妊娠して「妊娠届出書」を自治体の交付施設などに提出すると、発行される「母子手帳」。この母子手帳が、どういったときに必要になるのかなど、使い方についてはあまりご存じでない方も多いようです。母子手帳の必要性や便利な活用方法について、小児科看護師がご紹介します。 

母子手帳は、どのようなときに必要になるのか

 

iStock/mari_matayoshi

 

それでは、ここから母子手帳がどういった時に必要になるのか、説明していきます。

乳幼児健診>

乳幼児健診時には、母子手帳を持参するように言われます。母子手帳には妊娠中から、次のような項目を記録します。 ●妊娠中の経過 ●出生時の体重・週数・分娩の異常の有無 ●出生後の身長体重の変化 ●成長の過程(首座りやはいはいの時期など) ●予防接種の記録 こういった、妊娠から現在に至るまでの過程で何か異常がないか、お子さんの成長を見ながらチェックしていくのが「乳幼児健診」の目的。 しかし、成長の過程などは、つい記録しそびれてしまうもの。「いつできるようになったんだっけ?」となりがちなので、スマホアプリなどで記録するのがおすすめですよ。

 

<予防接種・診察時>

母子手帳には「予防接種歴」を記載する欄があります。ここには予防接種受診時に、ワクチンのロットナンバーと接種日を記入してもらうため、忘れずに持参するようにしましょう。 また予防接種時だけでなく、かかりつけ医を受診する際は、母子手帳を持参しておくと良いですね。医師が子どもの状態を把握するため、子どもの身長体重・成長のことを突然聞かれることもあります。必ず持参しましょう。

 

<小学校入学>

子どもの年齢が上がるにつれ、母子手帳の出番も少なくなりがちですが、小学校入学時に健康関係の書類を記入する必要が出てきます。母子手帳を確認しながら、おたふく風邪、水疱瘡などの既往歴や、予防接種の有無を記入します。 こんなとき「母子手帳がどこにいったかわからない」とならないように、母子手帳はすぐに取り出せる場所に保管しておくことをおすすめします。

 

<緊急時>

地震や水害などの災害時に備え、母子手帳や保険証のコピーを「非常持ち出し袋」に入れておくのは大切なこと。災害はいつどこで起きるかわからないものなので、定期的にコピーを更新しつつ入れておくのをおすすめします。 災害時にお子さんが親と離れてしまい、「子どもの情報がわからない」なんてことも出てくる可能性があるため、緊急時用には複数箇所に母子手帳のデータを保管しておくことをおすすめします。 スマホからも手軽に利用できるクラウドに、データ保存しておくのも良いでしょう。

 

海外留学(海外渡航)時>

例えばアメリカの大学へ留学する場合は、予防接種が義務付けられています

(※1)。その他の地域に海外留学をする場合にも、母子手帳に記載されている予防接種歴や既往歴をチェックして、前もって予防接種を受けておく必要があります。 生まれた年代によって義務づけられている予防接種は変化するため、母子手帳は大切に保管しておくようにしましょう。