新型コロナウイルス対策で、全国の小中高の休校に続き、保育園や幼稚園も休園や、医療・食品など特定の職種以外の家庭は登園自粛が増えています。
一方、家庭では一日中外に出られず親子だけで過ごす時間が増え、そのことで大きなストレスを感じている人も。
今回は、この密室のような状況をママたちがどう感じているか、実際の声を聞いてみました。
外に出られず「子どもも親もイライラ…」
全国で小中高の休校がほぼ一斉にスタートしたのが2020年3月のこと。
「学校の勉強はどうなるの?」 「運動不足になりそう…」 「友達と会えなくて子どもがさみしがってる」
など、感染拡大防止のためとはいえ、保護者のあいだにはさまざまな心配が広がりました。
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しかし4月に入っても各都道府県の感染者数は増え続け、国は再度、ゴールデンウイークまでの休校延長を要請。5月以降の再開見通しも立っていない状況です。
さらに、当初は働く保護者のために預かりを続けていた保育園も、園児と保育関係者の感染を広げないために休園したり、医療関係者やスーパー・物流などライフラインに関わる保護者以外の家庭に登園自粛を求めたりと、テレワークであっても自宅で子どもと過ごす人が増えました。
外で遊べず子どもがイライラ→ママもイライラの連鎖
こうした状況の中、実際に家で子どもと過ごすママたちからは「しかたないけど、正直息が詰まる…」「親子ともにストレスがたまる」という声が。
現在、4歳と2歳の男の子を育てているJさん(33歳)は、4月からテレワークが始まりました。
「社内の会議や電話ならまだ良いのですが、お客様と電話することがけっこう多いんです。大事な話の途中でも、息子たちがおもちゃの取り合いやらでケンカを始め絶叫しながら部屋に飛び込んでくることも…。笑ってくれるお客様もいますが、不快に感じる方も当然いるでしょうし、毎日ほんとに気を使って疲れます」
小学3年生・6歳・3歳の3人のお子さんがいるYさん(35歳)は、新型コロナウイルス流行で派遣先の業績が悪化。待機状態のあと更新が打ち切られ、現在は家で子どもたちと過ごしています。
「長男と長女は体力を持て余し、家の中で暴れるのでもう壁に穴が開きそうな勢いです…。本当は外に連れていきたいのですが、人の集まる施設はもちろんやっていないし、買い物ですら子どもたち全員を連れていけない雰囲気なので、一番下の子だけを連れて大急ぎですませています」
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テレワークやオンライン授業のご近所にも気を遣う
在宅で働く人や、オンラインで授業を受ける学生が増えているため、昼間でも子どもの騒ぎ声を気にするママも。
「マンション住まいなので、日頃から騒音には気をつけていますが、外に出られないのは厳しいですね。今までなら公園や児童館、支援センターなどで遊ばせたり、一戸建ての私の実家に連れて行ったりできたのですが、今は自宅にいるしかなく。家事もしないといけないのですが、放っておくと家の中ばかりで飽きちゃいますし。夜はともかく、ワンオペで1歳児を昼間でもずっと静かにさせておくというのは正直難しいです」(Mさん・29歳・1歳6ヶ月児のママ)
「マンションの敷地内の公園も、最近は遊具に立ち入り禁止のテープが貼られ、感染防止にご協力下さいと書かれています。遊具を見ちゃうと子どもは遊びたがるので、最近は公園に近づくことすらできません。同じマンションのママ友は、隣の家から、日中子どもの声がうるさくてリモートワークの邪魔だと言われたそうです。どうすれば…」(Yさん・33歳・2歳児と0歳児のママ)
だんだん健康も心配に…
「学校からは、家から一歩も出ないでくださいと言われているわけではないのですが、子どもと家の前でゴムのボールを蹴っているだけで非常識という近所の雰囲気を感じます。かといってアパートなので室内で飛び跳ねるわけにもいかないし。毎日テレビや動画を見せているだけでは、コロナの前に生活習慣病になってしまいそうで心配です」
