。

 

バジルは環境さえ整えてあげれば、すくすくと育つ丈夫な植物なので、水耕栽培にも適しています。発芽率も比較的高く、初心者さんで育てやすいハーブです。

 

水耕栽培におすすめ4:パセリ

料理の付け合せとして登場することの多いパセリ。独特な香りと味が苦手という人も多いかもしれませんが、実はビタミンやカルシウム、鉄分やマグネシウムなど多く含まれた栄養たっぷりの野菜です。

 

パセリは土で育てるものというイメージを持っている人が多いかもしれませんが、実は水耕栽培でも育てることも可能。ただし、成長がやや遅く、発芽から収穫できるようになるまで2ヶ月近くかかるんだとか。ただ食べるために育てるのではなく、観葉植物的に成長を見守りたい!という人に特におすすめです。

 

水耕栽培におすすめ5:ミント

ハーブの代表としてあげられるのが、ミントではないでしょうか。さわやかな香りとひやっとした涼しさを与えてくれるメントールが含まれているので、料理だけでなくお菓子やカクテルなどにも使用されるハーブです。

 

水耕栽培をするときは、水を腐らせないようにこまめに水換えをしましょう。日当たりは重要ですが、高温多湿ならないよう注意してあげると育ちがよくなります。

 

ミントは生命力が強いので、剪定したミントの茎を水につけておくだけでも根が出てきます。すでに植木鉢などでミントを育てている人は、剪定したミントを水耕栽培にするという方法も。

 

 

水耕栽培におすすめ6:クレソン

洋食の付け合せとして登場することの多いクレソンは、その独特な香りとさわやかな辛みが特徴です。料理の付け合せだけでなく、サラダやおひたし、炒め料理などさまざまな方法で楽しむことができます。

 

クレソンはもともと水中や湿地で育つ多年草で、繁殖力も高いため、水耕栽培に適している植物です。水を切らさないように気を配れば、初心者さんでも枯らすことなく育てられるでしょう。

 

水耕栽培におすすめ7:パクチー

せっかくなら、話題の野菜を育ててみたいと思う人におすすめなのがパクチーです。種を巻いてから2カ月程度で収穫できるため、温度管理さえうまくいけば年中収穫することも可能です。パクチーは日当たりを好み、高温多湿な環境に弱い植物です。窓辺などにおくとすくすくと成長するでしょう。

ただし、パクチーは発芽率があまり高くないという特徴があります。種は硬い殻に覆われているため、種を割ったり水につけて柔らかくすることで発芽しやすくすることができます。発芽までは種が乾かないよう、スポンジにまいた種の上に濡れたキッチンペーパーやトイレットペーパーなどを乗せておくようにしましょう。

 

水耕栽培におすすめ8:カイワレ大根

水耕栽培の代表的な野菜といえば、カイワレ大根も挙げられます。プラスチック容器とスポンジ、カイワレ大根の種さえあれば、簡単に育てることができます。カイワレ大根などのブロッコリースプラウト同様、比較的育てやすいのが特徴。成長も早く、種をまいてから1週間〜10日程度で食べられるサイズまで成長します。

 

栄養豊富でおいしいだけでなく、見た目にもかわいらしいので、部屋の観葉植物代わりに育ててみるのも良いのではないでしょうか。

 

ただし、一度収穫してしまうと、再び成長するということはまれです。再び収穫したいと思ったときは、種まきから始める必要があります。

 

水耕栽培におすすめ9:豆苗

種から育てるのはちょっと面倒…と思う人におすすめしたいのが豆苗。再生能力の高い野菜として注目されています。最近では再生させることを考慮して、最初から水耕栽培できる容器で販売しているスーパーもあるほど。

 

購入した豆苗をカットして利用した後、容器に水を入れるだけで水耕栽培ができるので、初めて水耕栽培にチャレンジしてみようと思う人におすすめの野菜です。

水耕栽培栽培におすすめ10:ネギ

豆苗と同じように、スーパーで購入したものをそのまま水耕栽培にできる野菜であるネギもおすすめ。種から水耕栽培するにはかなり手間がかかりますが、スーパーなどで購入したねぎの根元を利用して水耕栽培すると、簡単に育てることができます。

 

根っこギリギリでカットするのではなく、根元を4〜5センチ程度残してカットすると、スムーズに成長します。水が汚れると根が腐るので、こまめに水換えするようにしましょう。

 

ペットボトル水耕栽培で家庭菜園に挑戦!

ペットボトル水耕栽培は、庭やベランダがなくても簡単に家庭菜園を始めることができます。また、初期費用があまりかからない点も、家庭菜園初心者さん向け。新しい趣味として家で野菜を育ててみようかなと思ったら、ぜひペットボトル水耕栽培を試してみてくださいね。

 

文/小野寺香織