新型コロナウイルス感染拡大の影響で家時間が長くなり、いつもに増して目につく家の散らかり。「部屋を片付けたい。でも何度やっても上手くいかない。どうやって片付けていいかわからない…」そんな悩みを抱える方が増えているのではないでしょうか?

 

何となく片付けを始めても、ただ引き出しに押し込んでしまう、部屋の隅に寄せて終わり。そんな行動になりがちです。この場合、一見すっきりしたようでもすぐにリバウンドして部屋は散らかります。

 

片付けても片付けてもきれいにならない。そんな人は収納の基本や片付けのコツが今ひとつ理解できていないのかも。

 

片付け歴35年の経験と、収納のプロとしてさまざまなご家庭の片付けサポートを行い、導き出した『無理なく進める片付け』と『整理収納の基本』、『続けられるコツ』をお伝えします。

整理収納の基本はとてもシンプル

収納は難しく考えず、ざっくり、無理なく進める方が上手くいきます。まずは基本のおさらいです。

 

(基本の手順)

  • 片付けたい場所からいったん全てのものを出す
  • いらないものをよけながら、残すものをおおよそグループ分けする
  • 使いやすい位置に、使いやすく収める

 

この3つのステップが基本です。どのステップを省略してもうまくいかないと心得てください。必ず上から下の順番に進みます。減らして→分けて→しまう、と覚えましょう。

 

ここで多くの人が失敗しがちなのが、一気に部屋全体の収納を見直そうとしてしまうことです。

 

こうするとものを出すだけで時間がかかって、すぐに夕飯の支度や他の家事の時間になってしまい、結局何もできずに元に戻すことに。これでは時間の無駄遣いです。

 

「今日はこれくらい時間があるからできることをしよう」と小さなスペースや、キッチンの引き出しひとつ、バッグの中などから始めるといいでしょう。

 

最初から上手くできないのが整理収納です。小さく始めて少しずつ達成感を得ながら、練習を重ねて成長していけば必ず片付きます。

 

上手くいかなくても諦めずに、練習の途中ととらえましょう。

「片付けが苦手」な人にもいろんなタイプがいる

ひと口に「片付けが苦手」と言っても、さまざまなタイプや傾向があります。

 

  • 一気に済ませたいタイプ(欲張りタイプ)
  • ものを全部出した後になんとなく整えて元の場所に全て戻してしまうタイプ(捨てられないタイプ)
  • 分類することが面倒になり適当にしまう(適当タイプ)

 

などの場合は特に失敗しがち。

 

自分が苦手な部分や癖を明確にして、それに対応した整理収納の進め方にすると、失敗を減らすことができます。

 

やってしまいがちな失敗を回避するコツ

失敗回避のコツは、性格やタイプによって違ってきます。

一気に全部片付けたくなる人(欲張りタイプ)

前述したように、時間設定をあらかじめしておくといいでしょう。アラーム設定を利用し、長時間の場合はさらに小刻みにアラームを活用して終わりまでの時間を意識します。何も考えず進めるよりも、時間配分ができるので有効です。

出したまま入れてしまう人(捨てられないタイプ)

出した分のものの数を数えてみることをおすすめします。自分が思うよりも意外と多いのがものの量。鉛筆1本なども1点として、その場所には何点収納してあるかをまず知ることから始めます。

 

ものは放っておくとどんどん増えるので定期的に数え、前回の数よりも増えていたら『数を減らそう』と考えてみましょう。

分類作業が苦手な人(適当タイプ)

細かく仕分けるのではなく、分類をざっくり大きなくくりにします。おおよそ文房具、おおよそ衣類などざっくりで仕分ける習慣を。まずは、いろんなものが混じり合ってしまう収納を手放しましょう。

続けられる収納は『使いやすい』『片付けが簡単』が絶対条件

「セリア」や「ダイソー」などの100均、「ニトリ」や「無印良品」など、収納グッズをたくさん揃えたおしゃれな収納はとても気分が上がります。確かに、ずらりと整然に並んだ収納ケースの様子は圧巻です。

 

 

ただ、『よし!きれいな収納ができた』と思っても、予想外に続かないことも多々あります。

 

「せっかくきれいに片付いたのにすぐに散らかる…」となってしまうのは、見た目がいくらきれいでも、取り出しにくい、片付けにくいなど何らかのネックとなる要素があるがゆえにすぐにリバウンドしやすいからです。

 

収納が完成したとしたら、その後に必ず

 

  • 使う動作
  • 片付ける動作

 

の2つの動作確認をします。

 

例えば本であれば、本棚からすっと取り出せる。無理なく元に戻せる。洋服であれば引き出しからすっと取り出せて周りの服がぐちゃぐちゃにならない。片付けも楽にできる。

 

このように、ものの出し入れの動作がスムーズであれば日々の家事も楽になり、同時に片付けのハードルも下がります。

“片付けスイッチ”を押し続けるために

日々の暮らしの中では、たくさんのものが動きます。部屋が散らかるのは当たり前のこと。「これをすればもう絶対に散らからない!」そんな部屋は皆無です。

 

だからこそ、整理収納を無理なく続けることが一番大切。そのためには、以下のような方法を試しながら、自分に刺激を与えつつ、“継続こそ力”と考えましょう。

 

<記録することが好きな人は…>

❶減らしたものの数を記録 ❷部屋画像を記録(ビフォーアフター) 記録をすることで成果が目に見えやすくモチベーションが保てます。部屋画像は客観視でき、次の目標も立てやすくなります。

 

<忙しく時間がない人は…>

❶好きな音楽を聴く ❷タイマーを使用する 好きな音楽を聴きながら作業をすることで、短い時間でもテンポよく片付けられます。ダラダラ作業してしまうことを避け、「今日はこれだけ」と明確にできます。

 

<すぐに諦めがちな人は…>

❶片付け好きの友人に相談する ❷収納のセミナーや講座を受講する 自分では解決しない収納の悩みも刺激や知識を得ることで解決に向かうことがあります。

 

未来の自分をラクにするために

「片付けるのが面倒、忙しくてできない」と言う人がたくさんいらっしゃいますが、そのまま放っておくと改善されることはなく、さらに悪化していく一方です。

 

掃除に時間がかかる。探し物が多い。家事が上手く進まない…などと感じたら、少しずつ“収納の見直し”を始めてみてください。

 

きっと明日の自分やそのずっと先までも、未来の自分を苦しめずに楽にしてくれるはずです。

 

文/瀧本真奈美