母乳やミルクとの混合で赤ちゃんを育てているママが職場復帰するとき、母乳をどうするか?には、いくつかの選択肢があります。

 

復帰時の赤ちゃんの月齢によっても選択は変わってくるでしょう。

 

そこで今回は、復帰時点の月齢ごとに、実際に先輩ママたちがとっていた方法や、困った点、アドバイスなどを紹介します。

 

生後2~3ヶ月の職場復帰、搾乳のポイント

育休を取らない・または短期間にとどめて職場復帰する場合、最短で生後57日(8週)から赤ちゃんを保育園に預かってもらうことができます。

 

粉ミルクでも赤ちゃんの成長には問題ありませんが、可能であればもう少し母乳を飲ませたいと思うママも多いでしょう。

 

また、この時期はまだ母乳の量やタイミングが安定していないことも多く、母乳がよく出る人は日中に胸が張って痛んだり、乳腺炎になったりする心配があります。

 

反対に母乳の分泌が少ない人は、昼間の授乳をストップすると母乳が止まってしまうかも…と不安になるかもしれません。

 

そこで、日中の張りを和らげるため、あるいは母乳の生産を止めないように搾乳する必要がでてきます。

 

搾って捨てるだけなら母乳パッドや余ったおむつに吸わせる、コップなどを使う…という方法でも構いませんが、保存して保育園で赤ちゃんに飲ませるためには、以下のような道具を揃える必要があります。

 

搾乳器

搾乳機にはいくつかのタイプがあり、大きく分けると電動タイプと手搾りタイプがあります。

 

電動タイプには両胸同時に搾乳できるものや、片手(または両手)があくものも。

 

「うちの職場では、場所は女性更衣室として使われている和室を借りられたのですが、最初は手搾りしていたら意外と時間がかかり、仕事に影響が出てきました。そこで、両手があく電動式をレンタルして両胸同時搾乳で時短。さらに搾乳しながらメール返信や調べものを進めることもありました。誰も見ていないけど、すごい絵面ではありますね(笑)」(Eさん・35歳・当時3か月児のママ)

 

「私は最初、電動の搾乳機を検討していたのですが、産院で手搾りのやり方を教えてもらったら意外とうまくできたので…。荷物も少なくて済むし、音も静か。コンセントの位置などを気にせず、好きな場所と姿勢で搾乳できるのは手搾りのメリットですね」(Uさん・30歳・当時3ヶ月児のママ)

 

搾乳のやり方や搾乳機には人によって合う合わないがあるため、どっちがいいか迷ったら前もってレンタルしてみるのもいい方法ですね。

 

母乳保存パック

保育園で、保存した母乳を飲ませてもらう場合、園が受け入れてくれるかどうかをまず確認する必要があります。

 

また受け入れる場合も「冷蔵のみ」「冷凍のみ」「いずれも可」など園の方針により対応が異なります。

 

冷凍母乳のみ預かるという場合は、職場に冷凍庫があるかどうか/衛生面で使用可能か/職場の理解が得られるか…といった点も確認しておきましょう。

 

母乳の利用が可能なら、保存用の専用パックも購入します。

 

衛生面や見た目にも配慮し、中身が見えない外袋なども用意するといいですね。

 

クーラーバッグ・保冷剤

冷蔵・冷凍母乳が利用できる場合、持ち帰るためのクーラーバッグ(または小ぶりのクーラーボックス)があると便利です。

 

保冷材は0℃以下になるものもあります。

 

「職場には冷凍庫がなかったのですが、マイナス16℃の保冷剤2個で母乳パックをはさむと凍ることが分かったので助かりました。真夏は分かりませんが、車通勤で、しっかりしたクーラーボックスを持ち運べるならOKだと思いますよ」

 

この時期、勤務中に胸の張りで困るという人にはこんなアドバイスもありました。

 

「復帰直後は、時間になるとパンパンに張ってくるので、発熱用の冷却シートをこっそり胸に貼っていたことも。産院で紹介してもらった助産院の母乳外来で相談したら、マッサージを指導してもらい、それで少しマシになりましたが、1週間ほどは大変でした。できるだけ胸が張りにくいよう、食事も糖分・脂肪分控えめを心がけていました」(Hさん・33歳・当時3ヶ月児のママ)

