ローンの組み方のコツは期間を短くすることでなく…
ファミリー世帯で、これから家を買おうと検討しているご家庭も多いかもしれません。コロナ不況が長期化することを前提に考えると、今までの住宅ローンの考え方とは視点を変える必要があります。
これまでは、住宅を買うときの基本といえば、「最低物件価格の2割は頭金で入れる、返済期間はなるべく短かくする、積極的に繰上げ返済を行う」というものでした。もちろんローンの金額は少なく、早めに返済できるに越したことはありませんが、ローンを短い期間で返済することは、毎月負担する金額が重くなります。
例えば、4,000万円の住宅ローンを金利1%で借り、35年返済するケースと25年返済するケースを比較してみると、35年返済する場合は月々の返済額は11万2,913円。25年返済する場合は月々の返済額は15万748円となり、その差は毎月約4万円に。
毎月のキャッシュフローに余裕があれば、貯蓄ができる余裕も生まれるので、子どもに学費がかかる時期にも貯蓄で対応できたり、今回のコロナ危機のようなことが起こって家計が厳しくなっても貯蓄で補填することも可能です。
ローン期間を長くすれば総返済額も膨らみますが、普段の「資金繰り」を重視していくことも視野に入れましょう。企業も倒産する時には、資金繰りでつまずいて倒産するケースがほとんどですから。
また、現在持ち家の方で先行きの見通しがつかないことから、手元の資金で繰上げ返済をしようと考える人もいるかもしれませんが、いざという時には現金が頼りです。繰上げ返済をしてもなお、十分に貯蓄が残るのであれば良いですが、そうでない場合には、生活費の半年から1年分程度の手元資金もきちんと確保しておきましょう。
文/高山一恵