最近、お子さんのプリントや教材で「SDGs」というコトバを見かけるようになったというママも多いと思います。
いま、ビジネスから医療・教育まで、世界中のあらゆる分野にかかわっているのが「SDGs」。
エスディージーズと読み、これからの社会を担う子どもたちに向けて、ますます学習の中でも登場する機会が増えると考えられます。
でも、とつぜん「夏休みの課題は、SDGsの調べ学習だから手伝って」とお子さんに言われたら…少し困ってしまいませんか?
今回は、SDGsの意味を忙しいママのためにわかりやすく解説。お子さんの宿題にも役立つ方法を解説します!
「SDGs(エスディージーズ)」とは何か
SDGsは、2015年に国連が提唱した「Sustainable Development Goals(サスティナブル・デベロップメント・ゴールズ)」の頭文字をつなげたものです。
日本語では「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030年アジェンダ」が正式名ですが、わかりやすく「持続可能な開発目標」と書かれることが多いです。
つまりSDGsとは「ゴール、目標」のことなんですね。
それも1つだけではなく、大きく17種類、169個もの目標が掲げられています。
1.貧困をなくそう(貧困) 2.飢餓をゼロに(飢餓) 3.健康と福祉を(保健) 4.質の高い教育をみんなに(教育) 5.ジェンダー平等を実現しよう(ジェンダー) 6.安全な水とトイレを世界中に(水・衛生) 7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに(エネルギー) 8.働きがいも経済成長も(成長・雇用) 9.産業と技術革新の基礎を作ろう(イノベーション) 10.人や国の不平等をなくそう(不平等) 11.住み続けられるまちづくりを(都市) 12.つくる責任つかう責任(生産・消費) 13.気候変動に具体的な対策を(気候変動) 14.海の豊かさを守ろう(海洋資源) 15.陸の豊かさも守ろう(陸上資源) 16.平和と公正をすべての人に(平和) 17.パートナーシップで目標を達成しよう(実施手段)
この中から、政府や企業、そしてわたしたち個人も一緒になって、世界中の1人も取り残すことなく目標達成に取り組んでいこうというのがSDGsです。
ゴールは現在2030年に設定されています。
さらに詳しくは以下の記事も参考にして下さいね。
17種類の「ゴール」を選ぶ
さて、宿題や調べ学習のテーマでSDGsが登場して、子どもに手伝ってといわれたら…まずは何からやればいいでしょうか?
いきなり「SDGsについて調べてきなさい」という宿題が出るとは考えにくく、まずはひととおり授業でSDGsについての説明があると思います。
とはいえ、1回教わっただけではピンとこない子もいるでしょう。
そこで、まずは17種類のSDGsのゴール(目標)のうち、どれについて調べるのかを確認しましょう。
例えば「目標13:気候変動への対策」がテーマであれば、地球温暖化の原因の1つとなっているCO2(二酸化炭素)の排出を減らすために何ができるか、親子で考えてみると良いでしょう。
「目標1:貧困をなくすこと」であれば、世界で実際に1日1.25ドル(150円程度)で暮らす地域があることを教えて、そのお金でどれくらいのことができるか書き出してみる、なども1つの学習となります。
特に指定がない場合は、子どもの日常に近い内容の題材を選んで調べた結果をまとめたり、本などであえて子ども自身と異なった生活・環境を知ることで、世界の格差や不平等について考えることもできます。
家の中、町、お店などから題材を見つけよう
SDGsのそれぞれのゴールは、文字だけ見ると抽象的で遠い世界のことのように聞こえますが、実は家の中や町中など、身近なことがらと密接につながっているものも多くあります。
洗面所の水を出しっぱなしにしない、ゴミは分別して再利用する、冷蔵庫の食材を腐らせてしまわないよううまく使い切る…などは、SDGsでいうと「目標12:責任を持って消費すること」に当てはまります。
スーパーなどでの買い物もSDGsについて考える題材の宝庫。
「エコバッグを持っていこうと思うけど、これはSDGsのどの目標に近づくと思う?」
と子どもに問いかけてみたり、
「農薬の使用を控えた野菜や果物は少し値段が高いけど、あなたはどっちを買う?」