 

1歳前に職場復帰するママの母乳育児は

母乳育児を続けていると、赤ちゃんが母乳を欲しがった時にオンデマンドで必要な量だけ母乳を作れる、いわゆる「差し乳」になるママが増えるといわれます。

 

また、離乳食が進み食事からの栄養の割合が上がってくれば、昼間は搾った母乳を冷凍保存して飲ませなくてもよくなるので、「朝と夜だけ母乳を続けた」というママが増えてきます。

 

「比較的入りやすい0歳児の4月入園を選んだので、生後5ヶ月で復帰しました。復帰直後こそ昼過ぎにはお乳がパンパンになりトイレで搾ったりしましたが、じきに体がリズムを覚えてきたのか、朝と夜だけでも母乳が止まることなく、卒乳まで乗り切れました。人の体ってうまくできているなぁとわれながら感心」(Aさん・31歳・当時5か月児のママ)

 

「生後6ヶ月での職場復帰。母乳をやめるべきか迷って、保育園に相談したら、園長先生が栄養面では粉ミルクで全然問題なし!でも、慣れない園生活で心のよりどころとして続けたいなら続けてもいいのでは?と。お迎えの時に園で授乳タイムを取らせてくれることになりました」(Fさん・34歳・当時6か月のママ)

 

「職場の先輩から、生後半年くらいしたら”差し乳”になるよーと聞いていたのですが、本当にそんな感じで。子どもがそばにいるとき限定で、ツーンとお乳が作られるようになりました。1回だけ、通勤のバスでうとうとしている時に他の赤ちゃんの泣き声が聞こえ、あ!と思ったら母乳が出てきてしまった時は焦りましたが…(笑)」(Oさん・29歳・当時6か月児のママ)

 

「育休中からあえて昼間はミルクと離乳食にして、夜だけ母乳をあげるように準備しておきました」(Tさん・30歳・当時8か月児のママ)

 

1歳前後からの職場復帰なら?

1歳児では、復職のタイミングで断乳するママも増えてきます。

 

「入園説明会のとき、家での母乳はやめるべきですかという質問が出ました。うちの園では、無理にやめなくてもいいとのこと。でも、実際には、園で活動量が増え、離乳食もたくさん食べて夜はよく寝るようになったため、1か月もしないうちに自然に卒乳となってしまいました」(Rさん・31歳・当時1歳児のママ)

 

「うちの子の園は、1歳児クラスからは母乳はやめてくださいねという方針だったので、復帰前に断乳してしまいました。入園と同時に、環境は変わるしおっぱいは飲めないし…では辛いだろうと思ったので、少し早めに11か月頃から」(Mさん・30歳・当時1歳児のママ)

 

「入園&復帰の時点でほぼ離乳食で栄養は取れていたと思いますが、精神安定剤的におっぱいを求めていた感じで…夜中に何度も泣くのでしばらく夜だけ母乳をあげていました。でも、復帰後1か月くらいして私が体調を崩し薬を飲んだのと、夜中の授乳がつらくなったのでそこで断乳を決意」(Gさん・36歳・当時1歳3か月児のママ)

 

おわりに

今回話を聞かせてもらったママの中には、 「会社の女子トイレで搾乳していたが、個室が少ないので迷惑にならないよう、時々近くのスーパーの授乳室を借りていた」 という人も。

 

また、本当は母乳育児を続けたかったけれど、保育園の方針や職場の環境から無理だと判断して断乳したという人は少なくありません。

 

早期に職場復帰する女性の多い欧米では、一定の規模以上の企業を対象に、授乳・搾乳時間やスペースを用意することを義務付けている国も多くあります。

 

日本では育休制度が充実しているとはいえ、キャリア継続などの理由で早期に職場復帰するなら母乳はあきらめるもの…という雰囲気も感じられます。

 

搾乳室などの職場環境整備や社会の理解が進み、仕事に復帰しても授乳を続けたいと願う女性が働きやすく、母乳育児に後悔が残らないようになることを願ってやみません。

 

文/高谷みえこ