「子どもが学校から帰ったときに出迎えたい」「子どもが病気のときに家でみてあげたい」などの願いから、在宅ワークを希望するママは意外と多いのではないでしょうか。

 

また、保育園に入れず幼稚園に通っている、学童保育に入れなかった、自身や子どもの持病などの事情から外でまとまった時間働けないママもいることと思います。

 

さらに不況で給与や派遣・パートのシフトが減ってしまったため、今後の家計や教育費などに備えて「何か副業を探さなければ」と考え始めた人もいるでしょう。

 

しかし、在宅ワークや副業を始めるときにはいくつか注意点もあります。

 

今回は、在宅ワーク・副業経験の長いママの体験談をもとに、こんな点に気をつけて!というポイントを解説します。

 

「スマホで月に10万円」?うまい話には要注意

在宅ワークや副業の募集はハローワーク等ではなかなか見られないため、おもにインターネットで探すことになると思います。

 

在宅ワークを探しはじめると、ひんぱんに見かけるのが「スマホだけで月○万円のお小遣い稼ぎ」「SNSに好きな写真を投稿するだけ!」といった募集広告です。

 

Hさん(31歳)は夫の転勤で勤め先を退職し、現在は専業主婦として2歳の男の子を育てています。

 

「SNSでよく子育て系の投稿を見て参考にしてたり共感したりしていたんです。あるときみた投稿で、同じ年頃の子どもを持つママが、ここ最近始めた在宅ワークですきま時間にスマホだけで月5万円の収入が入るようになったと…」

 

投稿には、その収入で買った可愛い子ども服やスイーツのお取り寄せ、ママ友とおしゃれなカフェでランチした写真などが投稿されていて、ますます興味を持ったそう。

 

「ちょうどそのとき、興味があれば直接メッセージを下さいと投稿があり、つい質問してしまったんですね」

 

すると、相手が教えてくれたその在宅ワークは、自分のインターネットショップを作り、気に入った商品をスマホで選んで紹介するだけで売り上げの何%かが手に入るというものでした。

 

「さらに、友達やSNSのフォロワーさんにショップ開設を紹介すれば2万円が入ってくると。開設時に少し費用がいるけど、すぐに元が取れるといわれました」

 

おしゃれで親しみの持てる相手に思わず申し込みそうになったHさん。

 

しかし、

 

「まず最初にセミナーでショップ運営を学ぶのに2万円、開設作業は自分でできるなら無料だが作ってもらうなら20万円とのこと。作業は複雑でとても素人にできそうな感じではありませんでした」

 

と、最初に20万円以上の費用がかかることを知り、あきらめたといいます。

 

実はこういった誘いはいま非常に増えていますが、実際にショップを開いても売り上げが上がらないことが多く、国民生活センターでも注意を呼びかけています。

 

子育てと仕事、同時進行は限りなく難しい

Yさん(29歳・0歳児のママ)は、結婚・出産のために派遣の仕事を退職し、妊娠中から、クラウドソーシングを利用して在宅でライターの仕事を始めていました。

 

「出産前にいったんすべて仕事をお休みし、新生児の育児が一段落したところで仕事を再開したのですが…最初はよかったんです」

 

赤ちゃんがハイハイしだす頃までは、お昼寝や一人遊びしているあいだに以前同様仕事ができていたYさんですが、赤ちゃんがつかまり立ちや歩き始めるようになると、片時も目が離せなくなってしまいました。

 

「でも、仕事には納期(締め切り)があるので、日中できなかったら夜中や早朝に起きて進めなくてはならず、睡眠不足でフラフラになりました…」

 

夫も平日は帰りが遅いため、家事育児を分担するにも限界があり、現在は大幅に仕事量を減らしているといいます。

 

「よく、ライターはすきま時間にチャチャッと誰でも書けるから簡単!などという雑誌の記事を見ますが、原稿料が高くなるとそれなりにしっかり調べて集中しないと書けない内容も増えてきます。子どもを見ながらラクに稼げるってことはないですね」

 

赤ちゃんや小さい子との生活は、急な体調不良やハプニングも多いもの。

 

ライターに限らずプログラミング・WEBデザインなども含め、締め切りのある仕事を引き受けるときは、1日に確保できる作業量を把握した上で、時間の余裕を持たせておくことが必須といえます。

 

自社の就業規則は必ず確認しよう

国の推進する働き方改革により、これまで多くの企業で禁じられていた副業を解禁するところが増えてきました。

 

ただ、社内規定で副業が禁じられている場合、見つからないように副業をおこなったとしても、会社に分かってしまった時には懲罰や解雇などのリスクがあります。

 

本業のある人は必ず始める前に自社の規定を確認しておきましょう。

 

また、育休中に意外と赤ちゃんに手がかからず「これなら副業できるかも?」というママの話も時々耳にしますが、育児休業はあくまでも「育児のために勤務ができない」人のためのもの。

 

働いている事実があれば、雇用保険からの「育児休業給付金」や、会社独自の育休手当等が受け取れなくなる可能性があります。

 

夫の扶養を外れて世帯収入減になるケースも

最後に、夫(配偶者)の扶養に入っている人が在宅ワークや副業を始めるときは、場合によっては世帯収入が下がってしまうケースもあるので注意が必要です。

 

Eさん(33歳・1年生と4歳児のママ)は、1年前から、出産前の専門職を在宅で請け負う仕事を始めたそうです。

 

「それまでは2人の育児で大変でしたが、下の子が3年保育で幼稚園に入園したので、1日数時間からスタートしました。ただ、夫の会社で健康保険に入っていたのですが、その規定によると、月収が一定額を超えたり開業届を出して個人事業主になったりした時点で、扶養の資格を喪失するとありました」

 

「しかも、扶養資格がなくなると、連動して月に2万円の配偶者手当もカットされるんです」

 

計算してみると、扶養を外れて配偶者手当がなくなり、社会保険を自分で払うことになった場合、年間で世帯収入がマイナスに転じてしまう可能性が出てきたそう。

 

「社会保険を自分で払うメリットはあるものの、まだ子どもも小さく、仕事にフルコミットできないのが実情。しばらくは扶養内でセーブする予定です」

 

扶養を外れて働くか、しばらく現状維持するか…どちらを選ぶかは家庭ごとの考え方によります。

 

まずは、在宅ワークや副業の収入額ごとに家計への影響をシミュレーションしてみて、働ける時間や体の負担、将来性などを総合的に考えて判断するといいですね。

 

おわりに

在宅ワークや副業としては、広い意味でみると、今回登場したほかにも「ポイ活」といわれるポイントやマイルを貯めるもの・フリマアプリを利用した転売ビジネス・投資や資産運用なども含まれます。

 

ママたちの体験談からも分かるように、まず第一に詐欺まがいの「おうちでラクラク稼ぐ♪」といったものに手を出さず冷静に判断すること、そして、在宅ならではのメリットはあるものの、思った以上に作業時間はとれないと考えて無理なくペース配分することを忘れないで下さいね。

 

文/高谷みえこ

参考/独立行政法人 国民生活センター「20代に増えている!アフィリエイトやドロップシッピング内職の相談-友人を紹介すると儲かる!?借金をさせてまで支払わせる事例も- http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20150716_1.html

厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000192845.pdf