貧血は女性によくある症状ですが、意外にも、乳幼児にも貧血は多く見られます。母体からもらった「鉄分」の貯蔵が尽きる、生後半年くらいからは要注意。鉄欠乏による貧血を長引かせると、子どもの発育に影響することもあるのです。乳幼児に必要な鉄分とフォローの方法を、小児科看護師がアドバイスします。
なぜ乳幼児は鉄分不足になりやすいのか
生後4か月までは、母親からもらった鉄分が体内に貯蔵されていますが、母体由来の鉄は生後半年ほどでほぼなくなります。これより先は、食事やミルクから鉄分をとらなければいけません。 人工乳には鉄分が補充されているものの、特に母乳栄養児で貧血の頻度が高い傾向が。母乳や牛乳、米などには鉄分が少なく、離乳食が遅れたり、鉄分が少ない食事をとっていると貧血になることがあるのです。
鉄分が不足すると…考えられる影響は?
「鉄」が不足すると、細胞に酸素を供給しているヘモグロビンが十分に作られず、貧血になる可能性があります。2歳以下の子どもで鉄欠乏状態が3か月以上続くと、次の要素に悪影響が出てくることがあります。
●認知能力
●運動発達
●社会性
●情緒発達
さらに離乳期の鉄欠乏による貧血が続くと、その後何年も、発達の遅れを引きずってしまう可能性があることがわかってきました
(※1)。鉄分は、脳の発達に関わる重要な役割をも持っているのです。
癇癪やぐずりも「鉄分不足」が原因のことも
子どもが癇癪を起こしやすいとか、ぐずることが多い、夜泣きをする、そんな悩みはありませんか? 実はそれらの問題、鉄分不足が原因として隠れているかもしれません。 やる気を高める「ノルアドレナリン・ドーパミン」、興奮と抑制のバランスを調整する「セロトニン」といった脳内神経伝達物質は、タンパク質を原料として造られる際に鉄が必要とされているからです
(※2)。 これが原因で、メンタルが不安定になりやすいとも考えられています。このようなことからも、子どもの鉄分不足には注意が必要なのです。