仕事についてのエッセイを書いてみませんかと、心くすぐられるお話をいただきました。うきうきと筆を執ってみたものの、普段人付き合いもせず、家からほとんど出ることもない私の仕事と生活の話で間がもつのだろうかと今更ながら震えています。

 

そんな毎日ですが、たいへん楽しいです。人付き合いが苦手な私はつねづね家から出ないで暮らしていく方法を模索していて、社会に出て働き始めてから18年、ようやくその理想に近づけた感がある。

 

引きこもり万歳、我が家は理想のビオトープ。そこには5歳の息子と2歳の娘、そして54歳の夫が共存しており、私と違って社交的な3人はビオトープを出たり入ったりしながら社会ともうまく関係性を保って暮らしています。

 

 

さて、そんな私の仕事はイラストレーターです。フリーエディターの夫とふたりで小さな会社を作り、事務的な業務とスケジュール管理はすっかり夫に任せてしまっているので、私は自宅でひたすらイラストを描くという、自分的には素敵ライフです。

 

外のことをまるっと夫に投げているため、それならば中のことは私がしましょう、ということで、家事全般は100パーセント私が担当。朝は夫が子どもたちを保育園へ送り、夕方私が迎えに行く。紆余曲折あってたどり着いた、ざっくりきわまりない担当分けですが、これがなかなか、うまくいっています。

 

会社を立ち上げたのが良かったのかもしれません。お互いが抱えている仕事の量やお金のことなどをすべて明確に共有できるため、夫婦どちらかの仕事が忙しいときにはいちいち頼まなくともどちらかが仕事を調整して子どものフォローに回るなど、チームワークが格段に上がり、ストレスがないのです。

 

何があっても会社は維持しなければならないので、小さなことであまり揉めなくなる。子どもたちと一緒に夫を「社長!」と呼びつつ、接待ごっこをするのもたのしい。夫も嬉しそう。なんだ、家庭円満の秘訣はこんなところにあったのか。

 

…そういえば、初回のテーマは「こんな仕事をしています」というものだったはずなのですが、私の実務は、お仕事の依頼をいただく→打ち合わせをする→イラストを描く、ですべての説明が足りるため、結局ほとんどが弊社“横峰ビオトープ”の話になってしまいました。

 

でも、家族を抜きにして私の仕事は語れない。これは、子どもたちを食べさせていくために老骨に鞭打って働く私たち夫婦の奮闘の記録になると思う。

 

 

文・イラスト/横峰沙弥香