新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の解除にともない、全国的に登校を再開する学校が増えてきました。

 

しかし、密を避けるための時間差・分散登校による授業時間不足や、今後の感染拡大しだいでは再休校になるかもしれず、今後も引き続き、一部または全部の授業がオンラインに切り替わる可能性は残っています。

 

ただ、全国のママ・パパに、お子さんの学校の対応をアンケートで聞いてみたところ、同じ「オンライン授業」といっても、地域や学校ごとの差が大きいことが分かりました。

 

今回は、いま小学校・中学校・高校でのオンライン授業はどうなっているのか、良い点や困っている点はなにか…保護者とお子さんの声もまじえて紹介します。

 

地域ごと・学校ごとに格差が広がりつつある?

今回の休校中、オンライン授業や学習はどのような形でしたか?と、小・中・高のお子さんがいるママやパパにアンケートをとってみたところ、次のような回答がありました。

 

「うちの子の小学校ではすべて紙のプリント課題のみでした。親が課題を取りに行くため、休校中に子どもが新しい担任の先生の顔を見たのは数えるほど」(中国地方・2年生のママ)

 

「息子と同じ年のイトコがいるのですが、うちは公立小で、オンライン授業はなし。向こうは私立ですが、休校が決まって1週間後には全生徒に向けてオンライン授業がはじまったそうです」(関東地方・小学5年生のパパ)

 

多くの小中学校では、オンライン授業を検討しても、児童生徒の家にパソコンやタブレットがない、または1台しかなくきょうだいが同時に受けられない…という問題や、貸与したくても予算がないなどの問題があり、実施が進んでいない状況です。

 

学校側も、ノウハウや技術・機材が不足していたり、オンライン環境がない家庭をサポートする余力がないため導入を見送るケースが多いといいます。

 

文部科学省の最近の調査報告では、授業のためにICT(情報通信技術)を使いこなせる先生は全体の約85%ですが、「児童・生徒のICT活用を指導する能力」まで備えている先生は約67%で、3人に1人は児童へのサポートが難しい状態だといえます。

 

都道府県別にみても、先生たちに「授業中にICTを活用して指導する能力」が備わっているのは一番多い都道府県で91.3%なのに対し、低い都道府県では68%にとどまっています。

 

このように、地域や学校により以前からあった格差が、休校やオンライン授業の対応の違いによってさらに広がりつつあるのが学校の「いま」だといえるでしょう。

 

オンライン授業で親が気をつけるべき点とは?

すでにオンライン授業が始まっている学校はもちろん、そうでない学校も今後新型コロナウイルス感染の第2波・第3波が来ればオンライン授業が導入される可能性も高いといえます。

 

そこで、実際にオンライン授業を受けてみた家庭のママ・パパの声を参考に、どんなことに気をつけたらいいのかを考えてみました。

 

「初日から数日間、なかなかクラスの子が全員揃わなくて結局10分くらいかかったことが何度かありました。試行期間だったので良かったのですが…。もしわが子が遅れて、待ってもらえば迷惑をかけてしまうし、定刻に始めてもらったとしても勉強が遅れてしまうので、しっかり管理しないと…と思いました。でも自分もリモートワーク中だから、ずっとは見ていられないんですよね」(関西地方・4年生のママ)

 

特に小学校低学年~中学年までは、授業開始時刻だけでなく、途中で遊び出さないか見ておかないとムリ…という声も多く聞かれました。

 

「娘の中学でオンライン授業を実施したのですが、一日目が終わってみると、目が疲れて肩こり頭痛がすると…あわててマッサージしたり、目薬を買いに走ったりしました」(九州・中学2年生のママ)

 

上記の中学校ではその後、授業の最後にストレッチや目の体操なども指導されるようになったそうですが、そうでない場合は時々声をかけてあげる必要があるかもしれません。

 

「高校で理系クラスを選択していますが、もともと実験や実習が多く、自宅で道具を借りたりもできないので、かなり学びの質は下がっているように思えますね」(関東地方・高校1年生のパパ)

 

「うちは夫が夜勤のある仕事で、ちょうど子どものオンライン授業の時間帯に帰宅してお風呂に入るんですね。つい、いつもの調子で、バスタオル1枚で子どもの後ろを通ろうとしたので慌てて止めました(笑)」(北陸地方・小学6年生のママ)

 

そのほか、「小テストで子どもがカンニングしているのを発見!あとで叱りましたが…力がつかないですよね(泣)」という声も。

 

漢字や英単語など、知識を問うものはたしかにカンニングが可能ですが、自分の考えを述べるものにはそれができないため、今後、成績の評価やテストの採点は「アクティブラーニング(能動的な学び)」の方向へ向かうかもしれません。

 

子どもたちに聞いた「こんなメリットも」!

実際にオンライン授業を受ける当事者である子どもたちの声も、ママたちを通じて聞かせてもらいました。

 

それによると上記にあるようなデメリット以外に「ここが良い」というメリットも多かったのが印象的でした。

 

「うちの子はちょっと引っ込み思案で、みんなの前で手をあげて質問する勇気がないのですが、画面に直接先生にコメントを送れる機能がついていて、ちょっと立ち止まってもらえたり、あとでフォローしてもらえるのが助かるようです」(小学校3年生のママ)

 

「息子は英語が好きなのですが、今までネイティブの先生が月に2回しか来られなかったのですが、オンライン化することで毎週授業が受けられるようになって喜んでいます」(小学校6年生のママ)

 

上記のように、メインの授業を1人の先生が受け持ち各担任の先生が子どものサポートに回る形なら、よりきめ細かい指導ができそうですね。

 

「私はノートをきっちり書きたいタイプで、細かい部分にこだわっているうちに必要な説明を聞き逃してしまうことも多かったのですが、オンラインだと録画で何度も見返せるのですごくいいです」(中2女子・本人より)

 

「高校に電車で通っていますが、台風や大雪で電車が止まった時にいつも困っていました。オンラインなら警報がいつ出るかを気にせず、安全に家で授業が受けられるので助かります」(高2男子・本人より)

 

おわりに

今回、オンライン授業について各地の親子に話を聞いた結果、やはりひとことで「オンライン授業」といってもかなり幅広く、お子さんの年齢や地域などで気をつけるべきポイントも異なることが分かりました。

 

子どもの年齢が上がるにつれて学びの専門性が高まっていくため、高校生以上のお子さんがいるママ・パパは、基本的に子どもの判断や意向を尊重して見守り、小中学校のお子さんならば、今回の記事も参考にしつつ、なにか困ったことはないかと目を配ってあげたいですね。

 

文/高谷みえこ

参考/文部科学省「平成29年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)(平成30年3月現在)〔確定値〕https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/10/30/1408157_001.pdf