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「コロナ以前からこの状況ですが…」
いっぽう、今の外出自粛の状態が「あまり苦にならない」という人や、「以前からずっと苦しい密室育児状態だった」という人もいます。
「もともと私があまり人付き合いは得意でなく、子どもと2人きり、家族3人だけ…という方が気楽なんです。児童館なども、風邪やインフルエンザに感染したらいやだなと思ってしまいあまり行っていません。今も家にあるモノで工夫して遊んでいるので、特に娘も退屈そうでもなく。夫が家にいる日が増えたこと以外、以前と特に変わらない生活です」(Sさん・30歳・2歳児のママ)
「うちは双子です。夫は忙しいし、親元も遠くて頼れず、ミルクも昼寝も泣くタイミングも荷物も2倍なので、もともと外出なんて無理という感じでずっと家で子どもたちと暮らしています。世の中のママたちが引きこもりで大変!と嘆いているのを見かけるようになり、いまみんなが私と同じ感じなんだろうなと、不思議な気分です」(Fさん・31歳・1歳の双子のママ)
「夫の会社の転勤が頻繁にあり、ママ友ができたことがありません。地元を離れてしまい、長女が生まれて以来、夜に夫が帰ってくるまで大人と会話しない日もしょっちゅうなので、今に始まったことではないのですが…世の中が平常に戻ったら、世のママたちはまたワイワイ集まれるのでしょうね。ちょっとうらやましいです」(Uさん・32歳・3歳児と1歳児のママ)
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「どこかほっとしてる」今までの育児を見直す人も
そして、アンケートの声を見てみると、収入面や子どもの運動不足など心配はありつつも「どこかホッとしている」という人も実は少なくないことが分かっています。
「出産以来どこを見ても、子育て仲間を作りましょう!同年代の子との触れ合いを!というアドバイスばかりで、支援センターなどに子どもを連れて行かないと子どもに成長の機会を与えないダメな親みたいに感じて…無理して通っていたように思います。ママ友付き合いも気が乗らなくても断りにくいし、一斉になくなって、実は少しせいせいしてるんですよね」(Yさん・36歳・3歳児と1歳児のママ)
「振り返れば、平日はバタバタと保育園に預けて仕事に行き、バタバタと迎えにいって、食事やお風呂のルーティンをこなして寝かせる日々。土日もスイミングだ、サッカークラブだ…と、子どもとゆっくり向き合う時間もありませんでした。今は、朝から晩まで相手をするのは少し大変だけど、ほんの1~2ヶ月の間でも子どもの成長を目で見て実感できるし、貴重な時間だと感じています」(Hさん・37歳・5歳児のママ)
「保活に失敗し、退職して幼稚園ママになりました。いいご身分と思われてるかもしれませんが、けっこう大変なんですよ。送迎・園行事やPTAで昼間はかなり時間をとられ、降園後は、習い事や、お友だちと親子ぐるみで家を行ったり来たり。来てもらうためには掃除もしなくちゃいけないし、下の子も育てながらだと本当に時間が足りませんでした。今は、ほどほどに掃除をして、子どもと向き合って絵本を読んだり、のんびり過ごせています」(Kさん・34歳・4歳児と1歳児のママ)
そして、今回の休園休校で、こんな点に気づいたという人も。
「上の子が生後6ヶ月で復帰し、日曜出勤は夫や実家と交代で乗り切ってきました。なので今回、こんなに長く毎日子どもと過ごしたのは初めてです。子どものねえねえママ、見て、聞いて、なんで?という声はかわいいですが、朝から晩までは本当に大変。毎日見てくださっている保育士さんや学校の先生に、よりいっそう感謝するようになりました」(Nさん・34歳・1年生のママ)
おわりに
活発で外で走り回るのが大好きな子、じっくり工作などに取り組むのが好きな子…子どもの気質や親子の組み合わせ、パパや実家がどのくらい育児に関われるかなどによっても育児の負担感は大きく異なります。
外出自粛中のいまの世の中に限らず、子育ての大変さや感じ方は千差万別。自分を基準にして他の人を批判したり、誰かに過度な負担を押しつけたりしないよう、つねに想像力を持っていたいですね。
文/高谷みえこ