と子どもに選ばせたり。
最近、SDGs達成のため、パッケージをプラスチックから紙に変えたチョコレートなども話題なので、売り場で確かめてみるのもいいですね。
本・絵本・マンガで、子ども自身が考えられるように
親子で一緒にSDGsについて考えるのはすばらしい機会ですが、やはり最終的には、子ども自身が理解した上でもっとこの部分を詳しく知りたい…という意欲を持ってくれれば理想的ですよね。
そこで、楽しみながらSDGsについて理解できる絵本や、確認のために読み返せる本をいくつか紹介します。
『しずくのぼうけん』マリア・テルリコフスカ 著、ボフダン・ブテンコ 絵、うちだ りさこ 訳/福音館書店
バケツから飛び出した水のしずくが蒸発して雲になり、雨になって川に注ぐ物語を描いたロングセラー絵本。かわいらしい絵でどんな子にも喜ばれそうです。
自然に水の循環や自然の仕組みを知ることができ、SDGsの「目標6 清潔な水と衛生」や、「目標14 海のいのちを守ること」、「目標15 陸のいのちを守ること」にもつながる内容です。
車や電車が好きな子にはこんな絵本も。
『CO2のりものずかん』三浦太郎 作/ほるぷ出版
いろいろな乗り物の絵と、それぞれ1㎞移動したときに排出するCO2の量が示されています。
小さな子が絵を見て楽しむのはもちろん、割り算ができる年齢の子なら1人あたりのCO2消費量を比較してみることもできます。
『ぼくがラーメンたべてるとき』長谷川義史 作/教育画劇
男の子が家でラーメンを食べているとき、隣の町では…海の向こうでは…とどんどん世界が広がり、いま世界では同じ世代の子どもに何が起きているのか、読んでいる子にリアルに伝わってきそう。
数々の賞も受賞、読書感想文全国コンクールで小学校低学年の部の課題図書にもなっています。
『知っていますか? SDGs』日本ユニセフ協会/さえら書房
写真やデータを豊富に使った入門書。基本的な知識がまとまっているので、1冊手元に置いておけば、子どもが自分で調べ学習をまとめるときにも役立ちます。
『世界がぐっと近くなる SDGsとボクらをつなぐ本』池上彰 監修/学研プラス
SDGsのそれぞれの目標について、子どもたちの日常によくあるシーンから、マンガで問題提起や疑問を投げかけ、それに対し、小中学生でも理解できる言葉でわかりやすく解説されています。
『世界がもし100人の村だったら 』池田 香代子 著/C.ダグラス・ラミス 訳/マガジンハウス
アメリカのある中学校教師が、生徒たちにあてて送ったメールをもとにした本です。
内容は、63億人の地球人を100人の村に置きかえたなら、何人がどんな暮らしをしているのかに例えたもので、インターネットで大きな話題になり世界中で読まれました。
90人が異性愛者で 10人が同性愛者です
20人は栄養がじゅうぶんではなく 1人は死にそうなほどです でも15人は太り過ぎです
75人は食べ物の蓄えがあり 雨露をしのぐところがあります でも、あとの25人はそうではありません 17人は、きれいで安全な水を飲めません
小学校の低学年から大人まで、深く考えさせられる内容ではないでしょうか。
なお、絵本やマンガは絵柄の好き嫌いもあり、本にも対象年齢があるので、学校図書室や最寄りの図書館などにあればいちど借りてみて、気に入ったら1冊家に置いておくのもいいですね。
図書館に行く時間がない!図書館が休館中!というときはスマホで手軽に見られる動画もあります。
以下のアニメ動画は、小学校の授業でも採用されているものだそうです。
SDGsとは?【アニメでわかるSDGs】
https://www.youtube.com/watch?v=lnbFQ9zVwG8
おわりに
SDGsは、達成の目標である2030年に向け今後ますます注目度が高まるキーワードとみられています。
まだ小さい子のママ・パパも、今後は中学受験や定期テスト、高校大学の入試などで問われる可能性もありますので、ぜひ今のうちに親子で内容を知り、毎日の暮らしでSDGsを意識していけるといいですね。
文/高谷みえこ
参考/私たちが目指す世界 子どものための「持続可能な開発目標(SDGs)」~2030年までの17の目標~
https://www.plan-international.jp/about/libraries/kyouzai/pdf/sdgs_child_friendly.pdf