新型コロナウイルス感染防止のため業務縮小や閉店が要請される中でも、食料品や日用品などを販売するスーパーマーケットは営業継続することが決まっています。

 

しかし、最近になって、週末などに大人数で買い物にくる家族連れに対し「3密を招くのでは…」という懸念が広がりました。

 

これに対し「赤ちゃんを1人で留守番させられません」「夫しか運転できないので、週末にまとめ買いするから家族で行くしかないんです、どうすれば…」など、子どもを連れて買い物に行かざるを得ないママを中心に困惑の声が出ています。

 

スーパー側と消費者、それぞれの事情と、いま私たちにできることは何かを考えてみました。

スーパーで働く人の窮状

今回の新型コロナウイルス流行の影響で、トイレットペーパーの供給不足を恐れて買い込む人が殺到した結果、本当に品切れになってしまったことは皆さんの記憶に新しいと思います。

 

これを繰り返さないようにと、政府やメディアでは「食料品は十分に供給されるから心配しないで下さい」と何度もアナウンスしています。

 

しかし、それを実現させるには、スーパ―マーケットをはじめとする販売店に、十分な人数のスタッフが安全に働ける環境づくりが必要。

 

もし店舗スタッフに感染者が出たら、他の従業員も入院や自宅待機などで隔離され、人員不足で営業ができなくなってしまうため、自家用車などの交通手段を持たない人がほんとうに「買い物難民(近くに買い物する場所がどこにもない)」になりかねません。

 

そうならないために、現在各スーパーマーケットでは、消毒を徹底するほか、レジ待ちの列を2メートルあける、レジに透明シートを設置するなどして感染防止につとめています。

 

感染が起こりやすい「3つの”密”」のうち、「人が”密”集する空間」を作らないためには、できるだけ店内の人数を少なく抑えることも大切。

 

ですが、週末を中心に、家族5人など大人数で来店するお客さんが増えれば、店内の密集度はぐっと増えてしまいます。

 

また、複数のメンバーで買い物をすればどうしても会話が増え、飛沫感染のリスクも高まります。

 

こうした状況が拡大解釈され、「スーパーに子どもを連れてくること」自体を批判する声も増えてきました。

子連れママや家族の事情

いっぽう、できるなら子どもをスーパーに連れていきたくないけれど、事情でどうしても連れて行かざるを得ないママたちからは、次のような困惑の声が。

 

「夫もスーパー勤務で、人員不足で連日遅くまで働いています。子どもは2歳と0歳。2人だけで家には置いておけません。できるだけ外出は控えたいですが、どうしても数日に1度は2人を連れてスーパーに行くことになります」(東京都・Uさん・31歳)

 

「子どもにマスクをさせるのもけっこう難しくて…聞き分けのいい子なら2歳頃からなんとか可能だと思いますが、その日の機嫌にもよりますしね。赤ちゃんはいくらつけても取っちゃうのでほぼ無理です。以前より、周囲の視線がより子連れに厳しくなっているのを感じ、小走りで大急ぎで買い物を済ませています」(神奈川県・Sさん・30歳)

 

「ネットスーパーで買い物すればいいという話もありますが、そう言う人はここ最近の注文画面を見たことないのでは。食品もトイレットペーパーやティッシュ類も売り切ればかり。お店でも購入制限があるので、切れたら子どもを連れて買いに行くしかないんです」(埼玉県・Kさん・33歳)

 

「以前は買い物中、実家に子どもを預けることもできたのですが、ハイリスクの高齢者である70代の両親にはもう預けられません」(大阪府・Eさん・38歳)

 

ママたちに共通していたのは、

 

「好きで子どもを感染のリスクにさらしてスーパーに連れて行っているのではありません」 「行けるものならもちろん1人で買い物したいです」

 

という声でした。

これならできる、スーパーでの感染対策

「1人でも来られるのに、子どもを含め大人数でスーパーに来る」人たちと、「やむを得ず子どもを連れてスーパーに来る」人たちをひとくくりにして「来ないで」と言ってしまうと、後者の人たちは本当に困り、ますます肩身の狭い思いをすることになってしまいます。

 

そこで、私たちにできることは何かを考えてみました。

 

まずは、「誰か1人が買い物に行くことはできないか」を考えてみましょう。

 

買い物担当はメインで料理を作るママがいいという家庭も、赤ちゃんは家でママと安全に留守番し、運転できてたくさん荷物を運べるパパが行くほうがいいという家庭もあると思います。

 

やむを得ず全員で行く場合も、レジには1人で並んで、可能なら他の家族は人の少ない場所や駐車場で待つなどの方法をとりましょう。

 

また、子どもを連れたママが1人で買い物をしている時には、迷惑そうな顔や態度をするのではなく、やむを得ない事情について少し想像力を働かせてみることも必要でしょう。

 

一部のスーパーや量販店では、時間帯ごとに人数制限などをおこなって、高齢者や乳幼児連れの買い物客専用の時間帯をもうけている店も増えています。いちど近所のスーパーの状況を確認してみるのも良いですね。

おわりに

今回、それぞれの主張をよく聞けば、お店側も「子どもを連れて来ないで」「乳幼児だけで留守番をさせてほしい」と言っているわけではなく、子どもを連れていく人も精一杯気をつけていることが分かります。

 

ただ、休校や在宅勤務が続き、娯楽施設も閉まっているから買い物に行くのが唯一の楽しみ…という感覚でみんなで出かけるという人がもしいるなら、今はしばらく我慢してほしいと思います。

 

可能な限りネットスーパーを利用したり、買い物にはママやパパが1人で行ったりして、留守番の子どもたちとは家や人の少ない場所で身体を動かして遊ぶなどの工夫で乗り切りたいですね。

 

文/高谷みえこ