災害などの非常時には、そこにつけ込む詐欺や犯罪が増えます。

 

2020年4月時点で、すでに新型コロナウイルス関連や国民1人10万円の給付金にまつわる詐欺が多数発生中。消費生活センターに寄せられた相談は1万件以上、今後も続くと警戒されています。

 

ただ、高齢者をターゲットにした詐欺はよく報道されますが、若い世代を狙う手口は以外と知られていません。実はお金や個人情報を狙う手口は世代を問わずいろいろあり、育児に忙しい毎日、ふとした瞬間に引っかかってしまう可能性がないとは決して言えません。

 

今回は、子育て世代が注意すべき詐欺の手口や対策、「ん?これって詐欺?」と思ったときの相談先などを紹介します。

 

育児世代が狙われやすいのはこんな手口

比較的若い育児中の世代は、例えば息子を装って高齢者から現金をだまし取る「オレオレ詐欺」などの詐欺にはあまり縁のないイメージがあるのではないでしょうか。

 

しかし、各都道府県や国は、世代や年齢を問わず以下のような詐欺に注意するよう呼びかけており、むしろ子どもや若い世代こそターゲットになりそうな手口も多くあります。

 

関係ない作業や商品の費用を請求するもの

  • 自宅を訪れて「この地域の水道管にコロナウイルスの付着が見られましたので洗浄が必要です」と虚偽の説明で管洗浄などを実施。あとから作業費を請求する
  • 注文していないマスク(消毒液なども)が宅配便で届き、電話で高額な代金を請求された など

 

後者は、マスクや消毒液などを買い占めたものの転売禁止措置で売りさばけなくなった結果の手口だとも言われています。

 

個人情報を聞き出そうとするもの

金銭そのものではなく、個人の連絡先や家族構成を聞き出すことが第一目的の詐欺も存在します。

 

  • 「当市で独自にマスクの配布を始めますので、家族の人数と住所を教えてください」と自宅に電話がかかってくる
  • スマホに「希望する世帯にマスクを無料送付します。次のURLをクリックして、希望枚数と住所氏名を入力してください」などのSMS(ショートメッセージ)が届く
  • 同じく「PCR検査・抗体検査の予約を開始しました。希望者はこちらに申し込んでください」というSMSやメールが届く など

 

これらは自治体などを装っていることが多いため、うっかり信用して氏名や住所・電話番号などを入力してしまいがち。

 

しかし、その個人情報がリスト化されて販売されることもあり、上記のように突然マスクや消毒液を送りつけられる・違法な訪問販売などの危険性も高まります。

 

虚偽の情報で金銭をだまし取ろうとするもの

  • 「10万円の給付が開始されました。順次振り込みしていきますので、口座番号と暗証番号を教えてください」という電話やメールが届く
  • 入手困難が続く人気ゲーム機を「○台限定入荷しました」とSNSで抽選販売するように見せかけ、全員に「当選しました」と連絡してお金を振り込ませる など

 

SNSで、現金やゲーム用のプリペイドカーなどをプレゼントします…という投稿は99%が詐欺といわれていますので、親子ともに注意したいですね。

 

どう気をつければいい?

インターネットやSNSが発達した今日では、親が十分気をつけていても、子どもが上記のような詐欺に遭ってしまうケースも念頭に置いておかなくてはなりません。

 

メーカー主催の賞品プレゼントなどは実際におこなっている場合もあるため、すべてが詐欺というわけではありませんが、応募する際には十分な確認が必要です。

 

まずはメーカーのホームページなどで実在するキャンペーンかどうか確認することや、SNSでは企業名のアカウントに公式認証マークがついているかどうかもひとつの目安になります。

 

同じく、自治体に見せかけた電話やメール・SMSなども、基本的には自治体の公式ホームページや電話で確認するのがベスト。

 

たとえば世田谷区では、次のような注意を発信しています。

 

世田谷区内において、「区役所コロナ対策課」を名乗った詐欺の電話が確認されています。 世田谷区役所に「コロナ対策課」という部署は存在しません。 同様の電話がかかってきましたら、すぐに電話を切り、110番または最寄りの警察署まで通報をお願いいたします。

 

もし途中で「おかしいな」と感じたら、それ以上話したり入力するのをすぐにストップして以下に相談を。

 

  • 消費者庁「消費者ホットライン188」…(局番なし)188
  • 警察相談専用電話…#9110

 

上記の番号だけで、最寄りの担当窓口につながります。土・日・祝も対応しています。

 

さらなる被害者を出さないためには、電話番号や名刺などが残っていればそれを通報するのがベターですが、まずは自分が被害に遭わないことを最優先しましょう。

 

最後に、詐欺の被害者が陥りやすい状況として「自分に落ち度があった、家族に知られないように」と、ひとりでお金を用意して振り込んでしまう…というケースがあります。

 

万が一被害にあったとしても、相手は騙すプロであり、騙されたあなたのほうが悪いわけではありません。ひとりで処理しようとせず、少しでも早く、家族や上記の窓口に相談することが大切です。

 

同様に、日頃から、子どもが何か失敗や心配ごとができてしまっても「叱られる」と抱え込まず、親に話せる環境を保っておくことも重要ですね。

 

おわりに

みんなが困っている時に、それを利用して犯罪や詐欺を行ったり、不当に利益を得ようとする行為はけして許されることではありません。

 

取り締まりや対策を厳しくすることはもちろん必要ですが、世の中から詐欺がすぐになくならない限り、いつ自分や家族が狙われるか分からないため、正しい知識をしっかり持っておきたいですね。

 

また離れて暮らす実家の両親や祖父母がいる人は、ぜひ定期的に連絡を取り、注意を呼びかけてほしいと思います。

 

文/高谷みえこ

参考/国民生活センター「新型コロナウイルスを口実にした消費者トラブル」「給付金・助成金に関連した相談事例」 http://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/coronavirus.html

「それ、給付金を装った詐欺かもしれません!」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/pdf/consumer_policy_cms214_200421_01.pdf